汐美さん退団後、じめじめしていた私だからGSというイベントもさほど気には止めていなかった。だが、緑野こあら師匠やkineさんが「観たいけどTCAよりこちらのチケットの方が心配」とおっしゃっているのを聞いて、「ふーん、皆さんが御覧になるなら一応チケット取ってみようか。平日だし、ま、取れてからどうするか考えよう」と気軽に手配した。

幸いなことに、2公演とも取れた。その時は2公演とも観る気はなく、仕事が抜けれそうだったら昼だけを、抜けれなさそうだったら夜だけを観るつもりだった。チケットはギリギリでもさばけるかな?と手元に持っていた。

どの組の誰が出るかもあまりチェックせず、羽山先生の作品も気に掛けず、TCAを観たり、オギーの花組芝居を観たりしていた。

一般発売後、師匠が2公演とも御覧になるということを知った。「ダンス公演だから2回観ないとわからないと思って」と。そうか!ダンス公演だったんだ。誰がどこに出て来るか、全然わからないんだから、私も2回観ればいいんだ。そんな選択肢も思い浮かんでなかった。

2公演とも観る気満々になってきた私。公演前後、師匠とおしゃべりできたら楽しいだろうなぁ。

公演日が近付いてくるにつれ、ちょっとずつネット上に演目が漏れ始めてきた。やーばーい。全然、わからない。

たった4年半しか宝塚ファンしてない私。知っている演目はどうも「With a Song in My Hart」のチャイナドールだけらしい。その頃にはチケットも高騰している事に気付き、なんだか私が2公演も観ていいものか、と自己嫌悪に陥り始めた。観たい人がいっぱいいるのに、2公演ともB席のてっぺんとはいえ、いいんだろうか。ご贔屓が出ているわけでもないのに。

観ても全然わからない、楽しめないかもしれない。

だから、都合で夜は絶対観られない、とわかったとき、なんだかほっとした。悔しい気持ちが4割、でも貴重な公演をこんな人間が観るべきではなかったんだ、神様がそうおっしゃったんだ、と思う気持ち6割、だった。

気持ちの中でチケットが右へ左へ揺れていた。

仕事が忙しく、昼公演も観るのは厳しい状況だったが、なんとか都合をつけたのは1公演なら観てもいい?神様、怒らないかな、と思えたし、師匠たちにもお目にかかりたかったから。

頑張って大劇場に駆け付けた。

感想。

素晴らしかった。胸のすくような公演、プロの仕事だった。楽しかった。観て良かった。いいものみせてもらえた。

どの場面もこの公演の一場面に選ばれただけある。迫力、美しさ、統制の取れた群舞、ダンス。そしてそれをこなす選抜された生徒さんたち。

私がよく知っている月組、星組が出ていたことも幸いした。オペラに入って来る生徒さんたちのたたずまいに覚えがあり、素晴らしい場面に出て、頑張って踊っている姿を観るのはひたすら嬉しかった。

こんなに素晴らしいなら、ぜひ花組も、宙組も出て欲しかった。

知らない演目だったが楽しめた。知らない場面だから楽しめた、とも言えると思う。知っていての楽しみもあるだろうけど、私はチャイナドールを観た時、オリジナルとつい比較してしまったから。全然知らない他の演目も、ひたすら感嘆しながら観ていた。

特に陶酔してしまったのは、2幕目のわたるくんを中心とした大階段の場面。大階段を小さく見せる男・湖月わたるの真骨頂のように思えた。もちろん1幕目も素晴らしかった。公演中なのにあの迫力。"うちのトップさんはすごいでしょ”と誇らしくさえあった。

だから、夜公演、わたるくんファンのkineさんに観てもらえることになって、本当に良かったと思った。

正直、1幕終わった時、「2回目も観たかったよ〜!」とじたじたしていた。観られないのに悔しがっていた。それほど気に入ったのだ。

でも、終演後、ばったりkineさんと合流できて、その姿が目に入った時「この人にあのわたるくんを観てもらいたい!」と強く強く思った。観てもらわなければ!と。

プレミアムチケットを持っている時は、実はいつも私は神様に聞いている。「私がこの公演、観てもいいですか?」と。小心者だから。ダメな時はきっとダメになるだろう。いい時はそっとB席の隅っこから観られるだろう。

今回は「1回は観てもいいよ、でも1回はわたるファンに観てもらいなさい」ってことだったのだと思う。

観て良かった。観てもらえてよかった。心から満足できた公演だった。

     ☆

真面目な話はこれ位にして。覚え書き兼感想。

・師匠のせいでっ!まちかめぐるが目について目についてしょうがないっす(泣)。幕間にそう言って訴えたら、師匠も同じだそうで。さらに「ゆうほさとるも目につくんです」とおっしゃるからっ!私は2幕目はゆうほさとるも目についてしょうがなくなりました。額に汗するはまこさんも。えーん。観たい人、他にもいっぱいいるのにっ!!呪いはすごいです。

・黒エンビの場面が多かったので、これはもう、着こなせてるかどうかが歴然とわかってしまいました。特に後ろ姿。誰とはいいませんが、下級生さんたちはやはりまだまだなんだな、と。

・上にも書きましたが、わたるくん、素晴らしい!あれだけの男役をしたがえて、なお真ん中で大きく輝いていました。トップオーラが出まくってます。今一番、脂が乗ってるんでしょうね。

・越リュウがいい仕事してました!扱いもよく、さすがダンサー。愛されてますね。

・水くんが芯の場面。キムくんも相変わらず毒々しいし、うめちゃんの開脚、いいんですか状態。男役の女装かと思いました。

・ゆうひくん、ダンス上手くなってます?カウントにも遅れないし、芯の入った踊り方になってきたように感じました。頼もしいです。

・話題のチャイナドール。オリジナル縮小率70パーセント(笑)。色気云々よりも「成功するかどうか」で舞台上も客席も緊張感で張りつめてました。終わってほっとした雰囲気が。

・場面転換が上手く行かず、暗転がちょっと長めだったりして、終演時間が押してました。予定より10分位遅かったんじゃないかな?

・舞台装置はとてもシンプル。1幕目はセリを上手に使い、2幕目は大階段を主に使っていてとてもよい構成でした。

・終演時のご挨拶がまたよかった。組ごとに下級生から一列にさっと袖から走り出て来て一礼。次に上級生。最後にトップさん。リサイタルならでは、ですね。

・イシちゃんのご挨拶もきちんとまとまってました。

・このDVDはご贔屓が出ていれば、どんな下級生でも“買い”だと思います。この公演に出て踊っただけですごいことなんじゃないでしょうか。

こんなところでしょうか。また思い出したり、他の方の感想読んで刺激されて書き足したいところが出てくれば書きます。

     ☆

白木蓮さま、お世話になりました。お疲れさまでした。遠路はるばるいらした甲斐があった公演でよかったですね。またお目にかかれると嬉しいです。

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