壮くん、気の毒。「さすらいの果てに」の話ね。

終演後、興奮さめやらぬ友人たちと大騒ぎで語り合っていた時に出た言葉。主演作にまともなものが、ないじゃあないか。この前は「送られなかった手紙(届かなかった手紙か?)」だもんねぇ、と。その前は「ホップスコッチ」だよ?といわれ大きくうなずいてしまった私。さらに師匠から「春ふたたび」も、とフォローが入り、さらに気の毒度が上がってしまった。壮くん、主演作に恵まれない男、と仲間内で認定。

私は「天の鼓」を観ていないので、どの位トンデモ作品かというと比較対象になるのは「愛しきひとよ」かな?あれを300%くらいうすーくした感じだと思った。主題と伏線のとっちらかり具合が似ている。生徒は頑張っている。でも話がどうしようもないのだ。

幕開けは、十数年ぶりに再会した幼馴染との恋愛話かな?と思わせられたが、次に父親との確執かな?いや、その父親が濡れ衣着せられてその復讐の話?ところが戦地へ送られて自国民としてのアイデンティティをかけた(現地住民との交流もあるし)戦場の話かな?でも上官と名前で呼び合う仲になり、友情の話かな?と、とにかくころっころと話の重心が移動していくのだ。

最初は一所懸命話を追いかけていたが、ムダと諦めたのは1幕最後辺りかなぁ。1幕目の最後のシーンというのは、それまでの話をとりあえずまとめ、次の2幕目へと話をつなげる重要な一場面だと思う。それが、壮くんとその恋人、上官エドウィンとその恋人の4人で歌うシーンで終わった(緒月くんいたっけ?)。け、結局何が言いたいの???

(ほら、4人で1幕最後を締めるっていうと「血と砂」思い出しちゃう人ですから、私)

2幕目になると、主人公の恋人の名前はエドウィンだったかしら?と私ですら首を傾げるほどジェフリーはその名前を連発。元々の恋人は忘れられ、なんだか妙な悲恋の物語に傾いていくし。

エドウィンが死んだ辺りでそれは最高潮に。でもそれだけ大切なら、死に際はしっかり抱いていてあげてよね。砂の上に放り出さないでさ。最後のお願い、恋人を父親に会わせてあげてよねー。

「戦死広報」だが、私は頑張って全員の名前を見ていた。エドウィンの名前がないのはどういうこと?もしかして死んでなかったの?それともジェフリーと間違えられた?など考えて上から下まで何度も見ていたけど、エドウィンの名前はなかった(断言)。これも伏線の一部かしら、とわくわくしていたけどその後特に何もなく、単に忘れられただけと判明。可哀想に。

さらに話は転がっていく。ジェフリーの父親だったはずの汝鳥伶さんが、エドウィンの父親として再登場。いいんだろうか。誰も笑ってなかったから、いいんだな、みんな違う人に見えていたんだな。でもって、とっても熱く出番の多い看護婦さんが出てきて話は「おーい、どこ行くの?」状態。

最後には元々の彼女とハッピーエンドだったけど、ねぇ。フィナーレはよかったです。もっと見たかった。

終演後、友人たちと笑うしゃべる突っ込む、が終わらなかった。しゃべるしゃべる。皆、見ながら突っ込みたくてたまらなかったらしい。ああ、楽しかった。

私は急に行けなくなったサトリさんのお席で見せていただいたので、とてもいいお席だった。壮くんの美しい顔は見放題、ドレスの衣擦れの音まで聞こえる。だからまだ、観られたと思う。良席マジック。後ろの席で観ていたら、怒って・・もとい、笑っていたかもしれない。

繰り返すが、生徒はよかった。壮くん、美しかったです。首が長いから軍服似合うし、お尻も小さいし。真ん中(主演)も作品はさておき何作かやってきてるから余裕。でも私も「××ずー」「○○ずー」ってこの歌詞の語尾、何かしら?と思った。何かそういうキーワードの名詞だと思っておくことにした。終演後「はず」
だったと緑野師匠に教えていただいた。師匠、耳がいいなぁ。

で、登場したときから私@ケロファン=濃いモノ好きの目を引いたのが、凰稀かなめちゃん。壮くんよりはるかに色気がある。雪組にこんな濃い人いたかしら?と喜んで見ていた。新公卒業前と聞いてびっくり。壮くんの上官で全く違和感ないんですけど?師匠からも「「み」さん、好きでしょ?」と看破された。いやん、こうやって新しいご贔屓に落ちるものかしら。でも私はもうケロちゃんで最
後にするんだから!!

ま、色気は相対的なものだし、壮くんの隣にいたせいかもしれないし、シメさんの演技指導の賜物かもしれない。このまま雪に置いといてかしげちゃんのように薄くなっていくのはもったいない、ぜひ星組に異動して欲しい。

異動といえば緒月遠麻くん。きりやんそっくりでびっくりした。顔もメイクも歌も。ぜひ月に異動して欲しい。このまま雪に置いといてはまこさんのようになっていく以外の道もあるのでは、という説も(星へ行ってわたるくんのように、を主張していた人もいた)。

ヒロインの涼花リサちゃんは登場の白ドレスがよく似合って、お化粧もヒロインしていてとっても可愛かった。1幕目の最初と2幕目の最後以外は、全て幻としてしか出てこないってのはもったいなかった。

ジェフリーとエドウィンの仲間(だよね?)でエリックというのがいるのだけど、ゆうひくんに似ていた。紫友みれいちゃんだった。すぐ死んじゃうけど。

この話、例えば「はいからさんが通る」みたいに(ヒロインを置いて戦場に行かねばならなかったが、そこで友情を得、苦難の末ヒロインの元に帰る、とか)して、さらに主人公の色気一発!で通せばもっと普通になったんじゃないかなぁ、と思う。これ、今度は音月桂ちゃんがやるんだよね?新公ですら、余裕で別作品に仕上げる力のあるキムくんが、他の若い子ちゃんたちを引き連れてどういう風
にするのか、すごい楽しみ。

今年のバウは実は初めて観劇した。子供を預ける苦労をしてまで観たいと思っていなかったから観る予定はしていなかった。
でもこの作品を観て、考えが変わった。「とにかく観てみないとわからない!」。このトンデモ具合は観劇記をどれだけ読んでも実感としては感じられない。生で観たからこそ、あそこまで楽しめた。今後も頑張って観劇しよう!そう思えた作品だった。ま、観劇後に皆と語り合ったからこそ、かもしれないけど。
一人で観に来ていたら「私の貴重な観劇機会をこんな作品で埋めてしまった!」と怒りに燃えて帰り道、運転していたかもしれないな(笑)。皆さん、本当にありがとうございました。

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