パレルモの主人公たちは愛しあえたはずだった
2005年12月6日 宝塚私は前の月組大劇場公演を観なかった。なんだか腰が重かった。大劇場公演、チケットなんて確保してなくても、観られないことなんてまず、ない。宝塚に関しては、恵まれた場所にいる私。なのにぐずぐずしているうちに終わってしまった。
そして、反省した。
緑野こあら師匠の日記が・・・・何を言っているかわからない。いや、師匠の文章、わからないなんてことはありえない。ふつーの人間が日常生活を乏しい文章力で書き散らした日記とは訳が違う。読まれることを意識して書かれた文章。
私がわからないのは、中味、なのだ。
わからないのではない、味わえないのだ!月組公演についてあーんなことやこーんなことを書かれているのに、それがわからない。「うんうん」とうなずけない。「そうそう、そうだったのよ!」と握りこぶしもできない。
つまんない。
関西在住で、ほぼ全ての宝塚の舞台をご覧になって、日記できめ細かく素晴らしい感性と文章で、感想書いてくださっている方がいらっしゃるというのに、その日記を楽しめないなんて!きいーっ。悔しいっ!
だからちゃんと観劇しようと思った。
観劇してこそ初めて、師匠の文章を隅々まで味わえる。と、ご本人に真面目に伝えたら、呆れられた。「それが観劇の理由だなんて」と。でもやはり師匠の日記を読んでいる友人は「その気持ち、わかります」と笑って同意してくれた。
でもそういうもんじゃないかなあ?私は宝塚を観るようになったばかりの頃は一人で観て一人で帰っていた。ヒマだから車で山越えしてみたり。それはそれで楽しかった。でもネットで知り合った友人たちと観劇後におしゃべりするようになってから、もっと楽しくなった。
あそこはああいうことよね?え?そういう解釈もあるんだ。誰々ちゃん、良かったよね、あの演出はちょっとどうかな?etc.関西だとどの組もまんべんなく観ている人が多いから、話は尽きない。いくらでもおしゃべりできた。他の方の感想を聞いて発見することもあり、また次の観劇意欲がわいてきた。
師匠の文章はおしゃべりよりさらに新しい発見や感動をもたらしてくれた。なるほど、そういうことだったのか!なんかぼんやり感じていたことが、あざやかに描き出される文章。そんな見方もあったのか、思いつかなかったことも教えてもらえる。
でもそれらは、実際に舞台を観ていないとダメ。うなずきの角度が違うのだ。観てから師匠の文章を読むと、上下に90度以上、首を振れてしまう。
子供ができてからはゆっくりおしゃべりすることも難しくなってしまったから、師匠の文章は私には何にも代えがたいものなのだ。
ちゃんと観劇しよう。舞台も師匠の文章も味わい尽くすんだ。
で、頑張って花組を観にいった。いや、元々ちゃんと観るつもりではいた。パレルモは以前行ったことがあって、そこを舞台にした作品ということで楽しみだった。シチリアのあの何ともいえない寂寥感のある雰囲気が出てるかな?キリスト教とイスラム教の混じった場所。景子先生だし、きっとこだわりの作品なんだろうな。
いやはや、べったべたのラブロマンス。でも普通の人に「宝塚ってこうなんですよ?」と紹介できる作品だな、と思った。「炎」はちとまずいだろうし、「長崎」はやめとけだし、「マラケシュ」はヅカ的じゃないし。次は「ベルばら」だし。
ふーちゃんの退団作品。ドレスがとっても素敵だった。登場するときのドレスが一番好きかな。回りからひとり浮くほど(笑)きれいだった。他のドレスも上品でセンスがよくてさすが景子先生。どんな子でも娘役になったからには、こんなドレス次々と着てみたいだろうなぁ。
あすかちゃんは現代パートのヒロイン。すらりとした脚が美しく、とってもキレイ。一花ちゃんも可愛いし、彩音ちゃんもお嬢様。きほちゃん、歌も姿も可憐で美しい。もちろん男役も、ゆみこちゃん、まとぶん、らんとむ、そのか、さおたさん・・・ちゃんとみんな使いこなしている。さすが景子先生(まっつは物足りなかった)。悪い役がいないんだよね。それなのに、ちゃんと物語がドラマとして進んでいく。
オサちゃんも軍服がぱりっと似合って格好よかった。
でもね、私は観ながら不思議だなぁ、なんか変だなぁと思っていた。だって、オサちゃんにしてはまっとうなんだもの!正攻法でヒロインの父に、昔の仲間に、人生に対峙している。なんだかお尻がこそばゆい違和感があったのだ。いつヴィットリオは本性を表すんだろう、などと思いながら観ていた。
もちろん、ヴィットリオにそんな本性はあるわけもなく、お話も半ばを過ぎた辺りから「これはこういう物語なんだわ、美しい絵物語なんだわ」と知らずのうちに納得して見ていたような気がする。演じられたヴィットリオとアンリエッタのおとぎ話。正攻法な主人公は、当然のように彼のために用意された器に迎え入れられ、おとぎ話はハッピーエンドだった。
ま、こんなもんか。でも楽しかった美しかったし。もともと景子先生はオサちゃんのために書いた役じゃないんだろうし。でももう一回観たいな。なんて思っていた。
そしてしばらくして、師匠の花組新公の感想がアップされた。それを読んで愕然とした。そうだったんだ・・・そうだったんだ・・・ヴィットリオとアンリエッタは愛し合うことができるはずのお話だったんだ。知らなかったよ。そう思ってみていなかったよ。そうでなくてもいいと知らずのうちに納得していたよ。
オサ・ヴィットリオとふー・アンリエッタは愛し合っていた。でもその前に、頭のよさを生かして人生を上ろうとしている男と、家や自分自身の人生を大切にする女、という立場があってこその愛だったよ。そしてさらにその前に、安定期に入ったトップスターと、退団公演中の娘役トップだったよ。
それが悪いわけじゃない、それで私は納得し、満足して劇場を後にしたんだもの。でも、愛し合うこともできる二人の物語として書かれていたんだ。
師匠の文章は、こうやって自分で気づいてなかったことに気づかせてくれることがたくさん、ある。私は関西人だから同じ料金を払っても、こうやって何度も発見があって楽しませてもらえるとものすごーく得した気になる。ありがたいことだ。
数年前、偶然検索でひっかかって師匠の日記にめぐり合って、以来、毎日ほぼ欠かさずアクセスさせていただいている。時々過去の日記を読み返させていただくこともあったりする。これだけ書き続けることってどれだけ大変なことか。これからも一読者として心より応援させていただけたらと思っております。
ショーは楽しかったです。前の「アジアンサンライズ」も結構楽しんで観ていたので、懐かしかった。前のときはタモさんが真ん中にいたよなぁ。あのあっかるいタモさんのショーがオサバージョンになってどうなるかと思ったが、ちゃんとオサちゃん的シーンも入っていて似合うようになっていた。
衣装の使いまわしで気づいたのは、中詰めのふーちゃんの濃いピンクのワンピースは、「ESP」の中詰めで檀ちゃんが着ていたもの。あすかちゃんとらんとむくん(だっけ?)の結婚式のシーンでまとぶんたちが着ていた海軍士官のお衣装は、「Withナントカ」の南の島の合コンシーンで、ケロちゃんたちが着ていたものだと思う。あの生地の弱り具合からも多分、そう。中日まで着てたからねー。
しつこくこうやってまみ&ケロの時代の影ばかり追い掛け回している、へタレな私です。
え?オヅキ?何のこと?(でもどーして新公アンドレじゃないの!?幕降りるまで一所懸命見ていたら、視線、ちょっとだけくれたような気がします。いい子だ〜)
そして、反省した。
緑野こあら師匠の日記が・・・・何を言っているかわからない。いや、師匠の文章、わからないなんてことはありえない。ふつーの人間が日常生活を乏しい文章力で書き散らした日記とは訳が違う。読まれることを意識して書かれた文章。
私がわからないのは、中味、なのだ。
わからないのではない、味わえないのだ!月組公演についてあーんなことやこーんなことを書かれているのに、それがわからない。「うんうん」とうなずけない。「そうそう、そうだったのよ!」と握りこぶしもできない。
つまんない。
関西在住で、ほぼ全ての宝塚の舞台をご覧になって、日記できめ細かく素晴らしい感性と文章で、感想書いてくださっている方がいらっしゃるというのに、その日記を楽しめないなんて!きいーっ。悔しいっ!
だからちゃんと観劇しようと思った。
観劇してこそ初めて、師匠の文章を隅々まで味わえる。と、ご本人に真面目に伝えたら、呆れられた。「それが観劇の理由だなんて」と。でもやはり師匠の日記を読んでいる友人は「その気持ち、わかります」と笑って同意してくれた。
でもそういうもんじゃないかなあ?私は宝塚を観るようになったばかりの頃は一人で観て一人で帰っていた。ヒマだから車で山越えしてみたり。それはそれで楽しかった。でもネットで知り合った友人たちと観劇後におしゃべりするようになってから、もっと楽しくなった。
あそこはああいうことよね?え?そういう解釈もあるんだ。誰々ちゃん、良かったよね、あの演出はちょっとどうかな?etc.関西だとどの組もまんべんなく観ている人が多いから、話は尽きない。いくらでもおしゃべりできた。他の方の感想を聞いて発見することもあり、また次の観劇意欲がわいてきた。
師匠の文章はおしゃべりよりさらに新しい発見や感動をもたらしてくれた。なるほど、そういうことだったのか!なんかぼんやり感じていたことが、あざやかに描き出される文章。そんな見方もあったのか、思いつかなかったことも教えてもらえる。
でもそれらは、実際に舞台を観ていないとダメ。うなずきの角度が違うのだ。観てから師匠の文章を読むと、上下に90度以上、首を振れてしまう。
子供ができてからはゆっくりおしゃべりすることも難しくなってしまったから、師匠の文章は私には何にも代えがたいものなのだ。
ちゃんと観劇しよう。舞台も師匠の文章も味わい尽くすんだ。
で、頑張って花組を観にいった。いや、元々ちゃんと観るつもりではいた。パレルモは以前行ったことがあって、そこを舞台にした作品ということで楽しみだった。シチリアのあの何ともいえない寂寥感のある雰囲気が出てるかな?キリスト教とイスラム教の混じった場所。景子先生だし、きっとこだわりの作品なんだろうな。
いやはや、べったべたのラブロマンス。でも普通の人に「宝塚ってこうなんですよ?」と紹介できる作品だな、と思った。「炎」はちとまずいだろうし、「長崎」はやめとけだし、「マラケシュ」はヅカ的じゃないし。次は「ベルばら」だし。
ふーちゃんの退団作品。ドレスがとっても素敵だった。登場するときのドレスが一番好きかな。回りからひとり浮くほど(笑)きれいだった。他のドレスも上品でセンスがよくてさすが景子先生。どんな子でも娘役になったからには、こんなドレス次々と着てみたいだろうなぁ。
あすかちゃんは現代パートのヒロイン。すらりとした脚が美しく、とってもキレイ。一花ちゃんも可愛いし、彩音ちゃんもお嬢様。きほちゃん、歌も姿も可憐で美しい。もちろん男役も、ゆみこちゃん、まとぶん、らんとむ、そのか、さおたさん・・・ちゃんとみんな使いこなしている。さすが景子先生(まっつは物足りなかった)。悪い役がいないんだよね。それなのに、ちゃんと物語がドラマとして進んでいく。
オサちゃんも軍服がぱりっと似合って格好よかった。
でもね、私は観ながら不思議だなぁ、なんか変だなぁと思っていた。だって、オサちゃんにしてはまっとうなんだもの!正攻法でヒロインの父に、昔の仲間に、人生に対峙している。なんだかお尻がこそばゆい違和感があったのだ。いつヴィットリオは本性を表すんだろう、などと思いながら観ていた。
もちろん、ヴィットリオにそんな本性はあるわけもなく、お話も半ばを過ぎた辺りから「これはこういう物語なんだわ、美しい絵物語なんだわ」と知らずのうちに納得して見ていたような気がする。演じられたヴィットリオとアンリエッタのおとぎ話。正攻法な主人公は、当然のように彼のために用意された器に迎え入れられ、おとぎ話はハッピーエンドだった。
ま、こんなもんか。でも楽しかった美しかったし。もともと景子先生はオサちゃんのために書いた役じゃないんだろうし。でももう一回観たいな。なんて思っていた。
そしてしばらくして、師匠の花組新公の感想がアップされた。それを読んで愕然とした。そうだったんだ・・・そうだったんだ・・・ヴィットリオとアンリエッタは愛し合うことができるはずのお話だったんだ。知らなかったよ。そう思ってみていなかったよ。そうでなくてもいいと知らずのうちに納得していたよ。
オサ・ヴィットリオとふー・アンリエッタは愛し合っていた。でもその前に、頭のよさを生かして人生を上ろうとしている男と、家や自分自身の人生を大切にする女、という立場があってこその愛だったよ。そしてさらにその前に、安定期に入ったトップスターと、退団公演中の娘役トップだったよ。
それが悪いわけじゃない、それで私は納得し、満足して劇場を後にしたんだもの。でも、愛し合うこともできる二人の物語として書かれていたんだ。
師匠の文章は、こうやって自分で気づいてなかったことに気づかせてくれることがたくさん、ある。私は関西人だから同じ料金を払っても、こうやって何度も発見があって楽しませてもらえるとものすごーく得した気になる。ありがたいことだ。
数年前、偶然検索でひっかかって師匠の日記にめぐり合って、以来、毎日ほぼ欠かさずアクセスさせていただいている。時々過去の日記を読み返させていただくこともあったりする。これだけ書き続けることってどれだけ大変なことか。これからも一読者として心より応援させていただけたらと思っております。
ショーは楽しかったです。前の「アジアンサンライズ」も結構楽しんで観ていたので、懐かしかった。前のときはタモさんが真ん中にいたよなぁ。あのあっかるいタモさんのショーがオサバージョンになってどうなるかと思ったが、ちゃんとオサちゃん的シーンも入っていて似合うようになっていた。
衣装の使いまわしで気づいたのは、中詰めのふーちゃんの濃いピンクのワンピースは、「ESP」の中詰めで檀ちゃんが着ていたもの。あすかちゃんとらんとむくん(だっけ?)の結婚式のシーンでまとぶんたちが着ていた海軍士官のお衣装は、「Withナントカ」の南の島の合コンシーンで、ケロちゃんたちが着ていたものだと思う。あの生地の弱り具合からも多分、そう。中日まで着てたからねー。
しつこくこうやってまみ&ケロの時代の影ばかり追い掛け回している、へタレな私です。
え?オヅキ?何のこと?(でもどーして新公アンドレじゃないの!?幕降りるまで一所懸命見ていたら、視線、ちょっとだけくれたような気がします。いい子だ〜)
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