「サヨナラ演出家」オギーの本領発揮、というところでしょうか。

つーか、オギーひでーよ。これじゃあ、わたるファンは泣かないでいられないですよ。私ですら、贔屓の退団に涙一滴流さなかった涙腺カチカチの私ですら、目頭がじわーっときてしまいましたもん。

1幕目の2曲目でもうキてしまった私。わたるくん、こんなに大きいのに、こんなに活き活きしてるのに、こんなにやれるのに、辞めちゃうの?
まだ退団まで何ヶ月もあるのに、辞めるって思い知らせないでよ。

ひーん。

2幕目に入ってからはもう、オギーひでー、を心の中で連発してました。ファンが観たいと思ったであろうわたるくんを、余すところなく見せてくれる。そう、それはケロファンに「G.G.G」で観たかったケロちゃんの姿を全て見せてくれたように。

そしてオギーは舞台をとても上品に、上質にまとめてみせてくれる。文句のつけようがない。ファンに許されるのは、舞台や構成にぶつぶつ言うことや首をかしげることではなく、ただ、泣くことだけ。

若手たちも存分に使われていた。みらんくんはダンスも歌もいいし、女装姿の脚線美にくらくら。ゆかりちゃんはどこにいてもその美貌が際立つ(でも女装はやっぱり迫力)。あかしはなんか一皮むけた?前ほど顔だけで踊ってまーすというアピール以外になんか静かな情熱を感じることができた。
娘役さんたちも素敵。私の大好きなみなみちゃんはとても上品でたおやかな姫。ことことの弾けるようなダンス、歌。うめちゃんは相変わらず、娘役の枠を越えたスター性がきらきらしてた(わたるくんとひとりひとり絡む場面、女装男役2人の後にうめちゃんを出したのは、うめちゃんを可憐に見せる技でしょうか)。

演目もねー、もう。まさか「ジャズマニア」が聞けるとは思わなかった。一気にまみ時代に気分が戻ってしまった。まみさんが銀橋の上に見えるようだった。わたるくんが「ジャズマニア」に出ていたのは、りかちゃん版なのにね。
そしてラストの「アニバーサリー」は、ケロちゃんが最後のビバタカでリクエストした曲。べそべそ。

白い衣装を着てわたるくんが舞台に出て来る度にずきんとする。2幕目の最後なんて反則だよ、もう。ああいう風に見送られるなんて。

でもなぁ。

kineさんもおっしゃってるけど、わたるファンなら通った方がいい。
まだこれから「コパ」も退団公演もあるけど、この作品は通うべきだと思う。

ご贔屓トップのサヨナラを突っ走り、もうひとりのご贔屓をオギーで見送った経験談として、断言できる。
トップさんのサヨナラ公演って、トップのジェンヌさんだけのものでは済まない何かがある。お別れのみを純粋に哀しんで、好きなジェンヌさんと自分、という1対1の関係で浸るのが何かと難しいものだ。
そしてオギー。これ以上の演出で、これ以上の舞台で、サヨナラを盛り上げてくれる演出家は今の宝塚には他にいない。

今のうちに、思う存分、わたるくんとあなたの思い出を作った方がいい。大劇場や東宝では、階段降りや袴姿、パレードなど、また別のサヨナラが待っているから。

今はわたるくんに近い場所で、彼の想いを受け止めて欲しいと思う。

私の観た回では、きんさん、となみちゃん、尚すみれ先生が来ておられたようです。ハンカチはグリーンでした。

そして、私は4ヶ月前に、同じ空間で、同じようにサヨナラのための公演をやっていた人のことを思い出していた。最後まで舞台を務めたかっただろう人のことを。

わたるくん、最後まで身体に気をつけて、楽しんでこの舞台を終えてください。
たかちゃん、大劇場は最後まで悔いなく務められるよう、心から祈っています。

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