「TOKK」というフリーペーパーがある。
阪急が出しているもので、阪急系列の駅でもらえる。全ページカラーで紙もよく、デザインもきれいで特集の切り口もなかなかいい。
その中で1P分位が宝塚のページ。現在公演中の公演を紹介したり、宝塚ミニ知識のコラムがあったりする。ちょっと前までは、発売直前の「歌劇」や「グラフ」の表紙が見られたりもした。
生徒のインタビュー記事もある。その時公演中の注目の生徒が取り上げられたりする。新人公演の主演生徒やバウ主演の生徒だったりすることもある。だから「血と砂」の時、インタビュー記事が載らないか、楽しみにしていたのだけど、取り上げてもらえなかった。
それが今回、退団ということで掲載されていた。
取り上げては欲しかったけど、こんなきっかけというのは寂しすぎる。
今回の記事の中で、印象深かった役というのがあった。「巌流」の武蔵と「心中・恋の大和路」の八衛門だそうだ。見事にバウ作品ばかり。汐美真帆がバウ役者といわれていたことがあるそうだが、本人も一番好きな劇場がバウと言っていたこともあるし、そうなんだろうな、と思う。
ラジオ番組「ビバ・タカラジェンヌ」では「血と砂」も挙げていたけれど、今回はなかった。
以前に友人たちと、千秋楽でのご挨拶、組長の退団にあたってのプロフィールご紹介の時、好きだった役をなんと言うだろうと話をしていたことがある。ファン仲間では、武蔵派とフアン派に分かれるようだ。
私はフアン派だ。「血と砂」のフアン=ガルラード。
ケロちゃん唯一の主演作の役。ゆうひくんとW主演とはいえ、センターで白い衣装を身にまとい、歌い踊っていたあの役。
発表になった日どれだけ嬉しかったか、チケット確保にどれだけエネルギーを費やしたか、ポスターを電車の吊り広告から引っこ抜いたこともあった。原作を求めて書店や図書館をめぐり、映画のビデオを探し(エロビデオ扱いだったのもあって、借りるのにどれだけ恥ずかしかったか!)、役柄を想像して悶々としたりした。初日をどれだけの緊張と期待で待ち望んだか。
それらの苦労と期待が全てむくわれる舞台だった。
本人はどうだったんだろうな。
ものすごいプレッシャーだったことは想像がつく。あの頃、本人、ガリガリに痩せていたもの。食べても食べても太れなかったと、後に言っていた。
ちずさんやえりさんといった上級生も出ていたけど、W主演の相方のゆうひくんは下級生ということもあって、必死に舞台を引っ張っていたようだ。お稽古前に皆でラジオ体操をしたりして、ムードを盛り上げたりしていたようだし。
その他にも、来てくれたお客さまに汐美真帆・大空祐飛連名のお礼の品を用意したり(持って歩いている人を見た)、お茶会ではゆうひくんとお互いに訪問しあったり。雑事はもちろん、新公主演すらしたことがないのだから、主演のプレッシャーだって初めての経験だったはずだ。
だから、もしかするとあの作品は楽しいと思う余裕はなかったかもしれない。
その後の「巌流」は楽しそうだった。主演じゃないし、相方は頼りになるとうこちゃんだし。
でも私は、あの「血と砂」の、追いつめられた状況の中で必死になっていたケロちゃんの、その必死さが愛しかった。私たちも初主演で必死だった。最初で最後だろうという覚悟があった。
鮮烈に思い出せる、切なさときらめきだ。
余裕をもって望める舞台もいいけれど、ギリギリまで追いつめられた中で生み出す舞台が私は好きだった。
私は千秋楽、フアンの名前を挙げて欲しいけど、本人は別の想いでフアンの名前を心に留めているかもしれない。だから言わないのかもしれない、「好きな役」には。それはそれでしょうがないことだし。
でも、私が一番好きな、汐美真帆の役は「フアン=ガルラード」だ。哀しい眼をしていたの闘牛士の名前だ。
阪急が出しているもので、阪急系列の駅でもらえる。全ページカラーで紙もよく、デザインもきれいで特集の切り口もなかなかいい。
その中で1P分位が宝塚のページ。現在公演中の公演を紹介したり、宝塚ミニ知識のコラムがあったりする。ちょっと前までは、発売直前の「歌劇」や「グラフ」の表紙が見られたりもした。
生徒のインタビュー記事もある。その時公演中の注目の生徒が取り上げられたりする。新人公演の主演生徒やバウ主演の生徒だったりすることもある。だから「血と砂」の時、インタビュー記事が載らないか、楽しみにしていたのだけど、取り上げてもらえなかった。
それが今回、退団ということで掲載されていた。
取り上げては欲しかったけど、こんなきっかけというのは寂しすぎる。
今回の記事の中で、印象深かった役というのがあった。「巌流」の武蔵と「心中・恋の大和路」の八衛門だそうだ。見事にバウ作品ばかり。汐美真帆がバウ役者といわれていたことがあるそうだが、本人も一番好きな劇場がバウと言っていたこともあるし、そうなんだろうな、と思う。
ラジオ番組「ビバ・タカラジェンヌ」では「血と砂」も挙げていたけれど、今回はなかった。
以前に友人たちと、千秋楽でのご挨拶、組長の退団にあたってのプロフィールご紹介の時、好きだった役をなんと言うだろうと話をしていたことがある。ファン仲間では、武蔵派とフアン派に分かれるようだ。
私はフアン派だ。「血と砂」のフアン=ガルラード。
ケロちゃん唯一の主演作の役。ゆうひくんとW主演とはいえ、センターで白い衣装を身にまとい、歌い踊っていたあの役。
発表になった日どれだけ嬉しかったか、チケット確保にどれだけエネルギーを費やしたか、ポスターを電車の吊り広告から引っこ抜いたこともあった。原作を求めて書店や図書館をめぐり、映画のビデオを探し(エロビデオ扱いだったのもあって、借りるのにどれだけ恥ずかしかったか!)、役柄を想像して悶々としたりした。初日をどれだけの緊張と期待で待ち望んだか。
それらの苦労と期待が全てむくわれる舞台だった。
本人はどうだったんだろうな。
ものすごいプレッシャーだったことは想像がつく。あの頃、本人、ガリガリに痩せていたもの。食べても食べても太れなかったと、後に言っていた。
ちずさんやえりさんといった上級生も出ていたけど、W主演の相方のゆうひくんは下級生ということもあって、必死に舞台を引っ張っていたようだ。お稽古前に皆でラジオ体操をしたりして、ムードを盛り上げたりしていたようだし。
その他にも、来てくれたお客さまに汐美真帆・大空祐飛連名のお礼の品を用意したり(持って歩いている人を見た)、お茶会ではゆうひくんとお互いに訪問しあったり。雑事はもちろん、新公主演すらしたことがないのだから、主演のプレッシャーだって初めての経験だったはずだ。
だから、もしかするとあの作品は楽しいと思う余裕はなかったかもしれない。
その後の「巌流」は楽しそうだった。主演じゃないし、相方は頼りになるとうこちゃんだし。
でも私は、あの「血と砂」の、追いつめられた状況の中で必死になっていたケロちゃんの、その必死さが愛しかった。私たちも初主演で必死だった。最初で最後だろうという覚悟があった。
鮮烈に思い出せる、切なさときらめきだ。
余裕をもって望める舞台もいいけれど、ギリギリまで追いつめられた中で生み出す舞台が私は好きだった。
私は千秋楽、フアンの名前を挙げて欲しいけど、本人は別の想いでフアンの名前を心に留めているかもしれない。だから言わないのかもしれない、「好きな役」には。それはそれでしょうがないことだし。
でも、私が一番好きな、汐美真帆の役は「フアン=ガルラード」だ。哀しい眼をしていたの闘牛士の名前だ。
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