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宝塚の悪。「The Lost Glory」本公演と新人公演
2014年8月7日 宝塚いったいどこが「オセロー」やねん!と、星組の「The Lost Glory(ザ・ロスト・グローリー)」の初日を観ながら思いましたよ。原作読んで臨んだっていうのに。
あまりにれおんくん(柚希礼音)が、王者すぎて。星組のトップスターがそのまま悪い顔してるだけで、改心するような必然性は微塵もなく、「悪ですがそれが何か?」でした。ブラック・キングライオン、で、黒いたてがみを持った大きな特別なライオンがどんっと鎮座している、と見えて仕方なかったです。
今のれおんくんに相対するには、イシちゃん(轟悠)といえども厳しかった。いっそねねちゃん(夢咲ねね)が悪女になってれおんくんと対峙してくれた方が、カタルシスを感じたかもしれない。それぐらい、今のれおんくんに対峙できる人はいないんだなぁ、とナポレオンを経て6年目に突入したれおんくんの凄みをまざまざと感じました。
初日だったので、れおんくんも加減がわからず(どれだけ力を入れて噛めば相手を噛み殺さずに済むかとか)、イシちゃんも久々の大劇場でいきなりトップスピードに乗れなかったっていうのもあったと思います。
にしてもなぁ。景子たん、脚本上と舞台に乗った時の生徒のパワーバランスの違いを読みきれなかったのね。これから舞台が進んで、東京に行くにつれてもう少し噛み合ってくるかな。
もちろん、イシちゃんも伊達に経験積んでない。オットーの懐の広さ、人生を感じさせる佇まいとかがあって主役なんだな、と感じる。そう見える場面も用意されている。前の日記に書いたように難役であるオセローを、演じられるのはイシちゃんだからだと思います。
だからこの話を観ていても、オットーとイヴァーノ、どっちの気持ちに乗っかればよいのか迷ってしまって、見終わってもすっきりしないんです。この結末で良かったのか、悪かったのか。「オセロー」ならオセローのコンプレックスや猜疑心に同化したり。観客だけが知っているイアーゴーの2面性にハラハラしたりすっきりしたりするものではないのか?
「The Lost Glory」はそのどっちにも乗れない。時間不足か描き込み不足か。イシちゃんとれおんくん、どっちも立てようとした報いか。これは心を決めて「どっちかを主人公として観る!」と観る側が心を決めて観たほうがストレスがないかもしれません。
★
で、新人公演ですよ。琴ちゃん(礼真琴)はイヴァーノ。昨年の「おとめ」でやりたい役に挙げていた「悪役」ですよ!
「ロミオとジュリエット」の新公の時のような初めての主演で心配!心配!心配!ってのものなかったし「ナポレオン」の時のように研5にして力技でこの話を成立させられる?という不安もなかったです。悪役といえども「まー、琴ちゃんならなんとかするでしょー(衣装以外)」という信頼感がありました。なんでかな。「かもめ」があったからかな。これが経験というものか。
新人公演、楽しかったです。ファンだから、ってのもあるかもしれません。はい、私は素直にイヴァーノの気持ちに乗っかって観てました(イヴァーノしか観てなかったし。きっぱり)。
幕開けの登場シーンこそ、見慣れたれおんくんのシルエットに比べて「小さっ!」と思ったことは白状しますが、動き出すともうしっかりイヴァーノで。イタリア男なんだから小さくたってアリ!だしその存在感は決して小さくない。背中を見せて立っている姿も堂々としたもの。背中に神経集中して語らせてました。
礼音イヴァーノがブラック・キングライオンなら、琴イヴァーノは獅子身中の虫、だと思いました。小さいという意味ではなく、獅子をも殺す体内に潜む悪、です。小さいブラックライオンではない。別のあり方に見えました。
普段は普通の顔をしていながら、悪の顔をも見せる。イヴァーノの船上パーティでのセリフと歌がしゃれにならん・・・と本気で怖かったり、銀橋での歌は、広い大劇場と立ち見まで完売の満場の観客を底から揺さぶってました。歌の途中にまで高笑い入れたり。容赦なし。怖いひとだな、礼真琴は。
瀬央っち(瀬央ゆりあ)がまた最後にあんなことをする人に見えなくてねぇ(誉めてます)。そんなロナルドを追い込む琴イヴァーノの極悪ぶり。際立たせてくれた瀬央ロナルドの役作りもうまかった。
琴イヴァーノは礼音イヴァーノより、ニタ、と笑うことも多く、表情豊かなイヴァーノだったように思います。
信じていたものに裏切られ、彼の中で何かが切れ、復讐を!という気持ちがよくわかった。
実際、会社生活ではよくあることで、やった方は全然何も考えてないとかシステム上の都合だったりすることで、それまでの努力が報われなかった挫折感、よーくわかります。でもそれは自分が勝手にかけた期待で、勝手に裏切られたと思い込み、勝手に傷ついていることもある。琴イヴァーノの勝手な思い込み。
まおくん(麻央侑希)がナチュラルな存在感なので琴イヴァーノの身勝手さがよくわかる。別に彼は悪気はまったくなかったんだよね。余計に腹が立ったんだよね。オットーの、気付かなかった自分を悔やむセリフが生きていたと思います。
最後、いよいよ琴イヴァーノの悪の中身が出てきて。それが哀しいものだということもよくわかって。「かもめ」効果かお芝居がぐんとうまくなってた。撃たれるのも上手くて!弾丸が当たっているのがわかるんですよ~。前のめりに倒れて咳き込み(吐血してるな)、息も絶え絶えになっていく。その苦しい息の中、ちょっとした救いをディアナに求めて、いってしまった琴イヴァーノ。自滅の最期。本当にすがりたかったのはオットーに、なんだろうけど。
新公は宝塚の演目に稀にあるピカレスクものになっていたと思います。これは琴ちゃんが主演ではないから。トップさんじゃないからそうなった、と思います。
本公演はれおんくんもまた主演でなければならないし、トップスターでなければならない。イシちゃんも立てなければならない。やりたいようにやれる新人公演とは違う。
よい経験をさせてもらえたと思います。望んでいた悪役に最高の形で挑戦させてもらえた。トップスターが悪役のピカレスクものは、とうこちゃん(安蘭けい)の「エル・アルコン」とか時々あるんだけど、トップが悪役やりつつもうひとり主役がいる、なんてのはもうないでしょうね。2番手悪役は定石だけど、ここまで描かれてることは少ないしな。
東京の新人公演、小さくまとまらず今回みたいにやりたいように思い切りやって欲しいと思います。
★
えー、緑野こあら師匠からご紹介にあずかりました、”ご贔屓の初ひとり銀橋渡りを見逃した女「み」”です(号泣)。だってだって!琴ちゃんてばあっちに出たりこっちに出たり、出番多いのはいいんだけど、激しく動きまわってて舞台上のどこにいるか把握に一所懸命だったんだもの!
定番の2階B席からオペラで舞台上を追っかけ回していたら、なんか今、銀橋を琴ちゃんに似た人が手前を通って行ったような・・・と、上手観てみたら、銀橋から本舞台に戻ってくる琴ちゃんが!!!「・・・今、渡ったよね。一人だったよね???」。ぼーぜんとしてしまいました。
カポエイラの衝撃的なアカペラソロもあって、ぼーぜんとしたままフィナーレを迎えました。階段降り、どーかなぁ、真ん中降ろしてもらえるかなぁ、と思っていたら風ちゃんの後にひとりで歌いながら降りてきた!これもびっくりしているうちにすぐ終わってしまったけど。
お芝居の方も、パットくんは「歌劇」の座談会で言っていた通り、少年というよりも青年に近い(この辺、演じ分けられるのがすごい)。短めの歌が随所にあり、場面を切り替え、場の雰囲気を盛り上げ、そして緊張を走らせる。最後に次の時代への希望まで掲げさせる。礼真琴の歌の力を景子たんは上手に使っているんです。
「かもめ」や琴ちゃん主演の新公をずっと観ていたので、なーんにも思わず観てたのですが、真ん中、多いですね。群衆を率いて踊ってみたり歌ったり。引っ込むか、と思った場面でも舞台の端っこで無言のお芝居してたりする。他の方の感想読んでいても、礼真琴の出世具合に驚いておられる方が多いですね。
実はもう、私としてはよくわかってないんです。琴ちゃんの扱われ方がよいのか悪いのか。組ごとに編成が異なるので比較できるものでもないし。自分のオペラの中心は常にご贔屓、なのは当たり前。琴ちゃんが異例のスピードであがっているのだ!ということを自分に言い聞かせていないとつい「これが当然」と思ってしまう、そして「もっと!もっと!」と。ファンて欲深い。そして与えられた特別なものを当然と思ってしまう。そう思わないように、立場も、そして琴ちゃんの努力も。琴ちゃんの歌もダンスも決して努力なしで手に入れたものではないと思っているから。
★
師匠に会う度に「スカーレットは琴ちゃんでなくてもいいよね?」と言ってはウザがられておりました。過去形じゃないな、うざがられています(今もまだ言ってる)。
武道館が発表になった瞬間から、実は私は琴ちゃんは武道館組だと信じてました。歌って踊れるから。REON1にも2にも出てたから。
しかし何やら、状況を整理してみるとスカーレット役とかが逃れられないのではないかということに気づいてしまいました。だから余計に何とか武道館にならないかと思考を巡らせておりました。
ベニー(紅ゆずる)はしっかりバトラーをやった方がいい。最初に、みっちゃん(北翔海莉)のスケジュールを確認しましたね。エリザとかぶってましたね。まかぜ(真風涼帆)は3番手だしスカーレットで、というと誰も見たくないという(泣)。タイミングよくみつるくん(華形ひかる)が専科異動!みつるくんはどう?いや、星組内には風ちゃん(妃海風)がいるじゃない!とどんな可能性を探ってみてもダメだし食らうばっかりで(泣・泣)。琴ちゃんまだ新公世代なのよー?スカ2ならまだしもこんな若くしてスカーレットやらせるの?丸顔なのよー!!!
ううう、武道館に琴ちゃん出たらお役に立ちますよ?れおんくんの周りで下級生男役として踊りまくれますよ?コーラスもできますよ?ソロ(REON2のFeeling Good)でダンス盛り上げますよ?男役の低音から、ソプラノハモリ(REON1のBefore The Dawn)までOK!過去作品のオマージュもできるし(REON1のロミジュリ)、デュエットダンスの相手(REON2のパパラギ)もできるし、なんだったらお着替えタイム中に場つなぎで歌いますよ?踊りますよ?(紅子みたいなMC除く)何でもできるのにー!!
琴ちゃんは東京出身のコだし、武道館なんて13年に1度、運動会よりレア。大好きなれおんくんのコンサートに出してあげたかった。しくしく。
しかし下級生のひとりとして出るには、琴ちゃんは上がりすぎてしまった。経験積み過ぎてしまった。現在の星組の状況から考えるとベストなんだろうなぁ、と思いますが。しくしく、しくしく。
“できるとわかっていること”ではなく、新たな挑戦をするほうが本人のためでもあるんだろうけどさぁ。しくしく、しくしく、しくしく。
私は中日・台湾を観ていないので、琴ちゃんのガチ女役は知りません。ロミジュリの愛は人間役ではないし。友人に台湾のDVD見せてもらったのですが、琴ちゃん、娘役の声でセリフいうと棒になっちゃう!?最初見たときびっくりしました。ご本人の地声はとにかく低いので、娘役の声を作らなければならない(普通の人と逆)。そっちに気が行っちゃうのかなぁ。
今回はスカーレットなので、そんなに作りこまなくてもいいかな。日生のあさこちゃん(瀬名じゅん)スカーレットは生で観ましたが、あれでいいなら、いいか。あさこちゃん、声作ってなかったもんな。男役のまんまだったし。
ま、出番は多いだろうし長い歌は聞けるし(大劇場公演、歌はたくさん歌ってるけどフルコーラスはないので)、楽しみではありますが。武道館に予定してた遠征費、浮いたわ。
あまりにれおんくん(柚希礼音)が、王者すぎて。星組のトップスターがそのまま悪い顔してるだけで、改心するような必然性は微塵もなく、「悪ですがそれが何か?」でした。ブラック・キングライオン、で、黒いたてがみを持った大きな特別なライオンがどんっと鎮座している、と見えて仕方なかったです。
今のれおんくんに相対するには、イシちゃん(轟悠)といえども厳しかった。いっそねねちゃん(夢咲ねね)が悪女になってれおんくんと対峙してくれた方が、カタルシスを感じたかもしれない。それぐらい、今のれおんくんに対峙できる人はいないんだなぁ、とナポレオンを経て6年目に突入したれおんくんの凄みをまざまざと感じました。
初日だったので、れおんくんも加減がわからず(どれだけ力を入れて噛めば相手を噛み殺さずに済むかとか)、イシちゃんも久々の大劇場でいきなりトップスピードに乗れなかったっていうのもあったと思います。
にしてもなぁ。景子たん、脚本上と舞台に乗った時の生徒のパワーバランスの違いを読みきれなかったのね。これから舞台が進んで、東京に行くにつれてもう少し噛み合ってくるかな。
もちろん、イシちゃんも伊達に経験積んでない。オットーの懐の広さ、人生を感じさせる佇まいとかがあって主役なんだな、と感じる。そう見える場面も用意されている。前の日記に書いたように難役であるオセローを、演じられるのはイシちゃんだからだと思います。
だからこの話を観ていても、オットーとイヴァーノ、どっちの気持ちに乗っかればよいのか迷ってしまって、見終わってもすっきりしないんです。この結末で良かったのか、悪かったのか。「オセロー」ならオセローのコンプレックスや猜疑心に同化したり。観客だけが知っているイアーゴーの2面性にハラハラしたりすっきりしたりするものではないのか?
「The Lost Glory」はそのどっちにも乗れない。時間不足か描き込み不足か。イシちゃんとれおんくん、どっちも立てようとした報いか。これは心を決めて「どっちかを主人公として観る!」と観る側が心を決めて観たほうがストレスがないかもしれません。
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で、新人公演ですよ。琴ちゃん(礼真琴)はイヴァーノ。昨年の「おとめ」でやりたい役に挙げていた「悪役」ですよ!
「ロミオとジュリエット」の新公の時のような初めての主演で心配!心配!心配!ってのものなかったし「ナポレオン」の時のように研5にして力技でこの話を成立させられる?という不安もなかったです。悪役といえども「まー、琴ちゃんならなんとかするでしょー(衣装以外)」という信頼感がありました。なんでかな。「かもめ」があったからかな。これが経験というものか。
新人公演、楽しかったです。ファンだから、ってのもあるかもしれません。はい、私は素直にイヴァーノの気持ちに乗っかって観てました(イヴァーノしか観てなかったし。きっぱり)。
幕開けの登場シーンこそ、見慣れたれおんくんのシルエットに比べて「小さっ!」と思ったことは白状しますが、動き出すともうしっかりイヴァーノで。イタリア男なんだから小さくたってアリ!だしその存在感は決して小さくない。背中を見せて立っている姿も堂々としたもの。背中に神経集中して語らせてました。
礼音イヴァーノがブラック・キングライオンなら、琴イヴァーノは獅子身中の虫、だと思いました。小さいという意味ではなく、獅子をも殺す体内に潜む悪、です。小さいブラックライオンではない。別のあり方に見えました。
普段は普通の顔をしていながら、悪の顔をも見せる。イヴァーノの船上パーティでのセリフと歌がしゃれにならん・・・と本気で怖かったり、銀橋での歌は、広い大劇場と立ち見まで完売の満場の観客を底から揺さぶってました。歌の途中にまで高笑い入れたり。容赦なし。怖いひとだな、礼真琴は。
瀬央っち(瀬央ゆりあ)がまた最後にあんなことをする人に見えなくてねぇ(誉めてます)。そんなロナルドを追い込む琴イヴァーノの極悪ぶり。際立たせてくれた瀬央ロナルドの役作りもうまかった。
琴イヴァーノは礼音イヴァーノより、ニタ、と笑うことも多く、表情豊かなイヴァーノだったように思います。
信じていたものに裏切られ、彼の中で何かが切れ、復讐を!という気持ちがよくわかった。
実際、会社生活ではよくあることで、やった方は全然何も考えてないとかシステム上の都合だったりすることで、それまでの努力が報われなかった挫折感、よーくわかります。でもそれは自分が勝手にかけた期待で、勝手に裏切られたと思い込み、勝手に傷ついていることもある。琴イヴァーノの勝手な思い込み。
まおくん(麻央侑希)がナチュラルな存在感なので琴イヴァーノの身勝手さがよくわかる。別に彼は悪気はまったくなかったんだよね。余計に腹が立ったんだよね。オットーの、気付かなかった自分を悔やむセリフが生きていたと思います。
最後、いよいよ琴イヴァーノの悪の中身が出てきて。それが哀しいものだということもよくわかって。「かもめ」効果かお芝居がぐんとうまくなってた。撃たれるのも上手くて!弾丸が当たっているのがわかるんですよ~。前のめりに倒れて咳き込み(吐血してるな)、息も絶え絶えになっていく。その苦しい息の中、ちょっとした救いをディアナに求めて、いってしまった琴イヴァーノ。自滅の最期。本当にすがりたかったのはオットーに、なんだろうけど。
新公は宝塚の演目に稀にあるピカレスクものになっていたと思います。これは琴ちゃんが主演ではないから。トップさんじゃないからそうなった、と思います。
本公演はれおんくんもまた主演でなければならないし、トップスターでなければならない。イシちゃんも立てなければならない。やりたいようにやれる新人公演とは違う。
よい経験をさせてもらえたと思います。望んでいた悪役に最高の形で挑戦させてもらえた。トップスターが悪役のピカレスクものは、とうこちゃん(安蘭けい)の「エル・アルコン」とか時々あるんだけど、トップが悪役やりつつもうひとり主役がいる、なんてのはもうないでしょうね。2番手悪役は定石だけど、ここまで描かれてることは少ないしな。
東京の新人公演、小さくまとまらず今回みたいにやりたいように思い切りやって欲しいと思います。
★
えー、緑野こあら師匠からご紹介にあずかりました、”ご贔屓の初ひとり銀橋渡りを見逃した女「み」”です(号泣)。だってだって!琴ちゃんてばあっちに出たりこっちに出たり、出番多いのはいいんだけど、激しく動きまわってて舞台上のどこにいるか把握に一所懸命だったんだもの!
定番の2階B席からオペラで舞台上を追っかけ回していたら、なんか今、銀橋を琴ちゃんに似た人が手前を通って行ったような・・・と、上手観てみたら、銀橋から本舞台に戻ってくる琴ちゃんが!!!「・・・今、渡ったよね。一人だったよね???」。ぼーぜんとしてしまいました。
カポエイラの衝撃的なアカペラソロもあって、ぼーぜんとしたままフィナーレを迎えました。階段降り、どーかなぁ、真ん中降ろしてもらえるかなぁ、と思っていたら風ちゃんの後にひとりで歌いながら降りてきた!これもびっくりしているうちにすぐ終わってしまったけど。
お芝居の方も、パットくんは「歌劇」の座談会で言っていた通り、少年というよりも青年に近い(この辺、演じ分けられるのがすごい)。短めの歌が随所にあり、場面を切り替え、場の雰囲気を盛り上げ、そして緊張を走らせる。最後に次の時代への希望まで掲げさせる。礼真琴の歌の力を景子たんは上手に使っているんです。
「かもめ」や琴ちゃん主演の新公をずっと観ていたので、なーんにも思わず観てたのですが、真ん中、多いですね。群衆を率いて踊ってみたり歌ったり。引っ込むか、と思った場面でも舞台の端っこで無言のお芝居してたりする。他の方の感想読んでいても、礼真琴の出世具合に驚いておられる方が多いですね。
実はもう、私としてはよくわかってないんです。琴ちゃんの扱われ方がよいのか悪いのか。組ごとに編成が異なるので比較できるものでもないし。自分のオペラの中心は常にご贔屓、なのは当たり前。琴ちゃんが異例のスピードであがっているのだ!ということを自分に言い聞かせていないとつい「これが当然」と思ってしまう、そして「もっと!もっと!」と。ファンて欲深い。そして与えられた特別なものを当然と思ってしまう。そう思わないように、立場も、そして琴ちゃんの努力も。琴ちゃんの歌もダンスも決して努力なしで手に入れたものではないと思っているから。
★
師匠に会う度に「スカーレットは琴ちゃんでなくてもいいよね?」と言ってはウザがられておりました。過去形じゃないな、うざがられています(今もまだ言ってる)。
武道館が発表になった瞬間から、実は私は琴ちゃんは武道館組だと信じてました。歌って踊れるから。REON1にも2にも出てたから。
しかし何やら、状況を整理してみるとスカーレット役とかが逃れられないのではないかということに気づいてしまいました。だから余計に何とか武道館にならないかと思考を巡らせておりました。
ベニー(紅ゆずる)はしっかりバトラーをやった方がいい。最初に、みっちゃん(北翔海莉)のスケジュールを確認しましたね。エリザとかぶってましたね。まかぜ(真風涼帆)は3番手だしスカーレットで、というと誰も見たくないという(泣)。タイミングよくみつるくん(華形ひかる)が専科異動!みつるくんはどう?いや、星組内には風ちゃん(妃海風)がいるじゃない!とどんな可能性を探ってみてもダメだし食らうばっかりで(泣・泣)。琴ちゃんまだ新公世代なのよー?スカ2ならまだしもこんな若くしてスカーレットやらせるの?丸顔なのよー!!!
ううう、武道館に琴ちゃん出たらお役に立ちますよ?れおんくんの周りで下級生男役として踊りまくれますよ?コーラスもできますよ?ソロ(REON2のFeeling Good)でダンス盛り上げますよ?男役の低音から、ソプラノハモリ(REON1のBefore The Dawn)までOK!過去作品のオマージュもできるし(REON1のロミジュリ)、デュエットダンスの相手(REON2のパパラギ)もできるし、なんだったらお着替えタイム中に場つなぎで歌いますよ?踊りますよ?(紅子みたいなMC除く)何でもできるのにー!!
琴ちゃんは東京出身のコだし、武道館なんて13年に1度、運動会よりレア。大好きなれおんくんのコンサートに出してあげたかった。しくしく。
しかし下級生のひとりとして出るには、琴ちゃんは上がりすぎてしまった。経験積み過ぎてしまった。現在の星組の状況から考えるとベストなんだろうなぁ、と思いますが。しくしく、しくしく。
“できるとわかっていること”ではなく、新たな挑戦をするほうが本人のためでもあるんだろうけどさぁ。しくしく、しくしく、しくしく。
私は中日・台湾を観ていないので、琴ちゃんのガチ女役は知りません。ロミジュリの愛は人間役ではないし。友人に台湾のDVD見せてもらったのですが、琴ちゃん、娘役の声でセリフいうと棒になっちゃう!?最初見たときびっくりしました。ご本人の地声はとにかく低いので、娘役の声を作らなければならない(普通の人と逆)。そっちに気が行っちゃうのかなぁ。
今回はスカーレットなので、そんなに作りこまなくてもいいかな。日生のあさこちゃん(瀬名じゅん)スカーレットは生で観ましたが、あれでいいなら、いいか。あさこちゃん、声作ってなかったもんな。男役のまんまだったし。
ま、出番は多いだろうし長い歌は聞けるし(大劇場公演、歌はたくさん歌ってるけどフルコーラスはないので)、楽しみではありますが。武道館に予定してた遠征費、浮いたわ。
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