通勤途中、大阪駅で突然、女の人に話しかけられた。

「○○○×××?」

どうも日本人じゃないらしい。でも言葉は日本語。「は?」と聞き返すと「ハービス、どこですか?」

ハービス・・・ハービス・・・ハービスって何だっけ?どこだっけ?数秒考え、なんとか「あ、あっちです!」と地下通路の西の方を指差せた。「ありがとう」と元気よくその女性は歩いていった。

ううう。なんて情けない。とっさにハービスを認識できなくなっていた自分の頭。出産前はあんなに街のあちこちをふらふらうろうろしていたというのに。ハービスといえば、ケロちゃんたちが着物ショーに出た時にも行ったよなぁ。

ハービスエントもまだ行ってない。なんばパークスも行ってない。こうやってどんどん街の流行から取り残されて行くのだろうか。私の知らない世界が広がっている。

産休から復帰する時、会社の上の方の人に「子持ちはこの仕事には向いてない」と言われた。この仕事がどういう仕事かは置いといて、真意は「子持ちは家族や家事を優先して、週末などに人の集まるポイントを見て歩けない」ということだった。

そんなん、子持ち男性だって週末ごとに出歩けるんかい!?採用条件を「独身に限る」か「子無し既婚者」にしとけばいいんだわ!?

その時はとても腹が立ったけど、実際問題、週末は家にこもっている事が多い(あんなに観劇しておいて?という突っ込みはまた置いといて)。子連れで出歩くことにはやぶさかではないが、冬は人混みに連れて行くことで、風邪をもらってしまう可能性が上がる。また平日保育園に行っていて、疲れている息子を週末くらいは休ませたいと(自分もだけど)思う。週末無理をして平日発熱されて会社を休むのは避けたいというのが、一番の理由になる。

そうまで頑張っても、「週末に出歩けない、世間の狭い子持ち女」っつー認識になってしまうんだな。切ない。

かといって、「母親である」とか「主婦感覚を生かして」というのは私の性に合わないし、こんなに不真面目な母親なのに、それを売りにするのはどうよ、と思うし。

     ☆

先日、友人から突然電話があった。「ムシキングのカードの入手方法を知らないか?」という問い合わせだった。

ム、ムシキング?名前位しか知らないが、マンションのロビーやショッピングセンターの隅っこで、男の子たちがカードホルダーを持って頭を付き合わせてるあれか?

「そうそう!」

なんでも5歳の息子さんが夢中になっているらしい。どうしても欲しいカードがあるが、なかなか手に入らない、と。

ヤフーオークションだろうなぁ、と思いつつ友人はインターネットをやらない人なので、お役に立てずごめんね、と電話を切る。

その後、ネットでムシキングについて調べる。なーるほどなー。セガがゲームセンターなどに置いている機械に100円を入れると、カードが出てきて、それを機械に通してバトルをやるらしい。カードは何種類もあり、それを集めるのが楽しいようだ。

ゲームセンターの機械の前には長蛇の列らしい。週末、息子をベビーカーに乗せて、一番近くのゲームセンターに行ってみた。今、週末に息子連れで行けるのはこの程度。確かに、行列してるわ。しかも子供だけじゃなくて親がニコニコして一緒になってやってるよ?そんなに面白いの?

息子連れでトライするのは無理があるので、会社の帰りに大阪のゲームセンターに寄ってみる。夜なので、さすがに親子連れは1組だけだった。開いている機械でカードを買い、機械に読み取らせてバトル。バトルといっても基本はじゃんけんゲームらしい。3回まで戦える。これなら「ドンキーコング」をクリアできなかった反射神経の世代でもなんとかなる?やってる最中はかなり楽しい。

カードはキラキラしていてとてもキレイ。ムシといってもいい加減なイラストではなくて、かなりリアルで迫力のある絵柄だ。これと戦うためのわざのカードを組み合わせて、強化していくのだろう。

男の子も好きそうだが、大人も好きな人は好きだろう。これを考え出したセガもエライ。

出たカードは友人に郵送した。再利用ってできるのかな?

1本の電話で、私の知らない世界を垣間みることができた。ありがとう。

世の中の流行を追いかけ回すのがいいとは決して思わないが、人が夢中になっているものをバカにせず、一度は身を投じてみるのも面白いものだ、ということは宝塚でよーくわかってるから(笑)、身近なところからやっていってみるか。

私の知らない世界を知るのは面白いことなんだから。

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