花楽観劇。

会社はこっそりお休み。GW中は息子べったりか仕事だったので、1日くらい自分のための休日が必要、と自分に言い訳し、息子は保育園に預けてムラへ。緑野こあら師匠も楽をご覧になるので、何時頃から行かれますか?と待ち合わせ時間を決める。せっかくだから樹里ちゃんの入りみて、おしゃべりしましょうということになった。

のに、10時前にはムラに着いていたのに、開放感から本屋で立ち読みをしていて、樹里ちゃんの入りに間に合わず。まぁ、どうしても見たかったわけではなし。というか、樹里会の白い会服の群れを見ていたら、あの日のことが思い出されてしまった。マトモに入りを見ていたら、傷ついてしまったかもしれないな、などと思う。

師匠と合流し、おしゃべり、お茶、おしゃべり、おしゃべり、ランチ、おしゃべり。とっても楽しかったです。ありがとうございました。

1時前に劇場へ。今公演初めての2階席。オギー作品は2階から見ても美しい。

お芝居、初日、途中、楽と3回目の観劇になってきて、出演者たちがすっかり役に入り込んでいるのがよくわかる。やっぱり私はあすかちゃんイヴェットが好き。回想シーンのおさちゃんとのデュエットでぞくっとした。回想シーンの京三沙さんのささくれのある歌声が、現実を歌っていてこちらに突き刺さってくる。「金の薔薇が売れました」。伯母にとって売り物はオリガだったのだろう。
としこちゃんもやっぱりすごい。腕を自分に巻きつけるようにして座っているポーズがいくつかあるのだけど、“ああ、蛇がとぐろを巻いている”と感じた。今回やっとリュドヴィークに感情移入できた。彼の女性たちへの気持ちをたどっていくと、結局、ああなってしまったという状況に納得できた気がした。最後、傷を追いながら暗闇をさまようとき、やっと本音が伝わってきた気がする。
ふーちゃんはなぁ。彼女なりに頑張っているのだろうけど、どうしても未亡人役者なんだよな、と思った。もう未来と自分の間に消せない線を引いてしまった未亡人でないと、彼女の風情に合わない。「エイジオブイノセンス」があまりにベストキャストだったんだなぁ。檀ちゃんの衣装でセリ上がってくるところ初々しい表情に見えないのが辛い。微笑むような表情がいまひとつなのではないかな?どうだろう?生真面目に目を見開いて少女を表現することはできないだろうか?檀ちゃんや花ちゃんなら難なく少女に化けられるなぁ、きっと。ふーちゃんはそのタイプではないんだから、もうちょっと工夫して欲しい。

樹里ちゃんが舞台に登場するたびに大拍手。退団するんだな、と実感する。数ヶ月前の誰かさんのように。

樹里ちゃんのお芝居の役は、私はオギーの樹里ちゃん退団への餞になっていると思っていた。だって同期にちゃんと殺してもらうんだもん。でも、師匠にその話をすると「オギーは樹里ちゃんに敬意は払っているけど、愛情は感じられない」と分析していただいた。死なせ方にもいろいろある、と。そうかぁ、なるほどな。ケロちゃんには愛があった、かな、うん。オギーは77期が気に入っているのかもしれない。コムちゃん、とうこちゃん、オサちゃん、なるちゃん、としこちゃん・・・。同期のように永く付き合ってきて、生徒さんたちの個性を目に見えないところまでつかめているのかもしれない。

でも私は樹里ちゃんのレオンは嫌いじゃない。樹里ちゃんらしい役、なんじゃないかな。小悪党ではあるけれど、悪人じゃない。良心や野心を持ち合わせた、等身大の人物。それゆえに切ない。歯がゆい哀しさがある。それがストレートに伝わってくる。
またケロちゃんとの比較になっちゃうけど、ケロちゃんが悪党やると大悪党になっちゃうんだよー、必要以上に。「サラン愛」なんて従えてる部下が越リュウとまちおだったから、余計に悪党でさ(涙)。師匠も以前語っておられたけど「長安」だって皇帝陛下が大大大好きな忠実な部下だったのに、悪人に見えちゃってたみたいだし。んでもって腹に一物抱えてるような含みのある人物に見える。

だから、それは持ち味で。レオンはオギーが樹里ちゃんに当てた役なんだと思う。

樹里ちゃんが死ぬ場面、そのまま盛り上げる音楽がかぶさるので、拍手が上手く入らなかった。入れてあげたほうがいいかもしれないが、難しいところだった。

お芝居が終わって、幕間に師匠とおしゃべり。感受性の強い師匠はまた涙を流しておられた。

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