笑い死に寸前の「雪ベルばら」
2006年2月25日 宝塚ベルばらのチケット取りをしていた頃、緑野こあら師匠がおっしゃった。「オサドレ観たいですよね!オサドレ!」。私はもーベルばらはもーどーでもよく、「はぁ」と生返事をしていた。すると師匠は続けておっしゃった。「オサちゃんとコムちゃんですよ?運動会で見たでしょ?一緒に表彰されるのに、コムちゃんはオサちゃんが来るのを待たずに一人で表彰台に上がったじゃないですか。他のジェンヌさんたちはみんな、揃ってから台に上がったのに」「愛のないオスカルとアンドレ!?観たいです!」
ネタ公演ばっかり観たいと思うのはどーでしょうねぇ。それに仮にも他組のトップさんをお迎えしてやる公演、3日間しかないからチケット難で大変だった。心優しい師匠が、オサドレ楽チケットを譲ってくださったので、こんな不心得者ですが観ることができました。
・・・・・期待を裏切らない「ネタ」公演でしたわ!
せっかく星組「ベルばら」観て、回数観るのはきついけど、まぁ、面白かったわ、わたるくんカッコいい!となみちゃん素敵!と喜んでいたのに。
一体どこから書けばいいのか。うーんうーん。極力順を追って、思い出せるところから順番に書いてみようと思います。
最初のプロローグの歌が終わって、セリあがってくるのはアンドレさま。オサさまはまぶたも青く堂々とした化けっぷりだが、いかんせんトップスター。お衣装はゴージャスだわ、態度は立派だわ、劇場全体へ余裕のアピールだわ・・・どうも化けきれずにしっぽだけそのままのお狐さまのよーだなぁと思って見ていた。
舞台に戻り、アンドレの影なんですかね、色違いのアンドレちっくな若手男役が一杯出てくる。わーいわーい、水、かしげと並ぶと豪華ねぇ、オヅキ〜と喜ぶ私の視界に飛び込んでくる、まちかめぐる、そしてハマコ氏。じ、人選これでいいんすかねぇ?
コムちゃんが大階段に登場。いやぁ、似合うわ。やっぱり。金髪が実際生えてるというか地毛のような板につきぶり。顔が痩せたのか、頬骨、鼻も高く、色も白く塗っていてオスカルそのまんま、という感じに見えた。
続いてまーちゃんが大階段を歌いながら降りてくる。うーん?みんなシャンシャン手に持ってるし、もうフィナーレなの?なわけはないが。
ジャルジェ家の場面。お姉さま方、子役なしなんですね。いいけど。木の裏で入れ替わる演出は今までどおり。ここでチラッとアンドレが目を押さえるのが、一応伏線らしい。
なんかよーわからんが、まーちゃんロザリーをトップ娘役の役として成立させるために、ロザリーエピソードがたっぷりあった1幕目だった。ロザリーのお衣装が豪華でねぇ。トップさんの衣装というのは、デザインや色も大切だが何よりその生地の質感が大切、というかいいものを使っていると聞いたことがあるけど、ロザリーもそう、ピンクのシンプルなドレスでもその豪華さは2階席にもわかるほど。小間使いってのが無理だって。
幕前芝居があって、幕が開くと、ジャルジェ家の居間(?)におやじさんが座っていた。誰かと思えばベルナールだった!!!私は知らなかったんだよー、ハマコ氏がベルナールって!!この前の星のベルナールは全ツがゆかりちゃんで、大劇はしぃちゃんだった。それぞれ美しく、格好よかった。だから余計びっくりした。
ハマコ氏は相変わらずハマコ氏で相変わらず熱く語り続ける。ロザリーも同じ境遇だが「親が片方貴族」で「オスカル様に引き取られた」んだそうだ。無理があるよその設定!自分よりはるかに年上のおやぢさんを“引き取る”かぁ?でもって黒い騎士だったって?それも無理がある!黒い騎士は2001星でヒロコさんがやっておられたが、黒づくめの似合うそれは美しく格好よい青年だったんだから、さ。ハマコ氏にベルナールやらせるんだったら、キャラ設定変えてよお・・・(むなしい叫び)。じゃないとギャグになっちゃうって。
無理のある設定はまだ続く。オスカルを慕うロザリーに持ち込まれたベルナールとの縁談。嘆くロザリーの幻想が始まる。
ロザリーの嘆きってこの話にここまで必要なんでしょうか?その前の場面でも説明セリフが延々繰り広げられていたせいもあって、話のテンションが上がっていかない。ベルばらって、何だかよくわからないけど豪華な場面を次々繰り出されて盛り上がり、それを観ている間に「なんか豪華な宝塚を見たわ」ってごまかされて終わる部分もあるじゃないですか。この雪組版、さっぱり盛り上がらない。
ぼーっと観ていた私、八百屋舞台の上でオスカルが後ろ向きに立つ。振り返ったその人はまちかめぐる!噴出しそうになった。次々とオスカルが出てくる。仮面をつけたってまちか氏とすぐわかる。退団だからしょうがないけど、あまりの存在感っていうかインパクト。
何人もオスカル出すってのもねぇ。つい先日、保育園で息子の劇を見た。サルカニ合戦でもカニ5匹、サル5匹、栗2個、石臼3個・・・いや2歳児だからね、人数それ位いないとみんなでセリフいえないしダンスもできないわけですよ。保育園の劇並みなのか、宝塚。
衛兵隊は水アラン格好いい!似合うわぁ。衛兵隊の中にキムも壮もオヅキもかなめもいる。わーい。でも絶対一番に目に入ってくるのはまちか。とほほ。まちかファンの師匠が私の双眼鏡に魔法をかけたらしいです。
衛兵隊は食べるものに事欠いていて、特にオヅキは栄養失調で入院ということになっていますが、それは建前です。きっぱり。女にいえないちょっと恥ずかしい理由で入院してるんです。あの豊満な下半身、栄養失調なわけはありません。絶対。
アンドレはあんまり出番がない、というか、他の人にからまない。一人で出てくる場合が多い。1部の最後も堂々とひとり銀橋に登場。とにかくこのアンドレさま、「さま」をついつけてしまうほど堂々としていて偉そう・・・失礼、で、平民に見えない、いや、見えるんだけどなんか違うって。トップスター春野寿美礼様だって。客席に来ているのはオサファンが多いせいもあるだろうけど、実に小気味よく客席にアピールしている。いやあ、芯までトップなんだなぁ、と感服した。
そのアンドレが「ペガサスが云々」「肖像画が云々」「目が見えなくても云々」と銀橋でいい終わると、さて、舞台全面に原作者の絵が現れる。ペガサスに乗ったオスカル様だ。そういやあ原作でも肖像画描かせるっていうエピソードあったよなぁ、と思いつつ眺めていて妙なことに気がついた。
オスカル様が足を乗せてる鐙(あぶみ)が、手綱の付け根、つまり衡(ハミ)のところから始まっているのだ。
(参考:馬具用語解説)
http://www5f.biglobe.ne.jp/~north2/kihon.htm
ってーことは、オスカル様が足を乗せると、馬の頭がさがっちゃうわけですわ。これで乗れるの?走れるの?すっごく変。ペガサスともなると足で押さえられたところで平気で頭があがっちゃうのかなぁ?
原作の肖像画もこんな絵でしたっけ?しばし首をひねっていたが、その直後に出てくる「肖像画を具現化したペガサスに乗るオスカル様」の衝撃に、そんなささいな疑問も吹っ飛んでしまう。
噂は聞いていたよ。でも実物見るとその衝撃度は想像以上!肖像画を模した格好のコムちゃんがペガサスの背中に乗ってる。そのペガサス、なんていうんでしょうね、ハシゴ車の籠の部分についているというか、クレーンで持ち上げられるような仕組みなんですわ。で、オケボックスの上辺りまでぐーんと伸び出して、右、左、中央と上下するわけですわ。
その間、コムちゃんは満面の笑顔。あまりの衝撃で、バックの音楽がどうだったかとかも忘れてしまった。2階席から観ていたので、クレーン地上部分の後ろに3人のスタッフさんの頭が見えた。左右に動かすのはどうも人力でやっているらしい。
唖然としているうちに1幕終わり。会場がざわついている。ざわついているっちゅーより、ぶっちゃけ皆「笑ってる」んです!盛り上がらないと途中不満だったけど、笑わせて盛り上げて欲しいとまでは思ってなかったって。
私もお腹を抱えながらロビーに転がり出て、友人と合流し笑い転げた。もうコムちゃん気の毒で。誰だよ、あんな演出考えたの。休憩の間中、話題は尽きることなくおしゃべりは続いた。
2部。
なんかよくわからないうちに、オスカルに縁談。私はかしげちゃんは目の前を通られても気付かないくらい苦手っていうか、目に入らない人だったんだけど、今回のジェローデルはイイ!私のジェロスタンダードはねったんなんだけど、それと同じ位よかった。ああいう真面目面白い人っての、合うなぁ。なんか正統派で恰好いいんですけど!?
「私に預けてみませんか」がとってもナチュラルに聞こえてしまうのはなぜなんだろう。なんかこれなら宙組で真ん中に立たれても行けるんじゃないか?見たいかもしれないと思った。
で、ショックのあまりオスカルを毒殺しようとするアンドレ様。どうぞ、お好きになさって、ってななんちゅーか、当然のように感じてしまうのは何故?アンドレ様のやることを「主人公だから正しいはず!」的に感じてしまうのは、やっぱりもう私にはトップスター様としか見えてないせいだろうなぁ。
当然っていえばコムちゃんも。1部もそうだったんだが、彼女には全く葛藤が見えない。フェルゼンを想って悩んでるなんて気配、一切感じません。ロザリーが自分を想っていることにも気付かず、それを告白されても動じない。アンドレが自分を毒殺しようとしても「そーですか」的。貴族を裏切って平民につくのもそれが当然です。戦場?それって怖いですか?
すんげー強い。精神がずぶとい。私はオスカルはもっと心の葛藤を抱えている人だと思っていたが、コムカルには全くそれが見えないのだ。男はまぁ、いてもいいけど、いなくても別に一人で生きていけますがなにか?って感じ。
見た目やその存在は「女」。しぐさなどもまぁ、オトコ臭いといえばオトコ臭いけど女にちゃんと見える。コムカルを見たら、この前みたユヒカルが「男」だったことを確信できた。
でもそのユヒカルとコムカルが真っ向勝負したら、女のコムカルがばっさり、勝ちそうだった。それ位コムカルは強かった。
見た目は綺麗なんだけどねぇ。バスティーユで撃たれる場面なども目を見開いた表情も印象的で美しく、絵を見ているようなのになぁ。なんかオスカルとはどこか違うという気がした。
で、オサドレ様とオスカルとの間に愛はあったか?あったんでしょうねぇ。噛み合ってなかったけどさ。それぞれに自分なりに愛してるんだけど(側にいるっつーならどうぞレベルだが)、コムカルは低温だからそれを汲み取ってやらなきゃいけないし、オサドレはセリフの間は相手に向かって愛を説いてるんだけど、歌い始めると途端にナル入っちゃって相手のことがおろそかになってしまう。相手がやっぱり悪かったかもしれないねぇ、としか言いようがない。
今宵一夜もそんな感じ。悪くないんだけど、どーもラブシーンの熱が上がりきらないうちに終わった気がする。
最後のガラスの馬車、2人ともそれは楽しそうなんだけど、愛に満ち満ちたという感じには見えなかった。トップスターが2人いるなぁ、と思った。
話は戻るけど、宝塚で女が女に愛を告白するって、今までにもあったんでしょうか?ロザリーがオスカルに告白し、抱きしめられてるシーンを見てうろたえてしまいましたよ。私たちヅカファンはヅカ好きってだけで世間様から「レズ?」疑惑を浴びてしまうこともあるってのに、こんな作品のなかでそんなシーン作ってさぁ、私たちの立場を危うくするようなマネはしないで欲しい。そりゃわかるよ、女でも女のことを好きっていうか男女の区別なく尊敬し合うってのはさー。私も緑野こあら師匠、愛してるもん(大いばり)。でも夜中に相手の家まで忍び込んで告白したりはしないって。よく考えたら夜中に行く必要ないわけで。ダンナのベルナールだって公認の仲(?)なんだから堂々と行けばいいじゃんか。
しれっとベルナールの元へ戻ったロザリーは、革命の直前にオスカルの決意のまま進ませろとベルナールに言うし。もうあんた何者?って思ったよ。
作ってる方、やってる方は単にトップ娘役からトップへの愛の告白だから、いつもやってること、位に感覚麻痺しちゃってるのかもしれないなぁ。めそめそ。
フィナーレは、ピンクの衣装で男役が歌い継ぎ。オヅキ、かなめくんと一緒に出てたのは誰だろう?壮くんはやっぱり面白いなぁ。
びっくりしたのがロケット。あの衣装、何でしょう?参考にしたのはゴシック・ロリータなんでしょうか?なんか変。男役化粧のままの子たちにはより似合わないし。
化粧といえば今回のエトワールは美穂圭子女史なんだけど、美穂さん、芝居はアランの母親だから眉を細く老け顔に作っている。そのままの化粧でエトワールの豪華な衣装だからなんだか顔が浮いていた。母親化粧はそれはそれでとてもお上手だけに、余計に浮いていて気の毒だった。
そんなこんなでとっても楽しめた雪ベルばらだった。私は実はこっそり白状すると、衛兵隊でも群舞でも、気が付くとずっとオヅキを追いかけてしまっていた。せっかくオサ様が出て来るのにオサ様そっちのけで、オヅキばっかり見てた。オサ楽だからご挨拶もあるってのにその間すら、花道にいるオヅキみてました。告白。
ネタ公演ばっかり観たいと思うのはどーでしょうねぇ。それに仮にも他組のトップさんをお迎えしてやる公演、3日間しかないからチケット難で大変だった。心優しい師匠が、オサドレ楽チケットを譲ってくださったので、こんな不心得者ですが観ることができました。
・・・・・期待を裏切らない「ネタ」公演でしたわ!
せっかく星組「ベルばら」観て、回数観るのはきついけど、まぁ、面白かったわ、わたるくんカッコいい!となみちゃん素敵!と喜んでいたのに。
一体どこから書けばいいのか。うーんうーん。極力順を追って、思い出せるところから順番に書いてみようと思います。
最初のプロローグの歌が終わって、セリあがってくるのはアンドレさま。オサさまはまぶたも青く堂々とした化けっぷりだが、いかんせんトップスター。お衣装はゴージャスだわ、態度は立派だわ、劇場全体へ余裕のアピールだわ・・・どうも化けきれずにしっぽだけそのままのお狐さまのよーだなぁと思って見ていた。
舞台に戻り、アンドレの影なんですかね、色違いのアンドレちっくな若手男役が一杯出てくる。わーいわーい、水、かしげと並ぶと豪華ねぇ、オヅキ〜と喜ぶ私の視界に飛び込んでくる、まちかめぐる、そしてハマコ氏。じ、人選これでいいんすかねぇ?
コムちゃんが大階段に登場。いやぁ、似合うわ。やっぱり。金髪が実際生えてるというか地毛のような板につきぶり。顔が痩せたのか、頬骨、鼻も高く、色も白く塗っていてオスカルそのまんま、という感じに見えた。
続いてまーちゃんが大階段を歌いながら降りてくる。うーん?みんなシャンシャン手に持ってるし、もうフィナーレなの?なわけはないが。
ジャルジェ家の場面。お姉さま方、子役なしなんですね。いいけど。木の裏で入れ替わる演出は今までどおり。ここでチラッとアンドレが目を押さえるのが、一応伏線らしい。
なんかよーわからんが、まーちゃんロザリーをトップ娘役の役として成立させるために、ロザリーエピソードがたっぷりあった1幕目だった。ロザリーのお衣装が豪華でねぇ。トップさんの衣装というのは、デザインや色も大切だが何よりその生地の質感が大切、というかいいものを使っていると聞いたことがあるけど、ロザリーもそう、ピンクのシンプルなドレスでもその豪華さは2階席にもわかるほど。小間使いってのが無理だって。
幕前芝居があって、幕が開くと、ジャルジェ家の居間(?)におやじさんが座っていた。誰かと思えばベルナールだった!!!私は知らなかったんだよー、ハマコ氏がベルナールって!!この前の星のベルナールは全ツがゆかりちゃんで、大劇はしぃちゃんだった。それぞれ美しく、格好よかった。だから余計びっくりした。
ハマコ氏は相変わらずハマコ氏で相変わらず熱く語り続ける。ロザリーも同じ境遇だが「親が片方貴族」で「オスカル様に引き取られた」んだそうだ。無理があるよその設定!自分よりはるかに年上のおやぢさんを“引き取る”かぁ?でもって黒い騎士だったって?それも無理がある!黒い騎士は2001星でヒロコさんがやっておられたが、黒づくめの似合うそれは美しく格好よい青年だったんだから、さ。ハマコ氏にベルナールやらせるんだったら、キャラ設定変えてよお・・・(むなしい叫び)。じゃないとギャグになっちゃうって。
無理のある設定はまだ続く。オスカルを慕うロザリーに持ち込まれたベルナールとの縁談。嘆くロザリーの幻想が始まる。
ロザリーの嘆きってこの話にここまで必要なんでしょうか?その前の場面でも説明セリフが延々繰り広げられていたせいもあって、話のテンションが上がっていかない。ベルばらって、何だかよくわからないけど豪華な場面を次々繰り出されて盛り上がり、それを観ている間に「なんか豪華な宝塚を見たわ」ってごまかされて終わる部分もあるじゃないですか。この雪組版、さっぱり盛り上がらない。
ぼーっと観ていた私、八百屋舞台の上でオスカルが後ろ向きに立つ。振り返ったその人はまちかめぐる!噴出しそうになった。次々とオスカルが出てくる。仮面をつけたってまちか氏とすぐわかる。退団だからしょうがないけど、あまりの存在感っていうかインパクト。
何人もオスカル出すってのもねぇ。つい先日、保育園で息子の劇を見た。サルカニ合戦でもカニ5匹、サル5匹、栗2個、石臼3個・・・いや2歳児だからね、人数それ位いないとみんなでセリフいえないしダンスもできないわけですよ。保育園の劇並みなのか、宝塚。
衛兵隊は水アラン格好いい!似合うわぁ。衛兵隊の中にキムも壮もオヅキもかなめもいる。わーい。でも絶対一番に目に入ってくるのはまちか。とほほ。まちかファンの師匠が私の双眼鏡に魔法をかけたらしいです。
衛兵隊は食べるものに事欠いていて、特にオヅキは栄養失調で入院ということになっていますが、それは建前です。きっぱり。女にいえないちょっと恥ずかしい理由で入院してるんです。あの豊満な下半身、栄養失調なわけはありません。絶対。
アンドレはあんまり出番がない、というか、他の人にからまない。一人で出てくる場合が多い。1部の最後も堂々とひとり銀橋に登場。とにかくこのアンドレさま、「さま」をついつけてしまうほど堂々としていて偉そう・・・失礼、で、平民に見えない、いや、見えるんだけどなんか違うって。トップスター春野寿美礼様だって。客席に来ているのはオサファンが多いせいもあるだろうけど、実に小気味よく客席にアピールしている。いやあ、芯までトップなんだなぁ、と感服した。
そのアンドレが「ペガサスが云々」「肖像画が云々」「目が見えなくても云々」と銀橋でいい終わると、さて、舞台全面に原作者の絵が現れる。ペガサスに乗ったオスカル様だ。そういやあ原作でも肖像画描かせるっていうエピソードあったよなぁ、と思いつつ眺めていて妙なことに気がついた。
オスカル様が足を乗せてる鐙(あぶみ)が、手綱の付け根、つまり衡(ハミ)のところから始まっているのだ。
(参考:馬具用語解説)
http://www5f.biglobe.ne.jp/~north2/kihon.htm
ってーことは、オスカル様が足を乗せると、馬の頭がさがっちゃうわけですわ。これで乗れるの?走れるの?すっごく変。ペガサスともなると足で押さえられたところで平気で頭があがっちゃうのかなぁ?
原作の肖像画もこんな絵でしたっけ?しばし首をひねっていたが、その直後に出てくる「肖像画を具現化したペガサスに乗るオスカル様」の衝撃に、そんなささいな疑問も吹っ飛んでしまう。
噂は聞いていたよ。でも実物見るとその衝撃度は想像以上!肖像画を模した格好のコムちゃんがペガサスの背中に乗ってる。そのペガサス、なんていうんでしょうね、ハシゴ車の籠の部分についているというか、クレーンで持ち上げられるような仕組みなんですわ。で、オケボックスの上辺りまでぐーんと伸び出して、右、左、中央と上下するわけですわ。
その間、コムちゃんは満面の笑顔。あまりの衝撃で、バックの音楽がどうだったかとかも忘れてしまった。2階席から観ていたので、クレーン地上部分の後ろに3人のスタッフさんの頭が見えた。左右に動かすのはどうも人力でやっているらしい。
唖然としているうちに1幕終わり。会場がざわついている。ざわついているっちゅーより、ぶっちゃけ皆「笑ってる」んです!盛り上がらないと途中不満だったけど、笑わせて盛り上げて欲しいとまでは思ってなかったって。
私もお腹を抱えながらロビーに転がり出て、友人と合流し笑い転げた。もうコムちゃん気の毒で。誰だよ、あんな演出考えたの。休憩の間中、話題は尽きることなくおしゃべりは続いた。
2部。
なんかよくわからないうちに、オスカルに縁談。私はかしげちゃんは目の前を通られても気付かないくらい苦手っていうか、目に入らない人だったんだけど、今回のジェローデルはイイ!私のジェロスタンダードはねったんなんだけど、それと同じ位よかった。ああいう真面目面白い人っての、合うなぁ。なんか正統派で恰好いいんですけど!?
「私に預けてみませんか」がとってもナチュラルに聞こえてしまうのはなぜなんだろう。なんかこれなら宙組で真ん中に立たれても行けるんじゃないか?見たいかもしれないと思った。
で、ショックのあまりオスカルを毒殺しようとするアンドレ様。どうぞ、お好きになさって、ってななんちゅーか、当然のように感じてしまうのは何故?アンドレ様のやることを「主人公だから正しいはず!」的に感じてしまうのは、やっぱりもう私にはトップスター様としか見えてないせいだろうなぁ。
当然っていえばコムちゃんも。1部もそうだったんだが、彼女には全く葛藤が見えない。フェルゼンを想って悩んでるなんて気配、一切感じません。ロザリーが自分を想っていることにも気付かず、それを告白されても動じない。アンドレが自分を毒殺しようとしても「そーですか」的。貴族を裏切って平民につくのもそれが当然です。戦場?それって怖いですか?
すんげー強い。精神がずぶとい。私はオスカルはもっと心の葛藤を抱えている人だと思っていたが、コムカルには全くそれが見えないのだ。男はまぁ、いてもいいけど、いなくても別に一人で生きていけますがなにか?って感じ。
見た目やその存在は「女」。しぐさなどもまぁ、オトコ臭いといえばオトコ臭いけど女にちゃんと見える。コムカルを見たら、この前みたユヒカルが「男」だったことを確信できた。
でもそのユヒカルとコムカルが真っ向勝負したら、女のコムカルがばっさり、勝ちそうだった。それ位コムカルは強かった。
見た目は綺麗なんだけどねぇ。バスティーユで撃たれる場面なども目を見開いた表情も印象的で美しく、絵を見ているようなのになぁ。なんかオスカルとはどこか違うという気がした。
で、オサドレ様とオスカルとの間に愛はあったか?あったんでしょうねぇ。噛み合ってなかったけどさ。それぞれに自分なりに愛してるんだけど(側にいるっつーならどうぞレベルだが)、コムカルは低温だからそれを汲み取ってやらなきゃいけないし、オサドレはセリフの間は相手に向かって愛を説いてるんだけど、歌い始めると途端にナル入っちゃって相手のことがおろそかになってしまう。相手がやっぱり悪かったかもしれないねぇ、としか言いようがない。
今宵一夜もそんな感じ。悪くないんだけど、どーもラブシーンの熱が上がりきらないうちに終わった気がする。
最後のガラスの馬車、2人ともそれは楽しそうなんだけど、愛に満ち満ちたという感じには見えなかった。トップスターが2人いるなぁ、と思った。
話は戻るけど、宝塚で女が女に愛を告白するって、今までにもあったんでしょうか?ロザリーがオスカルに告白し、抱きしめられてるシーンを見てうろたえてしまいましたよ。私たちヅカファンはヅカ好きってだけで世間様から「レズ?」疑惑を浴びてしまうこともあるってのに、こんな作品のなかでそんなシーン作ってさぁ、私たちの立場を危うくするようなマネはしないで欲しい。そりゃわかるよ、女でも女のことを好きっていうか男女の区別なく尊敬し合うってのはさー。私も緑野こあら師匠、愛してるもん(大いばり)。でも夜中に相手の家まで忍び込んで告白したりはしないって。よく考えたら夜中に行く必要ないわけで。ダンナのベルナールだって公認の仲(?)なんだから堂々と行けばいいじゃんか。
しれっとベルナールの元へ戻ったロザリーは、革命の直前にオスカルの決意のまま進ませろとベルナールに言うし。もうあんた何者?って思ったよ。
作ってる方、やってる方は単にトップ娘役からトップへの愛の告白だから、いつもやってること、位に感覚麻痺しちゃってるのかもしれないなぁ。めそめそ。
フィナーレは、ピンクの衣装で男役が歌い継ぎ。オヅキ、かなめくんと一緒に出てたのは誰だろう?壮くんはやっぱり面白いなぁ。
びっくりしたのがロケット。あの衣装、何でしょう?参考にしたのはゴシック・ロリータなんでしょうか?なんか変。男役化粧のままの子たちにはより似合わないし。
化粧といえば今回のエトワールは美穂圭子女史なんだけど、美穂さん、芝居はアランの母親だから眉を細く老け顔に作っている。そのままの化粧でエトワールの豪華な衣装だからなんだか顔が浮いていた。母親化粧はそれはそれでとてもお上手だけに、余計に浮いていて気の毒だった。
そんなこんなでとっても楽しめた雪ベルばらだった。私は実はこっそり白状すると、衛兵隊でも群舞でも、気が付くとずっとオヅキを追いかけてしまっていた。せっかくオサ様が出て来るのにオサ様そっちのけで、オヅキばっかり見てた。オサ楽だからご挨拶もあるってのにその間すら、花道にいるオヅキみてました。告白。
コメント