保育園に子供を預けてフルタイム仕事をしているので、夕食は基本的に前夜に作っています。お迎えに行って帰宅すると早くて20時。それから作っていては遅くなる。なら前日に作っておいて温めてすぐ食べれる方がいい。「要するに毎日残り物を食べる」ってことと割り切っています。炒め物など作りたてを食べたいものは土日で我慢です。
でも前夜に作り、朝火を入れ、また食べる前に火を入れると、やはり美味しくない。味のバランスが崩れるし、煮物など見た目もよくない。前夜に出来上がったばかりの料理を「今食べると美味しいだろうなぁ」とうっとり見ていることもありました。

調理時間の短縮というと圧力鍋があるけれど、あれだって煮炊きの時間を短縮するだけで、結局一番時間がかかる下ごしらえの時間は短縮できない(当たり前)。複数の料理を作るときは、ひとつの料理を火にかけている時間は他の料理の下ごしらえをしたりしているので、圧力鍋でそこが短縮されてしまうと、身についた料理の段取りを一から見直さなければならない。火にかけている間に味見もできないしね。

ということで圧力鍋を購入するふんぎりはついてませんでした。ある日、最寄の駅ビルで買い物をしていると、色鮮やかな黄色や赤の調理器具が目に入りました。デザインリニューアルしたシャトルシェフでした。その時はふーん・・・だったのですが、何かひっかかるものがありました。
思い出したのが前に買っていた「ためしてガッテン」の料理の本。エッセイみたいなものですが、ディレクターが料理のコツを解き明かす本を買っていたのです。そこで何度か語られているのが「鍋が冷める時間を引き延ばす」ことでした。味は素材が冷める時にしみ込む。この時間を長くとることでプロの味が再現できる!といったようなことが書いてありました。
具体的には鍋ごと新聞・風呂敷・ざぶとん・発泡スチロールの箱で包め、と。鍋ごと保温せよ、ということなのです。そのやり方は省エネ料理法などとして新聞にも紹介されてましたが、んな不細工で面倒なことできますか。プロは寸胴の大鍋で作ります。量が多いと冷めるのに時間もかかる。自分も大鍋は持ってますが、大量にできてしまい食べきるのに数日かかってしまっていました。

シャトルシェフについてネットで調べてみました。一般には「火を使わないで料理する」といううたい文句になってますが、鍋内部の温度低下グラフがあり、結局は「冷める時間を引き延ばす」調理器ではないの?と。7〜8時間たってもまだ内鍋はあったかいようです。

サイズや色など種類はありますがどれも1万円以上します。圧力鍋ほど一般的ではないので、ホームセンターでも見当たりません。うーん、としばらく悩みましたが、通販で買いました。置き場所が台所の床しかなかったので、一番場所(底面積)をとらないキャリングタイプ。これは持ち手が付いていて唯一蓋にロックをかけられます。これならうっかり傾けても中身がこぼれません。猫や子供がいるので熱々のものがこぼれては大変ですから。

で、使ってみた結果、大正解、でした。うちのようなライフスタイルにはぴったり。平日の夜に作って翌日食べたり、土日も子供と遊びに行く前に作っておいて帰ってから仕上げるなど、時間を味方につけた!という感じ。その他にもキャリングタイプなので、家で料理をしてから車に乗せ出先で食べることができる、などのメリットがありそうです。実家や友人の家に行く時に、なれない台所で料理するよりも自宅で一品作って持っていけるのです。鍋ごと運ぶわけですからタッパーに移しかえる手間もありません。

何より味がすばらしい!肉は柔らかくほろほろ、なのに味がしっかり残っていてしかも、スープにも味がちゃんと出ています。野菜も中まで味が染みていてやわらかく、それでも煮崩れせず切り口のエッジが立っている!「味と見た目」「具とスープ」が両立できてます。今まではどちらかが犠牲になってたのに。

まだ試行錯誤していますが、いくつかうまくいったレシピもできてきました。備忘録がてら簡単にレシピを書いていきます。

■スペアリブと大根の煮物
陳健一さんのまかないレシピから。
ダイコンは2センチ程度の輪切りにし、10分程度下ゆでしておく。鍋にスペアリブとネギの白いところ(3cm程度に切る)、薄切りのしょうが一片、細切りにした昆布を入れ、かぶるぐらいに水を入れる。紹興酒もコップ1杯位。塩も入れる。火にかけ、丁寧にあくを取る。スペアリブを茹でこぼしておくと、あく取りの手間がだいぶ違う。30分ほど煮たら「シャトルシェフ」へ。一晩置く。朝、火にかけて下ゆでした大根を入れ沸騰させてからまた「シャトルシェフ」へ。ネギの青いところのみじん切り・しょうゆ・酢・ゴマ油・豆板醤を合わせてタレを作っておく。夜、火を入れてタレをつけながら食べる。お汁ごとご飯にかけてさらさら食べるのも美味しい。
・我が家では、ダシを取った昆布を冷凍保存しておき、量がたまったらこのレシピにして消費しています。かなりの量の昆布を食べられます。ダイコンの代わりに白菜でも、と陳さんはお勧めしておられました。
・煮汁に紹興酒を入れるので、沸騰してすぐ保温するのではなく、30分ほど煮てからシャトルシェフへ入れないと、アルコールのにおいが充分抜けない。

■牛すじ肉のポン酢がけ
牛すじ肉は茹でこぼしてから、たっぷりの水とともに「シャトルシェフ」へ。焼酎もコップ一杯くらい入れる。2〜30分に煮てから「シャトルシェフ」へ。一晩置く。牛すじ肉を引き上げ、せん切りにする。たっぷりの刻みネギとポン酢をかけて食べる。
・これも煮汁にアルコールが入るため、しっかり煮てから「シャトルシェフ」へ入れます。

■韓国風スープ
上記の牛すじ肉を似たスープを使う。太めのせん切りにした大根を入れてひと煮立ち。「シャトルシェフ」へ。食べる前にダシの味をみて塩と胡椒。炒りゴマとゴマ油もひとたらし。最後に乾燥わかめを入れて熱くしていただく。

■おでん
これは普通におでんを作ればいいだけ。煮込む代わりに「シャトルシェフ」へ。味を出す具(練り物、ほたて、牛すじ等)を先に入れ、しばらく煮てから味を吸う具(じゃがいも、こんにゃく、白たき、はんぺん、大根等)を入れるとよい。じゃがいもも煮くずれず、皮をむいた包丁跡のエッジまで残しながら、まんなかまでやわらかく味が染みていて感動。大根は下ゆでしておいた方がいい。

■ポトフ
戸塚真弓さんの著書、オヴニーのレシピ、ベターホームの本などからのミックス引用。
内鍋に湯を沸かし、牛すね肉を入れる。すね肉は10cm角程度に切っておいた方がいい。煮立ったら丁寧にあくをすくう。あくが出なくなったら、玉ねぎ(丸ごと1個)にグローブを1つ刺したもの、ブーケガルニ(パック化されたもので十分)、白こしょう粒のまま大さじ1、塩大さじ1、月桂樹の葉1〜2枚を入れて煮立て「シャトルシェフ」へ。一晩たったら翌朝、にんじん1本、じゃがいも数個、5cm程度に切ったネギ1本、かぶ2個程度を入れる。野菜はどれも皮をむいただけでで大きなまま入れてOK。内鍋を煮立ててさらに夜まで「シャトルシェフ」へ。温めてまずはスープから。具を取り出し、適当な大きさに切り分けて皿へ。粒マスタードか粗塩(岩塩)をつけながらいただく。私は岩塩が好き。

■鶏肉と白菜の煮込み
「ためしてガッテン」水炊きの極意の応用。
水に手羽先を入れ煮立てて「シャトルシェフ」へ。一晩たったら鶏もも肉(5cm角程度に切る)と白菜の白い部分(適当にそぎ切り)、塩を入れ、煮立ててから「シャトルシェフ」へ。夜再度煮立てて白菜の青い所を入れ、ポン酢やゆずこしょうで味をつけながらいただく。

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