初日と初日あけてすぐに観てから久々に、「エリザベート」の楽直前と楽を観た。なんで4回も観ることになっちゃったんだろう。友会で当たった2階席が売れそうになかったというのもあるのだけど、やっぱり作品として観て損はない、と思える力があるからだろうなぁ。

久々に観て様変わりぶりに驚いた。ハマコゾフィーが強大にっ!水トートも表情の強弱と感情の起伏がより激しくなってるし。キムの自在ぶりも磨きがかかってかなりの完成度。ゆみこフランツは余裕すら感じられるようになっていた。

一番驚いたのが、となみエリザベートの強さ、だ。初日辺りに観たときも強かったんだけど、さらに強くなっていた。

特に感じたのが、「私だけに」の場面。強く強く歌い上げる。そして「寝室」のシーン。爬虫類系のモーションで誘いかけるトートを拒絶するところ、ああも強く拒絶されたら、トートは立つ瀬ないわなぁ。せっかくねっとり行ったのに。

うーんうーん。

芝居の前半でエリザは既に自分が思うままに生きる強さを獲得しているように思える。だからその後の「鏡の間」であるとか、2幕最初の「私はもう一人で歩ける」がなんだかな、と思ってしまう。最初っから一人で歩いてるじゃん、と。

もともと「エリザベート」は、歴史大作であるにもかかわらず、現実の女性像とかなり近いものが描かれている。断頭台に消えたり美貌で国を滅ぼしたり、なんていう宝塚の典型的パターンの夢物語とはちょっと違うと私は思っている。
私は宝塚大劇場に一時の夢を観にいくのが一番の目的なので、正直なところ「エリザベート」は見ていて居心地の悪さがあるのだ。

自由にのびのびと育った少女時代、王子様との結婚、出産、しかし姑との確執を経て、自分の力でキャリアを積み夫とも対等な関係を築く。夫の浮気、子供の問題も経験する。人生の全てを影から見守ってくれる真に自分を愛してくれる存在もいる。

現実世界で生きる女性像、憧れとされる生き方に重なる部分があり、素直になれない。

それがとなみエリザでは、さらに強調されているように感じるのだ。特にそれを感じたのは「鏡の間」の歌。

「お気持ち嬉しくうかがいました。陛下とともに歩いてゆきます。でも私の人生は私のもの」

となみエリザはこの歌詞の中で「でも私の人生は私のもの」をもっとも強く強く歌い上げる。この場面は、この一言が言いたかったためにある、というように感じたのだ。

1巡目雪エリザを見た時はそうは感じなかった。最後通告まで突きつけた夫とやはり共に歩いていく決意。少女時代に別れを告げ、自分の弱さを克服し、大人の女性として周りと一緒にやっていくという宣言にも似た告白、その中でも自分らしさは失わないことを自分に誓う、というように聞こえた。

それはまさしく、夢物語だ。

となみエリザは、現実だ。いったい何をそんなに拒絶し、主張し続けるのか。あなたが守りたいものは一体何?

となみエリザの姿は、私自身だ。自分を見ているようだった。嫌なことは嫌でしかなく、主張することしかできない幼い私。受け入れてくれない周りが悪い。花總エリザのようになぜ周囲の人や弱い自分を受け入れ、その上で生きていこうとできないのか。となみエリザに自分自身をみつけ、宝塚という夢物語を観にいったはずが現実の自分を突きつけられる。せつなくなる。
不器用というのではない、賢くないのだ、私は。キーキーと自分を主張することしかしない、ダメダメな自分。しょぼん。

となみエリザは最後に何を得たんだろう。4回観たけど私にはわからなかった。私自身は何を得るんだろう、とも思う。

となみちゃんは娘役にしては線が太い(やわらかいけど)。バーンという押し出しがある。だから余計に強さが強調されてしまう面があるだろうと思う。対トートですら愛するというより競う相手に見えるほどのパワーがある。そのパワーで全ての場面を最高潮に盛り上げてしまう。だから今回のエリザベートは名場面集のショーなのだと思うことにした。

それでいいんじゃないかな。前にも書いたけど6回目のエリザベートともなると、前とどう違うかが演じる側も観る側も興味のポイントになる。場面ごとにきちんと作り上げることも必要なことだもの。

水くん&となみちゃんのコンビではやはりショーが観たい。エリザもフィナーレでひとりセリ上がる自信と余裕に満ちたとなみちゃんが大好き。2人で銀橋に出る前に一瞬、となみちゃんはひとり銀橋の付け根でタメを作ってポーズをとってから水くんを追いかける。このひとりでもなんら問題なく余裕をもてるところが特にすき。

2人には場面ごとにフルパワーで盛り上げる骨太のショーがふさわしい。

東京ではこのエリザがどうなっていくのか、怖いような観たいような。東宝までは行かないのでもう観ないけどね。お披露目にもかかわらず2幕全てを盛り上げ続けていく水&となみを応援しています。

                ★

雪組の振り分けが発表になって、想定どおりオヅキはDC組。うきゃきゃ。悪役ねっ!悪役っ!あらすじを読むと、この演出家は小柳先生じゃなくて小池先生の間違い?「LUNA」か「薔薇の封印」」かというような感じなんで、悪役が美味しいはず!と脳内決定しています。パンチのある悪役が観たいのよー!

・・・これでオヅキがアイドルだったらどうしよう!?

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