「真」

2004年11月2日 宝塚
まずは私信。

緑野師匠、私のリクエストに答えてくださってありがとうございました。

緑野師匠、最初から最後まで泣いておられました。「握手も行きたくない」とおっしゃるのをひきずって行ったのは私です。
お茶も飲まず、ケーキも食べず、ただ、背もたれに乗せた手に顔を埋めて、泣いておられました。なんて感受性の強い方なんだろう、と感動してました。あれだけの日記を毎日書かれる方なんですもの、ね。

緑野師匠が泣いておられる横で、友人と「あの退団理由、嘘だよねー」なんてくっちゃべりながら、ケーキを平らげていたのは・・・私です。だってだって!あれが私の晩ご飯だったんだもの!何かお腹に入れておかないと保たないと思ったんです。

デリカシーのない、涙腺カチカチ女で申し訳ないっす。

          ☆

スカイステージで、汐美さんのディナーショーへのインタビューがあったそうだ。

そこで、タイトルの「Good fellow」がグッドケロ、グッドフェロとかけてある、という話が出たそうだ。

フェロ、はフェロモンの略。

宝塚を代表するフェロモン男役の汐美真帆に、真琴つばさがつけたあだ名だ。月組時代に出た「月組本」内で、シューマッハ4人を真琴つばさがメイクから撮影までするというコンセプトの企画があって(実はあれはヤラセです、と後日きっぱり言い切った真琴氏だったが)その撮影写真につけられていた会話コメントの中で初めて出てきたのだと思う。

どうも本人も気に入っていたみたいで、「歌劇」の座談会で「フェロと呼んでください」などと言っていたこともあった。

そりゃそうだろう。仮にも宝塚の男役、フェロモン出してナンボじゃないか。その称号を目指している男役はたくさんいるはず。

それに、大好きだった真琴つばささんからつけられた名前だもの。

私が好きなジェンヌさんは「真琴つばさ」と「汐美真帆」この二人しかいない。他にもちょっといいな、と思えるジェンヌさんは幾人もいたのだけど、なぜだか、ここまでハマる人は他には出て来ない。

この二人の共通点はなんだろう、と考えたことがある。

尖った顎?メイク上手なところ?いや、そんなささいなことではない。

なんとなく、だけど、虚無感というか空しさというか、何かを求めているのに、手に入らない諦めみたいなものを抱えているように見えるからじゃないか、と自分なりに思っている。

汐美さんはまだしも、トップを極めた真琴さんにそれはないだろう、と思うこともあるが、なぜか、まみさんも、彼女が本当に求めていたものは、結局手に入らないままでいる人のような気がするのだ。

でも二人とも、前へ向かって少しずつ進んでいる。哀しさを抱えながら進んでいる。その強さが好きで、可哀相で、愛しいんじゃないかな、と思う。

もうひとつの共通点、舞台に対して、ひいては観客やファンに対しての真摯な想いをもっている人だと思う。

「真」。

二人の名前に共通する文字だ。

人に対して、真のある二人だと思うのだ。

今回のショーでとうこちゃんが青い上下のスーツを着て出て来るシーンがある。あの白いスーツでケロちゃんと手を握り合う時にも着ているあのちょっと変わったラインのスーツ。

あれ、まみさんのサヨナラ公演のショー「ESP」のお衣装だ。スパンコールはつけかえてあるし、色はまみさんは黄色を着ていたからそのものではない。ケロちゃんは水色だった。あのブルーは幸ちゃんが着ていたように思う。

でも、あのラインの服はとても印象深い。中詰めでスタークラスはあのデザインのスーツを着ていた。まみさんは中詰め後、ひとり銀橋に残ってしみじみと歌っていた。

だから、初日、あの衣装を見た時、どきっとする位嬉しかった。

まみさんが見送ってくれている、そう思えたから。

DSでもタイトルで、まみさんが見送っていてくれる。

汐美さんはまみさんが大好きなはずだから、本人も喜んでいると思いたい。

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