私の誕生日はお盆明けで、自分の誕生日が来ると嬉しいような、でも夏が終わる節目のような、寂しい気分になる。夏休みが8月31日までだった高校生の頃までは、誕生日が来ると仕上がっていない夏休みの宿題にめまいがしていたし。

実際は9月になってもまだ暑く、学校が始まっても体育はプールの授業だった。水温は高く、着替えると汗で服が身体に張り付いた。

まだまだ夏だった。

私の大好きな季節、夏だった。

でもプールサイドで身体を拭いていると、吹いてくる西からの風が火照った身体をひんやりと包み込んだ。心地よさに深呼吸をしつつ、それが夏の風とは違うことを感じていた。

中学校のプールは、周りを工場や空き地に囲まれていて、外からは決して見えない場所だった。中学校3年の最後のプールの授業の日、最後まで居残って、水面に仰向けに浮かび眺めていた空の色は夏の色ではなかった。

まだ暑いのに、まだ泳げるのに、どうしてもう終わってしまうんだろう。

風と空がもう夏は終わりだと、私をせきたてていた。

最後のプールの授業は多分、お彼岸前の今頃だったのだろうと思う。
昨日、息子をベビーカーで散歩させながら、あの夏の最後の、秋の最初の風が私たちを吹き抜けて行った。

そう、今、そんな季節にいるのだ。

まだ夏なのに、まだ夏を味わいたいのに、周りは私の気持ちを置いて先へと進んでいる。

・・・汐美さんをまだまだ見ていたいのに。秋風が吹き始めていることに、気付かないでいたかった。

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