ああああ、書いてません、たまってます。「フェット・アンペリアル」「コパカバーナ(星)」「ファントム初日」「雪ベル梅芸」見てて、さらに「ファントム新公」も観てます。溜まる〜。

まとめ書きになるかもしれません。

            ☆

「フェット・アンペリアル」「コパカバーナ(星)」を同じ週に続けて観た。「フェット・アンペリアル」はドリーズ総見、楽前の回。とてもいい仕上がりになっていた回だそうだ。思い返せば確かに、役者さんたちの動きやセリフもこなれて、とてもいい感じだった。
作品としては「難解」とか「はしょりすぎ」とか聞いていたのでちょっと構えて幕開きを待ったのだが、見ているうちにそういうことは全く気にならなくなり、自然とお話に入っていけた。

だから、1幕目が終わった時、目の前に座っていたサトリちゃん@熱烈しぃちゃんファンの肩を叩き、「なんでしぃちゃんが諜報部員なのー!?ダメだよー!?」と笑い転げてしまった。だってウイリアムって、まんま「しぃちゃん!」だったんだもの。
いい人で、真面目で、女の子に優しくて、育ちを裏切るように真っすぐで、自分的に不条理なことを見てみぬふりができなくて。そういうウイリアムが情報機関に所属していて、物語が始まっていく。その中に私もどっぷり入り込んで、「そもそもはウイリアムが諜報部員ってことが間違い・・・」などと頭を抱えてしまっていたのだ。
それだけ、しぃちゃんがそのまんま、物語の中に私を連れていってくれたんだと思う。

しぃちゃんだけじゃない、みなみちゃん、みきちぐ、ゆずちょうさん、にしきさん・・・皆、自分の持ち味にぴったりの役をアテガキされていて、本当に気持ちよかった。ポスター見て悪役と思い込んでいたはずのすずみんすら、「どこが悪役!?」な、いかにもすずみんらしい役だった。悪役でトクしてたのはサマービルの水輝涼くんでした。

そしてうめちゃん。

うめちゃんの大味さ(いい意味での)、その中にある芯の繊細さを生かしたらこうなるか、という役だった。これも見事なアテガキだった。
それにうめちゃんもちゃんと答えて、強気な中にある弱さもちゃんと見せてくれた。ああ、私もこういうとこあるよね、と現代女性なら誰しも自分を重ね合わせられるような現実と上手にリンクさせられた人物像だったように思う。現実離れしたヒロインが多いヅカでは珍しいタイプのヒロインだった。
ドレス姿が映える長身、表情のメリハリ、衣装の着こなし、工夫されたアクセサリー。うめちゃんが持って生まれたものと、努力して身につけたものが統合されて、素敵に魅力的なエンマという女の子が出来上がっていた。

受け止めてくれるしぃちゃんの大きさもそれに一役買っていたなと思う。

ストーリーは他愛もないものだけど、後味もよくて、それていて切ない。ご贔屓がこんな作品に当たったら嬉しいだろうな、よかったねサトリちゃん、と思った。
大きな仕事を自分の感情でぶっ潰した(笑)ウイリアムがその後大出世するのは「???」だったけど、情報機関だからこそああいう器の大きな人柄が生きてくるのかもしれない、と思うことにした。

あ、一番印象に残ったセリフはにしきさんの「僕だって傷ついたんだからね」でした。

               ☆

梅芸「コパカバーナ」。さあさ皆さま平日午後公演にいらっしゃいませ、のスペシャルデーに当たり、nanakoさんとわくわくしながら応募用紙に名前を書いて箱に入れたけど、わたとうとなあすかとご一緒の写真は当たりませんでした。いや、自分は写らなくていいから!4人だけの写真が欲しかったなぁ。

てなことは置いといて、どんな話かとか全然知らないまま行ったのだけど、まぁ、楽しめた。セリフがねー、わからないところがたくさんあった。「ガイズ」の時もそうだったんだけど、アメリカのジョークセンスがないもんだから、笑うべきところで笑えないのだ。

それを何とかしちゃうんだから、やっぱり実力者が揃った舞台は強いな、と思った。

となみちゃんはまだトップ2作目なのに、余裕。ピアノの上に上って膝をすりむいても何食わぬ顔で演技を続ける。頭に羽根をつけた姿も愛らしいし、黒ドレスで脚を上げて歌い踊る姿が可愛カッコよかった。

わたさんもさすが。やっぱりトップさん。そしてでっかいわぁ。セリ上がってくるところなんて、両手に刀持ってるからでかくてでかくて。わたさん見ていると、なんだかとてもいい作品を見た気にさせられる。これがトップさんの力なんだろうな。せっかくの退団前公演としては、ちょっと物足りなかったけど。わたさんのかっこよさがもっと際立つ舞台がよかったなぁ。「Across」があったからしょうがないかな。フィナーレで客席を盛り上げる熱は相変わらず素敵。

それでもってとうこちゃん!すごすぎ!やりすぎ!いやはや。髭はもちろん、髪の毛も横山やすし張りに造りこみ、常に額と眉間にシワを寄せ、下あごを突き出し顔も造っていた。それで普通にセリフ言ってるんだもん。クリアで明瞭なとうこちゃんの発声。
これがあのアイーダちゃんをやった人と同じかしら、ってくらいスケベおやじ。それを実に嬉しそうにやってるのがもう。歌は1曲だけだったけど、歌いだすととうこちゃんが顔を出し、朗々とボレロを歌っていて聞きほれた。その場面でやってることはエロオヤジなのに。
で・・・・・・・・こ、これをタニちゃんがやるんですか?どーすんだ?観にいく予定はないけれど、うーんうーん。

で、あすかちゃん。「おばさん」なんていわれる役だけど、もうお化粧が上手で上手で。長い首や手足を生かした衣装の着こなしもさすが。
ちょっと落ちぶれかけた往年のスター、なんだけど、この前のマラケシュの女優もそんな設定だったがちゃんと変えてきている。
プライドもあるがリコのことが大好きで、純真なところもちゃんとあって、私はコンチータがすっごい好きだった。

このあすかちゃんととうこちゃんが組むと最強。

妄想シーンのラスト、悲劇の場面では二人だけでシリアスに盛り上がり、場面をさらっていってしまった。誰も止められない勢いだった。いや、いいけどね。私は好きだから。

あすかちゃんだけは博多座も続演。ま、あすかちゃんなら心配ないでしょ、相手がタニちゃんになってもちゃんと対応を変えてくるはず。

              ☆

突然だが、私の好きな食べ物に、ウオッシュタイプのチーズがある。塩水や酒などで表面を洗いながら熟成させるナチュラルチーズだ。

その代表格がエポワスというチーズ。私はこのチーズを初めて食べた時こう思った。「この世にこんなに美味しいものがあったなんて!」。

だがその強烈なニオイとクセのある味によって、日本人では好みが分かれるようだ。

日本人が好きなのは例えばカッテージチーズ。ジャムとでもサラダとでも、何とでもあわせられるようなクセのない味。置いておいても風味は変わらない。

だがエポワスは置いておくとどんどん熟成が進む。残念ながら熟成が進みすぎたエポワスは、割引して売られてしまったりする。私は大好きなんだけどね。

うめちゃん。「イーハトーブ」のアメユキ役で、紐が切れて落ちた自分のポシェットを、拾って勢いよく袖に投げ込んだガサツな子がここまでになったのか、と涙した。

あすかちゃん。「琥珀色の雨に濡れて」の新公ヒロイン・シャロン役で、女役だったみわっちにすっかり食われて影が薄かったあの子がここまで来たか、と涙した。

そしてそれは、二人が未だにトップ娘役になっていないという現実、不安定な未来との時間との競争に思い至り、焦る気持ちになって沸いてきた。ここまで熟成が進んでしまった娘役さんたち。男の子たちを置き去りにして、どんどん自分の熟成を進めてしまう。
うつし世であれば、未熟な男の子たちもいずれは追いついてくる、別の面で著しい成長を見せたりする。
でも彼女たちのセカイは宝塚。似合いの男の子たちが成長して、追いついてくるまで、彼女たちは、待てない。

どうなるんだろう?娘たちは。もっと熟成が進んでしまうのか。大好きな二人がなんとかしあわせな未来を手に入れられますように。そんなに急いで成熟しないで、待ってやって、と祈らずにいられなかった。

熟成したエポワスはだが、ふさわしい赤ワインと合わせると、さらに至福の時を与えてくれるものなんだけど、そういう赤ワインが今の宝塚にあるだろうか。合わせてくれるソムリエは劇団にいるだろうか。

息子の陰謀2

2006年6月4日 宝塚
月組新人公演、観られませんでした(号泣)。

月組にすっかり縁遠くなってしまった私。ジャジーも観なかったし、大劇はエリザ初日以来観てない。あ、バウでこだまっち観たっけ。

今回も友会エントリーは全くする気はなく、放置していたのだけど、新公の配役が発表になって、俄然観る気が湧いてきた。マギーとまさき!私はこれまで月組新公もYoung Bloodsも観てないんだけど、緑野こあら師匠たちの観劇記によると、マギーとまさきのアピールぶりがすごい、そうだ。その二人の火花散る対決!?いそいそとチケットを用意した。絶対行くつもりで、大盤振舞いのS席。滅多にこんな前に座らないわ。いや9列だっただけですけど。

が。

オヅキアランの雪ベル新公に続き、エリザガラ楽に続き、息子、発熱。

またもねらい撃ち!?慌ててチケットを手放す手配をした。なぜか知り合いの皆様はほとんどがチケット手配済みで焦ったが、なんとか引き受けていただける方が見つかりほっとした。

でもってねぇ、サッカーW杯の「弾丸ツアー」ってのがありましてね。日本vsブラジル戦ですよ?0泊2日で行って帰ってくるだけなんですが、それも当たってたんですよ。
ヤバめのツアーじゃないですよ?日本サッカー協会が、FIFAから突然降りて来た600枚のチケットをさばくのに、JTBと西鉄旅行と一緒に飛行機チャーターして直行便飛ばす、実に安心なオフィシャルなツアーですよ?

当選の連絡が来て翌々日辺りに息子が発熱し、一息ついた頃に申し込み金の締め切りでした。とても予約金入れる気になりませんでした。キャンセル、です。

母が他の男に行くのがそんなに困るんか。ちょっとヨーロッパまで行ってくるのがアカンのか。

発熱一発。2つとも阻止しました。

あーうー。新公も日本vsブラジル戦も1回しかないのに、その日に限って発熱する。すごいっす。

        ☆

息子は日曜日の夜に発熱した。昼間は元気に跳ね回り、おやつを機嫌良く食べていたのに、突如39℃の熱。

溜息とともに、会社を休む手配をつけ、月曜日の朝に開業医に連れていった。連れて行く前にちょっと左の頬が腫れていることに気が付いた。そこでの診断は「喉が腫れている。そこからリンパ腺に菌が入って腫れているのだろう」ということだった。
おたふく風邪ではないのか?と思ったのだが、耳下腺は腫れていない、腫れているのはリンパ腺、ということだった。おたふく風邪の予防接種もしているし、この辺りでは流行っていない、ということだったし。

熱は段々落ちつくように思われたが、また夜中に熱が上がった。充分眠れない息子は、夜中じゅうぐずぐず言っていた。

翌日も会社を休む。やれやれ。午前中は涼しいせいか夜中眠れなかった分、すやすや寝て昼ご飯はたらふく食べていた。ところが夜になるとまた40℃近い熱が出るのだ。

これって、去年の今頃、マイコプラズマ肺炎をしたがその時の症状と同じじゃないか。それに左に加え、右の頬も膨らみ始め、顔がパンパンに腫れてしまいまるでブルドッグのようになってしまった。リンパ腺ってこんなに腫れるものなのか?

熱以外は咳も鼻水もないのだが、何か嫌だなぁ、と思い、翌日、総合病院に連れて行った。前にマイコプラズマ肺炎と診断してくれた病院だ。

開業医では「おたふく風邪」ではない、と言われたが、総合病院ではその頬の腫れから「おたふく風邪」だろう、と言われた。さっさと採血。肺の音は綺麗で咳もないので肺炎の心配はないと言われほっとする。

おたふく風邪の可能性があるため、個室で待機。血液検査の結果が出るまで約1時間待たされた。うーん、診察までの1時間半、普通に待ち合い室にいたのだが。周りの子供さんごめんなさい。

結果、やっぱり「おたふく風邪」だった。

溜め息。後から診た医者は名医、という言葉があるそうだ。最初に開業医に行った時は早過ぎて、症状がまだ出ていなかったのかもしれない。しょうがない、か。

息子の顔は、総合病院に連れていった水曜日がピークで、その後、一日ごとに腫れが引いていった。熱も早めに下がり、元気に外へ遊びに行きたがって困った。

保育園に報告の連絡を(一応、感染症だから)入れたら、上の年齢のクラスでは少し流行っていたようだ。やっぱり保育園でもらったんだろうな。おたふく風邪の潜伏期間は2〜3週間。発熱の1週間前から感染力があるらしい。だ液による飛沫感染だそうだ。息子は延長保育の時、上の年齢のクラスの子たちと合同保育になってるから、そこでもらった可能性が高い。

次は水疱瘡かなぁ。予防接種してるんだけどなぁ。
月組大劇場公演「暁のローマ/レ・ビジュー・ブリアン」初日に行ってきました。

作品への期待感と初見での満足度は反比例するものだと思いますが、そういう意味では、私は期待してなかったんでしょうね(笑)。楽しかったです!
いろいろな人に見せ場があり、アテ書きがされている。いつものキムシンソングで盛り上がっていく。舞台も衣装もキレイだし、スターさんたちがきらきら。何より話全体が暗くないのでいいです。宝塚を観た、という満足感があります。

初日にかけつけるほどこの作品や月組が気に入っているかというと、決してそうではなくて、新人公演の前に本公演見とかないとな、と思ったためでした。私、キムシン、キライですしね。「鳳凰伝」「王家に捧ぐ歌」は大好きですが、キムシンは苦手です。ええ、未だに許せません。「愛のソナタ」だけは!贔屓の退団公演があれでよかったとは一生思える日は来ないでしょう。だから私怨です。

でも、キムシンとイシちゃんは合うだろうなぁ、と期待してました。キムシン説教ソングとイシちゃんの持ち味はぴったりに違いない。ジャジーとやらは観なかったけど、これはイシちゃんが出るなら見たいわ!そう思って初日に行きました。

原作とかは全然しらない教養のない人間です。これって原作もこんな感じなんでしょうか?

「善人であることが最大の取り柄である総務部長が、野心家の同期・営業一部の部長とその部下たちにたきつけられ、また強い妻にも尻を叩かれ、一念発起、創業カリスマ社長を追放した。しかし、社長の腰巾着と思われていた副社長が営業二部、三部を取込み、総務部長と営業一部部長を追い落とした。社長の後継者争いは、副社長、社長の甥、隠し子とその母などが入り乱れて、これから一波乱ありそうだが、とりあえずは、総務部長はとてもいい人だったね、ということで一旦終わった」

なんつーか、国の興亡に関わるようなスケールのでかい話ではなく、軽い社会派ドラマみたい。そんなノリ。

キムシンは叫んでるんですよ、今回も。人は集団になると、数の暴力で真実を自ら愚かにも手放すって。で、総務部長はいい人だった!で終わって、そこで「そうだよね、うんうん」とうなずけなかったです。え?もしかしてキムシンの真の狙いはそこですか?いい人ってだけでは世間的には美談として誉めたたえられるけど、本当は単にモノをよく考えてないだけな人ってことですか?

いえ、そこまでひねてはないでしょうね。すみません。考え過ぎです。

つーか、はっきり言っちゃいますが、あさこちゃんはスロースターターなのかも。初日で、イシちゃんはきっちりベテランの実力を見せているし、ゆうひくんはいつものゆうひくん、きりやんは当然きちんと仕上げているし、その他の生徒さんたちもそれ相応に出来上がっていました。

その中であさこちゃんのアピール力がなんか弱々しかったのです。私があさこちゃんを最後に見たのは、エリザの初日ですから、男役に至っては花組にいた頃以来かもしれない。でももっとあさこちゃんは「俺様」で、アピールしまくっていたような印象があったので、ちょっと戸惑いました。

決してあさこちゃんに合わない役ではないと思う。周りのキャラクターたちが色濃い分、ブルータスの白さ、若さは際立つ。それはあさこちゃんの持っている白さ、若さと重ね合わされるのに、あと一つ、強さが足りないように思いました。トップスターならその強さでもって、劇場も駄作もねじ伏せるその力。スロースターターであり、もしかするとイシちゃんに遠慮しているのか、イシちゃんとの違いを出そうとしているのか。イシちゃんは今回力そのもののようなキャラクターですから。

作品としては、最初のきりやんとほっくんの漫才が始まった時は、ナニゴト!?と思いました。初日だけのサービスかと思ったら、ずっと毎回やるんですね。東京まで?と考えて目眩がしました。吉本と提携したのかと思われるのではないか?とか東京でこのノリが通用するのか?と不安です。

とにかく皆、キムシンに右へ倣え、とばかりに登場人物たちが主張し続ける。最初はよかったんですが、段々「だからなんなのよ!」と思い始めてイライラしてました。あんたらの主張ばっかり聞かせないで、ちょっとは話しを進めてくれよ、人と人との感情の絡みを見せてくれよ、とうんざりしかけてました。

やっと話が動き始めたなぁ、と思ったらイシちゃん死んじゃった!え?時計見ましたよ、1時間のちょっと手前だったかな。びっくり。

ちょっと話が前後しますが、ゆうひくんがオープニングからしばらく出て来ないんですが、出て来たらもう目が釘づけ!むちゃくちゃ恰好いいです!スタイルよし、髪型よし、目つきよし!っていうか、いかにもゆうひちゃんに当て書きしました!っていう人物で。マンガで出て来る脇の美形さん、でも読者アンケート取ると主人公より得票数が多いあのタイプ。プルミタス以来のゆうひくんハマり過ぎキャラだと思います。プルちゃんが好きな方は絶対気に入ります。

で、ゆうひくんがひとりで場を仕切り、銀橋も渡り(途中で寝そべったりして)、歌を歌うのです。

イシちゃんが死ぬまで、きりやん、出番ないんです。ですから「とうとうゆうひくんが2番手にチェンジしたのか?」と思った位です。でも、そこからは一気にきりやんが逆転するので(歌で煽動したりね)、いつも通りでしたが。きりやんファンは血の気が引いていたのではないでしょうか。

セットはキムシンですからとてもよかったですし、衣装も今回とても綺麗でした。スタークラスが肩からかけている布に太い白い縁取りがついているのですが、そのバランスが絶妙でやぼったくならず、でも印象に残る美しさがよかったです。民の衣装も皆同じではなくて微妙に色が違っていてきれいでした。

イシちゃんは本当の専科になってしまったの(涙)という扱いでしたが、でも上手かったなぁ。あれはイシちゃんにしかできない。

「1、2、3、いっぱい」しか数(役)を数えられないと思っていたキムシンですが、今回は7位までは数を数えられたようです。さらに何かわからないけどあと10位は大衆の中から拾い出せたようです。

幕間に緑野こあら師匠にお目にかかって言ったのは、ゆうひちゃん恰好いい、は置いといて「エリちゃんすごい!ほっくんキレイ!」だったかな。この2人が私的に印象に残りました。師匠は「あさこちゃん総受けの話ですね」とおっしゃってたけど、私も腐ってない系なので師匠のお話相手になれなかったかもー。すみません。

でねー、最後にまた漫才あるんですよ。あれって要るの?なんかごまかされたような気分になる。いや、本気でごまかすんなら、あのあさこちゃんが死んで幕が降りたところでエンドにした方が「なんか良く分からないけど、偉大な人が死ぬお芝居なのね」と思わせられてよかったと思うんですけど。
漫才の後に、さらにエンディングっていうかフィナーレっていうかよくバウでやってるように、登場人物が関係者単位で前に進み出てそれぞれの個性でもってポーズをとって挨拶するっていう、あれをやるんですわ。なんだかますます作品のスケール感が小さく見えてしまいます。やめようよ、あれ。

なんか書き残したことがあるようなないような。

ショーはえーと。エリちゃんがいい扱いだったなぁ、ということと、かなみちゃんが着ていたミニスカポリスの衣装は檀ちゃんのと同じかな?ということ。退団するゆらさんやたまこちゃんがそれなりに扱われていたこと。それとゆうひくんがイシちゃんからかなみちゃんを奪う場面、背中をみせたゆうひくんにケロちゃんを感じてしまいぐしぐししていたこと、そんな位です。

いや、忙しかったんですよ!立ち位置チェックしてたから!誰って、まちお氏の。まちお氏が月組副組長になるのかならないのか、というのは組み替えを伴う大きな問題ですからね、重要なんですよ。ちょっとソロがあったり、悪くない場所に立ってたりで判断つきかねましたが。

芝居もショーもいかにも宝塚、という感じでとても楽しめました。またぜひ観たいんですが、どうなるかなぁ。

     ☆

私は宙組楽、観てません。前楽だって観てません。CSすら観てません。だからタカちゃんもハナちゃんも退団なんかしてません。きっぱり。何かの間違いです。

でもね、月初日に行ったら、ずらーっと赤い前の座席(B席で見ていたので)の背もたれに、セロハンテープがいくつか残っていたんですよ。ああ、5日前の宙楽で、ペンライトや何やら貼付けていたんだ、その跡なんだなぁ、と。ちゃんとお掃除しろよとかいうのは置いといて、セロテープで宙楽を感じてしんみりしてました。

だからこそ!セロテープごときでタカちゃんハナちゃんの退団に納得できるわけないです。だれか、私にタカハナ退団を納得させてください・・・。

     ☆

そうそう、誰も騒がないので私が騒いでおこう。オヅキアラン、新公で見逃したかと思ったのに、また観るチャンスがあるなんて、嬉しいっす!わーいわーい。
花組バウホール公演「スカウト」を観たのは、今を去ること1ヶ月も前。緑野こあら師匠初め、皆さんが祭りで盛り上がってる最中にやっぱり書いとくべきだったなぁ、と反省。何でもバンバン忘れる最近の私の脳みそ。「スカウト」で印象に残っているのは・・・残っているのは・・・師匠の嬉しそうな顔、かな。

いや、もちろん、舞台も印象に残っていることはいろいろある。

バウ公演は2時半からというのが私にとってはネック。午後から仕事を半休取ったとしても、劇場にたどり着けるのは、3時ギリギリなのだ。大劇場ならなんとか開演に間に合うけど、バウはどうしても間に合わない。それを知った皆から、アドバイスが次々入った。師匠から、nanakoさんから、ドリーさんから。

「開演30分後のいちか登場シーンだけは見逃さないで!」

な、なんでみんな、そんな口をそろえてそういうの?

登場シーンねぇ。舞台の上からじゃじゃーんと登場して一回転して飛び降りるとかかな?でもそれだけ皆が言うならいいシーンなんだろう、間に合うよう頑張るぞ!・・・と思っていたのに!さぁ、会社を出ようとしたら、すごーくすごーくつまんない事情で、目標にしていた電車に乗り損ねた!1分の差、だった。ここで1分違うと、宝塚駅に着く時間は20分違う。あの電車に乗っていれば、2時45分までには座席に座れていたのに!

電車の中でぐしぐしとメールを打つと、「いちか登場は2時58分!」と師匠からお返事。宝塚駅から猛ダッシュすれば間に合うか!?

走りましたよ。劇場の後ろ扉を開けたのは、ちょうどお経ソングが始まった時だった。
(ところで、バウ入り口に走りこんでチケットをもぎってもらって、そのまま階段駆け上がったのに、ホールにいた係員さんは私の座席番号知ってて、そのまま案内してくれました。その間わずか15秒ほどだと思うんだけど、入り口から中へ座席番号、連絡が入ってたのでしょうかねー?)

ちょうど通路際の席だったので、滑り込むとお隣の師匠がにっこり。私は間に合ったらしい。

なるほどなー。登場するその一瞬だけではなくて、登場する場面、なんだ。すごいわー。確かに見逃すのは惜しい場面。いちかちゃん、すごい!対するらんとむくんももちろんすごい。

もうひとつすごいことがあった。

それは、師匠のオペラ。まぁまぁ前方席で観ていたんだけど、私ももちろんオペラ使っていたけど、師匠のオペラが上がるとそこにはまっつ。方向にブレなし。薄暗い舞台の片隅にオペラが向けられると確かにそこにまっつがいる。まだ誰もいないけど?と思った次の瞬間にはまっつ登場。お陰でまっつは全く見逃さずに済みました。まっつも観ていたけど、師匠の反応と合わせて楽しませていただきました。

30分分見逃したけど、まぁまぁ、話はわかる。一番困ったのは、主人公の立ち位置がよくわからなかったこと。らんとむくんのキャラクターというか、設定というかそういうものがわからなかったので、誰に感情移入していいのか迷った。

幕間に「オサ様たちが来てますよ!」とドリーさんに教えてもらい、さらに月組退団者の話なども。

2幕目も楽しく観る。芸達者な面々が揃っている。みわっちの役はあれは未沙のえるさんの役だよなぁ。いいのか、みわっち。頑張ってたし、新たな一面開発、って感じではあったが。

気に入ったのは、ヒロインのきほちゃん。私、セリフの声のいい娘役さんが好きみたい(ex.花ちゃん)。手足が長いのも好み。長い髪、白い衣装がよく似合い、本当にヒロイン然としていて素敵。歌も上手いし。わーい。

らんとむくんはやっと和モノから脱却、ファンは嬉しいだろうなぁ。格好よかったと思う。

終演後、師匠やドリーさんとお食事しながらふと、口を突いて出たのは「この話、面白かったんでしょうか」などという、作品の根源に関わることだった。お二人は複雑そうな顔をされて顔を見合わせていた。そうだよね、どう答えればいいかわからない質問だよね。
いや、楽しんだんですよ、私も!でもなんていうか、そのー、命をおもちゃにしているという嫌悪感まではいかない、でも何も考えずストーリーにのっかってただ笑っていればいい、という話でもない、なんとも自分の中で処理しきれない思いが残ったのだ。

客席からは笑い声が響き、皆、楽しんで劇場を後にしている様子がわかった。でもこの話を「面白かったよ!」と人に勧められるかといえば、よくわからないのだ。

演出家は楽しんでるな、と思った。

この作品、ハリーは相変わらずタイトルだけ決めて後から話を作ったんだろうな。ひとつのものを一から作り上げることの大変さを考えると、「つまんない」の一言で終わりにするのは失礼だとは思う。制作者は何かを作るその糸口を見つけ、ひとつの作品に練り上げる。
ハリーが今回、糸口にしたのは、私が考えるに間違いなくいちかちゃんだ。いちかちゃんに悪魔をやらせたい、縦横無尽に舞台を跳ね回らせたい、老婆をやらせたい、そんな風に見えた。あの場面が一番、舞台が生き生きしていたように見えた。演出的に。

そこからもう一歩進めることはできなかったのかなぁ。何か、「観てその時楽しかった、笑えた」だけではなくて、何か、観る人の気持ちを変えるというかこれを観に来てよかったな、と作品そのもので(出演者の頑張りはこの際、こっちへ置いといて)思わせられる何かが欲しかったかな、と思うのだ。

チケットを取ったのは、なんつーか、はずみだったんだけど、でも観てよかったなぁと思う。面白かったよ。それは間違いなく。きほちゃん、まっつ、いちかちゃん、いろんな人を生で見る、小さいバウという劇場ならではの楽しさ。頑張って走った甲斐があった。

それは間違いない。

         ☆

「スカウト」よりももちろん後だけど、この前、宙組大劇場の2回目を観てきた。

私が観たときは、たかちゃんの調子がよい回だったようで、そしてもちろん、初日よりもずっとよさそうで、動作が身軽になり、動きにキレとまではいかないけどメリハリがあって、観ていてほっとした。動きが軽快であるということは、たかちゃん自身の気分にも反映するようで、本人の気合の張りも伝わってきて、心からよかった、と思えた。

私はずっとたかちゃん花ちゃんが大好きだった。宝塚の夢を具現化してくれる理想のコンビそのもの。どんな作品でもあの2人が出ていれば満足して帰路につけた。

だから、絶対ラストディは観る!ずっと前から友人にもそう宣言していた。どんなにお金積んだっていいわ、とも思っていた。

でも今回はもう諦めた。

2回目を観たときは、息子をチャイルドルームに連れていったのだけど、朝から息子はちょっと熱っぽく、いけるかどうか怪しかった。それでも無理して連れて行ってしまったのは、初日が最後になるのはどうしても残念だったからだろう。

チャイルドルームのスタッフさんには、こまめに熱を計ってくれるよう頼み、呼び出し用のポケベルを膝の真ん中において(普段はポケットに入れている。イキナリ鳴ると心臓に悪いので)、少しでも鳴ったら劇場を飛び出そうと思っていた。

だから場面が転換するたびに、「ここまでは観られた」「ここまでは観られるかもしれない」と集中しまくって観た。そして「ここまで」がついにフィナーレの階段降りになるまで、ポケベルは鳴らなかった。

チャイルドルームにお迎えに行くと、元気でにこにこした息子の姿。お昼寝の後、すっかり平熱に戻り、遊んでいたらしい。

満足だった。場面ごとに集中し、一瞬たりと見逃すまい、と思って観た私。そして調子のよかったたかちゃん。これが私にとってのラストディでも納得できるな、と思った。

もちろん、サヨナラショーは観たいよ。ものすごく。反面、心の中で辛い思いをしながら見ている私もいる。
「たかちゃん、頑張って!もう少し!」と。そういう思いをしながら見るのは本当は失礼なのかもしれない。舞台に立っている以上、客に満足いく舞台を見せる覚悟で、たかちゃんは舞台に立っているのだろうから。

花ちゃんのラストディも見たい。花ちゃんは他のトップ娘役さんのようなミュージックサロンも、バウもない。写真集も出さない。なんでなんだ。あれだけ長い間トップ娘役をやっていたのに。彼女なりの選択なんだろうとは思うけど。ラストディもまた、寄り添う娘役として終えるのだろう、と思う。

宝塚ファンになるのがもう少し遅かったら、この偉大な娘役さんを生で観るチャンスはなかっただろう。そう思うと、ここまで続けてくれたそのことだけで、花ちゃんに感謝しているのだ。花ちゃんに間に合ったのだ、私は。だから最後の日、だけにこだわらなくても、いいかもしれない。

たかちゃん花ちゃんの最後の舞台が、二人にとって幸せな舞台であることを、ずっとずっと祈っている。そしてどこかから、ラストディのチケットが降ってこないかなぁ、とも!
「サヨナラ演出家」オギーの本領発揮、というところでしょうか。

つーか、オギーひでーよ。これじゃあ、わたるファンは泣かないでいられないですよ。私ですら、贔屓の退団に涙一滴流さなかった涙腺カチカチの私ですら、目頭がじわーっときてしまいましたもん。

1幕目の2曲目でもうキてしまった私。わたるくん、こんなに大きいのに、こんなに活き活きしてるのに、こんなにやれるのに、辞めちゃうの?
まだ退団まで何ヶ月もあるのに、辞めるって思い知らせないでよ。

ひーん。

2幕目に入ってからはもう、オギーひでー、を心の中で連発してました。ファンが観たいと思ったであろうわたるくんを、余すところなく見せてくれる。そう、それはケロファンに「G.G.G」で観たかったケロちゃんの姿を全て見せてくれたように。

そしてオギーは舞台をとても上品に、上質にまとめてみせてくれる。文句のつけようがない。ファンに許されるのは、舞台や構成にぶつぶつ言うことや首をかしげることではなく、ただ、泣くことだけ。

若手たちも存分に使われていた。みらんくんはダンスも歌もいいし、女装姿の脚線美にくらくら。ゆかりちゃんはどこにいてもその美貌が際立つ(でも女装はやっぱり迫力)。あかしはなんか一皮むけた?前ほど顔だけで踊ってまーすというアピール以外になんか静かな情熱を感じることができた。
娘役さんたちも素敵。私の大好きなみなみちゃんはとても上品でたおやかな姫。ことことの弾けるようなダンス、歌。うめちゃんは相変わらず、娘役の枠を越えたスター性がきらきらしてた(わたるくんとひとりひとり絡む場面、女装男役2人の後にうめちゃんを出したのは、うめちゃんを可憐に見せる技でしょうか)。

演目もねー、もう。まさか「ジャズマニア」が聞けるとは思わなかった。一気にまみ時代に気分が戻ってしまった。まみさんが銀橋の上に見えるようだった。わたるくんが「ジャズマニア」に出ていたのは、りかちゃん版なのにね。
そしてラストの「アニバーサリー」は、ケロちゃんが最後のビバタカでリクエストした曲。べそべそ。

白い衣装を着てわたるくんが舞台に出て来る度にずきんとする。2幕目の最後なんて反則だよ、もう。ああいう風に見送られるなんて。

でもなぁ。

kineさんもおっしゃってるけど、わたるファンなら通った方がいい。
まだこれから「コパ」も退団公演もあるけど、この作品は通うべきだと思う。

ご贔屓トップのサヨナラを突っ走り、もうひとりのご贔屓をオギーで見送った経験談として、断言できる。
トップさんのサヨナラ公演って、トップのジェンヌさんだけのものでは済まない何かがある。お別れのみを純粋に哀しんで、好きなジェンヌさんと自分、という1対1の関係で浸るのが何かと難しいものだ。
そしてオギー。これ以上の演出で、これ以上の舞台で、サヨナラを盛り上げてくれる演出家は今の宝塚には他にいない。

今のうちに、思う存分、わたるくんとあなたの思い出を作った方がいい。大劇場や東宝では、階段降りや袴姿、パレードなど、また別のサヨナラが待っているから。

今はわたるくんに近い場所で、彼の想いを受け止めて欲しいと思う。

私の観た回では、きんさん、となみちゃん、尚すみれ先生が来ておられたようです。ハンカチはグリーンでした。

そして、私は4ヶ月前に、同じ空間で、同じようにサヨナラのための公演をやっていた人のことを思い出していた。最後まで舞台を務めたかっただろう人のことを。

わたるくん、最後まで身体に気をつけて、楽しんでこの舞台を終えてください。
たかちゃん、大劇場は最後まで悔いなく務められるよう、心から祈っています。

ありがとう

2006年4月19日 宝塚
私は果報者です。

緑野こあら師匠もkineさんも、「チェリさんが来られなくて残念」と(号泣)。

ありがとうございます。ありがとうございます。私のよーな者を気にかけてくださって、本当にありがとう。それが何より嬉しい。そのお気持ちが。ドリーさんからもこっそり、ナイショの画像をいただいたりして。なんて私は果報者なんだろう。

いつまでもケロちゃんを、引きずっている私が、どりーずないとに行けなかったのは何故なんでしょうね。いえ、風邪っぴきがひどかったり、やっぱり子供の預け先がなかったり、仕事休めなかったりしたからなんですけど。

でも、なぁ。

それを考えると、あの1年半前、1ヶ月に2度もお泊まりつき上京をしていた私って、ほとんど正気じゃなかったなぁ、って思います。よくぞあんなことしてたよ。

だからこそ、燃え尽きられたんだけど。だからこそ、うつくしい思い出なんだけど。

師匠も書いておられたけど、退団発表があったときは、師匠以外の方はまだお知り合いじゃなくて。それからあっという間に共に走るひとたちになって。

皆さんと知り合えて、そして今もこうやってわちゃわちゃと観劇したりおしゃべりしたりできること。それがまた最高に嬉しいです。

あのうつくしい世界はもう遠い時の彼方に行きつつあるけど、思い出は決して色褪せない。あの人のかけらがあちこちに残っている宝塚はまだまだ大好き。あの人を見送ってくれた大きなトップさん、あの人が大好きだった同期、一緒に兄弟を演じた後輩。私はまだまだ見届けなければ。

次はわたるくんがあの世界から去っていくけど、きっと悔いなくその日まで走ってくれるだろう。ありがとうね。本当にわたるくんでよかった。

私もしっかり、ダンスコンサートやミュージカル、大劇、観に行かせていただきます。

・・・って、「スカウト」の感想書いてないじゃん!あああ、あの作品も、師匠始め皆様の励ましあってこそ、見られた舞台だったのにー。

はやめに書きます。
風邪気味なのに極寒のタカラヅカ村へ行き、風邪悪化。治ったかな〜という頃にまた雪降るタカラヅカ村へ行き、風邪悪化。こんなことを繰り返しているから全く感想書けません。土日にゆっくりすれば治るだろうけど、近頃めっきり体力についてきた息子は元気いっぱい跳ね回っているからとても休めやしない。ひー、ババアになってからの子育ては消耗戦です。

これ以上放置すると忘れてしまいそう(既に思い出せない部分あり)なので、思いだせた部分を記録替わりに書きとめておきます。

「NEVER SAY GOODBYE-ある愛の軌跡-」。この大仰なタイトル。現在のトップでは最長のタカちゃん、そして13年というおそらく今後も最長不倒であろう期間娘役トップを張った花ちゃんの退団公演。小池の新作、超大作とも書いてあったな。

期待するな、というほうが間違い。そして何よりとにかくタカちゃんが無事に舞台復帰してくれるだろうかという不安。そんなものを抱えて初日を迎えた。私はタカハナが大好きだもの。あの二人を見ていればまさにタカラヅカの夢の世界にいけたのだもの。

その彼らにふさわしい退団作品に違いない、と思い込んでいたわけですよ。ロクにあらすじも読まないで、きっと王子タカちゃんとドレス花ちゃんがドラマチックに恋愛を繰り広げるに違いないと思ってました。あらすじは都合のいい読み方だけをして、闘牛士のロメロってきっとダンディで大人でクールで格好いいのよね!なんて想像してました。
「そうあって欲しい」という期待だけを膨らませていたのですね。

でもとにかくまずはたかちゃんの元気な姿を確認したい!それが一番だった。たかちゃんが舞台に登場したら思い切り拍手するんだ!なんて考えていたのに、あれ?パーティ会場にいつの間にか紛れ込んでいたたかちゃん。えーと。いつ拍手すればよかったんだ?うーん。なんかたかちゃんらしいなぁ。と、とにかく元気でよかった!
踊るシーンはほとんどなし。ちょっとでも踊られるとこちらがハラハラするから止めて欲しいとさえ思った。その分歌いまくり。セリフがほとんどなく、歌だけでつないでいく。なんか胴回りが太く見えるのはきっとコルセットをしているんだろうなぁ。
初日ということでまだまだ押さえ気味だったような気がする。本人も周りもハラハラしながら様子を見ているという感じ。

花ちゃんは相変わらずうっとりするスタイル。最初登場の孫娘なんてぴったんぴったんのジーンズですごいプロポーション。本役に戻ってもそれは品のあるドレス姿。美しい。これで退団なんて嘘じゃないのか?今までの公演のいつもの初日と同じ。まだ次も、その次もいけるよ。
花ちゃんは初日からきちんと完成させてきていた。一人で歌うシーンなんて初日なのに圧巻ものだった。

タニちゃんは、えーん、だから私が間違ってましたー。ロメロのイメージを勝手に作ってた私がバカでした。タニちゃんはタニちゃん以外何者でもなかったです。お歌もたくさんあるんですが、元気に叫んでました。銀橋渡りの主題歌なんてひっくり返りそうでした。タニはタニだとわかっていながら身体の芯で理解できてなかったんですね、私。

その次に大きな役はあひちゃんなんだけど、もー。いっぱいいっぱい。そりゃそうよね。こんなに一人でスポット浴びて歌いまくる役ってやってないもんね。

それを思えば初日からタニ全開のタニちゃんはすごいなぁ、さすが伊達に場数踏んでないなぁ、と感心してしまいました。ニコニコしながら銀橋を歌いつつ渡っていたもの。

残りは宙組いつもの動く背景だけどちょっとマシ、って感じでしょうか。でもともちんやいりすはわかった!退団する夢くんもいい役もらってました。歌といえばたっちんがすごかった。さすが。

音楽はフランク・ワイルドホーン氏。私はよく知らないが有名な人らしい。幕間に2階のロビーを通ったらそれらしき人がプログラムにサインをしていた。どうしようかな、と迷ったけどミーハーな私はつい(笑)プログラムを買ってサインをお願いしてしまった。とてもきさくな人で、「楽しんでますか?」とか英語で話しかけられたのだけどあんまりわからず、またこちらからも気の利いたお返事もできず。そのうちどんどん列が長くなってしまい、劇場係員が整理してしまってた。いい記念になりました。

ストーリーは、なんつーか「カスミラと不滅の恋人たちを足したみたい」。といったら緑野こあら師匠に「それって失礼ですよ」とたしなめられ(不滅を混ぜたことがそう思われたらしい。や、2で割らないから!)、ドリーさんからは「頭の中でどう足し算していいかわかりませんでした」といわれてしまった。ストーリーの主なところは「主人公とヒロインが1幕目で出会って、2幕目で別れる」なのでそれが、ね、「不滅の恋人たち」なんですわ。

でもってキムシンちっくでもあるし。人海戦術、歌で主張、歌で説教。1幕目はまだそうやって群舞で盛り上げて歌で圧倒して、なんかすごいもん見てるような気にはなったんだけど、2幕目は「え?これで終わり?」って感じで。1.5幕モノのように思いました。
2幕目のラストも本来ならタカちゃんをこれでもか!と躍らせたりすればもっと盛り上がったかもしれないけど、それは無理だし。しょうがないかなぁ。

初舞台生のロケットやらフィナーレのダンスがあるから2幕目は短めなのかもしれないなぁ。フィナーレのダンスも、タカハナデュエットダンスも物足りないんだけどこれもしょうがない。

いろいろしょうがないことが多すぎた。でもタカちゃんが舞台に戻ってくれれば、退団の舞台を勤め上げてくれればそれでもうOK、という気分になったのも事実。普通トップさんの退団が決まれば、そのためのコンサートやステージ、DS、そしてサヨナラ公演とテンションをガンガン上げていってパッと散る・・・みたいな盛り上げ方をして、ファンも本人も思い残すことなし、という儀式があるんだけど今回はそれができない。それもなんだか哀しくて辛かった。

タカちゃんはちゃんと大きな羽根をしょって大階段を降りてきてくれた。ハラハラどきどき。あれはとても重いらしい。今回は軽くする工夫をしているという話も聞いたけど、それでも腰にはよくないだろう。カーテンコール、アンコールをしつつ「とにかく一瞬でもいいから早くあの羽根を降ろさせてやって!」と心の中で叫んでいた。
初日だから朝からリハーサルやったりしてたはずだから今さら1秒を焦ったところで本人には変わらないのかもしれないけど。

舞台使いはさすがにうまく、盆と装置の出入りだけで場面を転換させていた。色使いも抑えて上品で美しかった。

でも小池先生ねぇ、ネタ切れですかねぇ。なんだかすっきりしないまま2週間ほど考え込んでいたのだけど、ふと思いついた。

「主人公たちがパーティをしているところへ、ヒロインが逆切れして入ってくる。鼻であしらわれたヒロインは自分のテリトリーで嘆く。再び主人公とヒロインは別の場所で2人で会うことになり、ロマンスの予感。主人公が関わるところで大きな事件が起こり始め、巻き込まれるヒロイン。主人公の身にも大きな変化が。対立組織に誘拐されるヒロイン。主人公と仲間たちによって救い出される。ヒロインは主人公から形見の品を手渡される」

これってあの「LUNA-月の伝言-」と同じじゃーん!!!!!

まだ観るつもりですので、それでできればまた感想書きたいと思います。
そのかバウの配役をご覧になられたケロファンの皆様の心境はいかがなものでしょう。ええ、私は絶句しましたよ。

あれですか?サイトーくんもやっぱりそのかちゃんがケロちゃんに似てると思ってるんでしょうか?だから織田信長でもマルコ=ポーロ(適当)でもなく「宮本武蔵」なんでしょうか?

しかも「勝負を前におじけづいた」とか「実は女好き」とか、なんだかもーなヲタクな設定で、もー。

何よりサイトーくん、ネタ切れなんだな、と思いましたね。はい。サイトーくんのネタ切れは今に始まったことじゃないですが。

サイトーくん、もう一組、雪組のかなめちゃんも演出するんでしたっけね。ネタ切れ深刻で、次は「ほにゃららな闘牛士」とか出したら・・・・怒るよ。

私はそのかバウ、観たいような観たくないような、そんな気分です。カツラはあの茶筅髷だろうしなぁ、衣装も場合によっちゃ使いまわしあるだろうしなぁ(そのかちゃん、主演なんだから新調してもらおうよ!)、何より顔カタチが似てるだろうから、武蔵の扮装で舞台に出てこられただけで、それだけでもう、泣きそう。べそべそ。

それでなくてもさー、そのかちゃん、月組に組替えってだけで、試練なわけですよ。ゆうひちゃんと並びで踊る場面とかあるかもしれないじゃないですか!?私に幻を見ろと?ぴーぴー。冷静に月組の舞台を観る自信ないです。

これも全て、ケロちゃんが退団したのが悪い!と八つ当たり気分です。

                 ☆

kineさんの日記を読ませていただいて、ほのかに「アンドレはやっぱりケロちゃんがいいんじゃないだろうか?」と想像したことをお許しください。痛いケロファンですから、私。

でも、東京のオスカルってとうこちゃんなんですよねー。

・・・・・・・・・・・。

ダメかもしんない。

とうこちゃんが演るとですね、例え「実の妹(アイーダちゃん)」であろうと「宿命のライバル(小次郎)」であろうと「悪魔(ディアボロ)」であろうと、愛がだだ漏れになっちゃうんですよ。ストーリーをぶち壊さんばかりに。
こうして並べてみると、どれもこれも禁断の愛だなぁ。それらをモノともせず、乗り越えてとうこちゃんラブになっちゃうケロちゃんが、アンドレでオスカルを愛したら一体どんなことになるのやら。アンドレという人物を魅力的に見せるとか、話のクオリティを上げるという方向にはあんまり行かないような気がします。

じゃあ、オスカルが他の人だったらいけるか?というと、私は生ではゆうひくんとコムちゃん(雪バージョンですが)しか観ていないので、誰がベストかはよくわかりません。

コムちゃんは相手がケロちゃんでも相変わらずあのペースだろうから、一方通行の愛が強調されすぎそうで。

ゆうひくんだと男同士になっちゃいそう。コムカルとまーロザリーで女同士ってのも困ったもんだったけど、男同士のオスカルアンドレもよろしくないような気が。ゆうひくんもケロちゃんならもう少し女っぽくなるんかなぁ。

私はいつになったら成仏できるのだろう?(ここはひとつ、東宝新公へ行ってオヅキを生で観るしかないのか?)

息子の陰謀

2006年2月28日 宝塚
私が他の男に行かないように。

私がオヅキにハマるのを許さないために。

・・・雪新公の公演日をねらい撃ち。発熱。

母、号泣。発熱した息子を置いていくのはやはりためらわれた。

そして、緑野こあら師匠の日記を読んでさらに号泣。私も行っていればオヅキしか観ていなかったことだろう。熱く誠実な男しか目にはいらなかったことだろう。そして熱く熱く師匠と語り合ったことだろう。

       ☆

私、最近全くといっていいほど、家のテレビで宝塚の映像、観てないんですけど(息子の「くまのぷーさん」や「宮崎アニメ」「アンパンマン」の占拠率が80%以上)、息子ときたらちょっと華やかなレビュー的映像が流れただけで「宝塚!」と言ってくれる。

この前なんてね、尼崎かどっかの大衆演劇の小屋が復活したニュース映像みて「宝塚!」なのよ!?白塗りのおてもやんの女形よ!?

それにそんなに私、宝塚ばっかり観てないわよ!!バラさないでよっ!!

これから大きくなるとますます、母がヅカヲタかをバラしまくるのだろーなー。止めてよねっ!私、カミングアウトしてないんだからねっ!
ベルばらのチケット取りをしていた頃、緑野こあら師匠がおっしゃった。「オサドレ観たいですよね!オサドレ!」。私はもーベルばらはもーどーでもよく、「はぁ」と生返事をしていた。すると師匠は続けておっしゃった。「オサちゃんとコムちゃんですよ?運動会で見たでしょ?一緒に表彰されるのに、コムちゃんはオサちゃんが来るのを待たずに一人で表彰台に上がったじゃないですか。他のジェンヌさんたちはみんな、揃ってから台に上がったのに」「愛のないオスカルとアンドレ!?観たいです!」

ネタ公演ばっかり観たいと思うのはどーでしょうねぇ。それに仮にも他組のトップさんをお迎えしてやる公演、3日間しかないからチケット難で大変だった。心優しい師匠が、オサドレ楽チケットを譲ってくださったので、こんな不心得者ですが観ることができました。

・・・・・期待を裏切らない「ネタ」公演でしたわ!

せっかく星組「ベルばら」観て、回数観るのはきついけど、まぁ、面白かったわ、わたるくんカッコいい!となみちゃん素敵!と喜んでいたのに。

一体どこから書けばいいのか。うーんうーん。極力順を追って、思い出せるところから順番に書いてみようと思います。

最初のプロローグの歌が終わって、セリあがってくるのはアンドレさま。オサさまはまぶたも青く堂々とした化けっぷりだが、いかんせんトップスター。お衣装はゴージャスだわ、態度は立派だわ、劇場全体へ余裕のアピールだわ・・・どうも化けきれずにしっぽだけそのままのお狐さまのよーだなぁと思って見ていた。

舞台に戻り、アンドレの影なんですかね、色違いのアンドレちっくな若手男役が一杯出てくる。わーいわーい、水、かしげと並ぶと豪華ねぇ、オヅキ〜と喜ぶ私の視界に飛び込んでくる、まちかめぐる、そしてハマコ氏。じ、人選これでいいんすかねぇ?

コムちゃんが大階段に登場。いやぁ、似合うわ。やっぱり。金髪が実際生えてるというか地毛のような板につきぶり。顔が痩せたのか、頬骨、鼻も高く、色も白く塗っていてオスカルそのまんま、という感じに見えた。
続いてまーちゃんが大階段を歌いながら降りてくる。うーん?みんなシャンシャン手に持ってるし、もうフィナーレなの?なわけはないが。

ジャルジェ家の場面。お姉さま方、子役なしなんですね。いいけど。木の裏で入れ替わる演出は今までどおり。ここでチラッとアンドレが目を押さえるのが、一応伏線らしい。

なんかよーわからんが、まーちゃんロザリーをトップ娘役の役として成立させるために、ロザリーエピソードがたっぷりあった1幕目だった。ロザリーのお衣装が豪華でねぇ。トップさんの衣装というのは、デザインや色も大切だが何よりその生地の質感が大切、というかいいものを使っていると聞いたことがあるけど、ロザリーもそう、ピンクのシンプルなドレスでもその豪華さは2階席にもわかるほど。小間使いってのが無理だって。

幕前芝居があって、幕が開くと、ジャルジェ家の居間(?)におやじさんが座っていた。誰かと思えばベルナールだった!!!私は知らなかったんだよー、ハマコ氏がベルナールって!!この前の星のベルナールは全ツがゆかりちゃんで、大劇はしぃちゃんだった。それぞれ美しく、格好よかった。だから余計びっくりした。

ハマコ氏は相変わらずハマコ氏で相変わらず熱く語り続ける。ロザリーも同じ境遇だが「親が片方貴族」で「オスカル様に引き取られた」んだそうだ。無理があるよその設定!自分よりはるかに年上のおやぢさんを“引き取る”かぁ?でもって黒い騎士だったって?それも無理がある!黒い騎士は2001星でヒロコさんがやっておられたが、黒づくめの似合うそれは美しく格好よい青年だったんだから、さ。ハマコ氏にベルナールやらせるんだったら、キャラ設定変えてよお・・・(むなしい叫び)。じゃないとギャグになっちゃうって。

無理のある設定はまだ続く。オスカルを慕うロザリーに持ち込まれたベルナールとの縁談。嘆くロザリーの幻想が始まる。

ロザリーの嘆きってこの話にここまで必要なんでしょうか?その前の場面でも説明セリフが延々繰り広げられていたせいもあって、話のテンションが上がっていかない。ベルばらって、何だかよくわからないけど豪華な場面を次々繰り出されて盛り上がり、それを観ている間に「なんか豪華な宝塚を見たわ」ってごまかされて終わる部分もあるじゃないですか。この雪組版、さっぱり盛り上がらない。

ぼーっと観ていた私、八百屋舞台の上でオスカルが後ろ向きに立つ。振り返ったその人はまちかめぐる!噴出しそうになった。次々とオスカルが出てくる。仮面をつけたってまちか氏とすぐわかる。退団だからしょうがないけど、あまりの存在感っていうかインパクト。

何人もオスカル出すってのもねぇ。つい先日、保育園で息子の劇を見た。サルカニ合戦でもカニ5匹、サル5匹、栗2個、石臼3個・・・いや2歳児だからね、人数それ位いないとみんなでセリフいえないしダンスもできないわけですよ。保育園の劇並みなのか、宝塚。

衛兵隊は水アラン格好いい!似合うわぁ。衛兵隊の中にキムも壮もオヅキもかなめもいる。わーい。でも絶対一番に目に入ってくるのはまちか。とほほ。まちかファンの師匠が私の双眼鏡に魔法をかけたらしいです。
衛兵隊は食べるものに事欠いていて、特にオヅキは栄養失調で入院ということになっていますが、それは建前です。きっぱり。女にいえないちょっと恥ずかしい理由で入院してるんです。あの豊満な下半身、栄養失調なわけはありません。絶対。

アンドレはあんまり出番がない、というか、他の人にからまない。一人で出てくる場合が多い。1部の最後も堂々とひとり銀橋に登場。とにかくこのアンドレさま、「さま」をついつけてしまうほど堂々としていて偉そう・・・失礼、で、平民に見えない、いや、見えるんだけどなんか違うって。トップスター春野寿美礼様だって。客席に来ているのはオサファンが多いせいもあるだろうけど、実に小気味よく客席にアピールしている。いやあ、芯までトップなんだなぁ、と感服した。

そのアンドレが「ペガサスが云々」「肖像画が云々」「目が見えなくても云々」と銀橋でいい終わると、さて、舞台全面に原作者の絵が現れる。ペガサスに乗ったオスカル様だ。そういやあ原作でも肖像画描かせるっていうエピソードあったよなぁ、と思いつつ眺めていて妙なことに気がついた。

オスカル様が足を乗せてる鐙(あぶみ)が、手綱の付け根、つまり衡(ハミ)のところから始まっているのだ。
(参考:馬具用語解説)
http://www5f.biglobe.ne.jp/~north2/kihon.htm
ってーことは、オスカル様が足を乗せると、馬の頭がさがっちゃうわけですわ。これで乗れるの?走れるの?すっごく変。ペガサスともなると足で押さえられたところで平気で頭があがっちゃうのかなぁ?
原作の肖像画もこんな絵でしたっけ?しばし首をひねっていたが、その直後に出てくる「肖像画を具現化したペガサスに乗るオスカル様」の衝撃に、そんなささいな疑問も吹っ飛んでしまう。

噂は聞いていたよ。でも実物見るとその衝撃度は想像以上!肖像画を模した格好のコムちゃんがペガサスの背中に乗ってる。そのペガサス、なんていうんでしょうね、ハシゴ車の籠の部分についているというか、クレーンで持ち上げられるような仕組みなんですわ。で、オケボックスの上辺りまでぐーんと伸び出して、右、左、中央と上下するわけですわ。

その間、コムちゃんは満面の笑顔。あまりの衝撃で、バックの音楽がどうだったかとかも忘れてしまった。2階席から観ていたので、クレーン地上部分の後ろに3人のスタッフさんの頭が見えた。左右に動かすのはどうも人力でやっているらしい。

唖然としているうちに1幕終わり。会場がざわついている。ざわついているっちゅーより、ぶっちゃけ皆「笑ってる」んです!盛り上がらないと途中不満だったけど、笑わせて盛り上げて欲しいとまでは思ってなかったって。

私もお腹を抱えながらロビーに転がり出て、友人と合流し笑い転げた。もうコムちゃん気の毒で。誰だよ、あんな演出考えたの。休憩の間中、話題は尽きることなくおしゃべりは続いた。

2部。

なんかよくわからないうちに、オスカルに縁談。私はかしげちゃんは目の前を通られても気付かないくらい苦手っていうか、目に入らない人だったんだけど、今回のジェローデルはイイ!私のジェロスタンダードはねったんなんだけど、それと同じ位よかった。ああいう真面目面白い人っての、合うなぁ。なんか正統派で恰好いいんですけど!?
「私に預けてみませんか」がとってもナチュラルに聞こえてしまうのはなぜなんだろう。なんかこれなら宙組で真ん中に立たれても行けるんじゃないか?見たいかもしれないと思った。

で、ショックのあまりオスカルを毒殺しようとするアンドレ様。どうぞ、お好きになさって、ってななんちゅーか、当然のように感じてしまうのは何故?アンドレ様のやることを「主人公だから正しいはず!」的に感じてしまうのは、やっぱりもう私にはトップスター様としか見えてないせいだろうなぁ。

当然っていえばコムちゃんも。1部もそうだったんだが、彼女には全く葛藤が見えない。フェルゼンを想って悩んでるなんて気配、一切感じません。ロザリーが自分を想っていることにも気付かず、それを告白されても動じない。アンドレが自分を毒殺しようとしても「そーですか」的。貴族を裏切って平民につくのもそれが当然です。戦場?それって怖いですか?
すんげー強い。精神がずぶとい。私はオスカルはもっと心の葛藤を抱えている人だと思っていたが、コムカルには全くそれが見えないのだ。男はまぁ、いてもいいけど、いなくても別に一人で生きていけますがなにか?って感じ。
見た目やその存在は「女」。しぐさなどもまぁ、オトコ臭いといえばオトコ臭いけど女にちゃんと見える。コムカルを見たら、この前みたユヒカルが「男」だったことを確信できた。
でもそのユヒカルとコムカルが真っ向勝負したら、女のコムカルがばっさり、勝ちそうだった。それ位コムカルは強かった。

見た目は綺麗なんだけどねぇ。バスティーユで撃たれる場面なども目を見開いた表情も印象的で美しく、絵を見ているようなのになぁ。なんかオスカルとはどこか違うという気がした。

で、オサドレ様とオスカルとの間に愛はあったか?あったんでしょうねぇ。噛み合ってなかったけどさ。それぞれに自分なりに愛してるんだけど(側にいるっつーならどうぞレベルだが)、コムカルは低温だからそれを汲み取ってやらなきゃいけないし、オサドレはセリフの間は相手に向かって愛を説いてるんだけど、歌い始めると途端にナル入っちゃって相手のことがおろそかになってしまう。相手がやっぱり悪かったかもしれないねぇ、としか言いようがない。
今宵一夜もそんな感じ。悪くないんだけど、どーもラブシーンの熱が上がりきらないうちに終わった気がする。

最後のガラスの馬車、2人ともそれは楽しそうなんだけど、愛に満ち満ちたという感じには見えなかった。トップスターが2人いるなぁ、と思った。

話は戻るけど、宝塚で女が女に愛を告白するって、今までにもあったんでしょうか?ロザリーがオスカルに告白し、抱きしめられてるシーンを見てうろたえてしまいましたよ。私たちヅカファンはヅカ好きってだけで世間様から「レズ?」疑惑を浴びてしまうこともあるってのに、こんな作品のなかでそんなシーン作ってさぁ、私たちの立場を危うくするようなマネはしないで欲しい。そりゃわかるよ、女でも女のことを好きっていうか男女の区別なく尊敬し合うってのはさー。私も緑野こあら師匠、愛してるもん(大いばり)。でも夜中に相手の家まで忍び込んで告白したりはしないって。よく考えたら夜中に行く必要ないわけで。ダンナのベルナールだって公認の仲(?)なんだから堂々と行けばいいじゃんか。
しれっとベルナールの元へ戻ったロザリーは、革命の直前にオスカルの決意のまま進ませろとベルナールに言うし。もうあんた何者?って思ったよ。

作ってる方、やってる方は単にトップ娘役からトップへの愛の告白だから、いつもやってること、位に感覚麻痺しちゃってるのかもしれないなぁ。めそめそ。

フィナーレは、ピンクの衣装で男役が歌い継ぎ。オヅキ、かなめくんと一緒に出てたのは誰だろう?壮くんはやっぱり面白いなぁ。

びっくりしたのがロケット。あの衣装、何でしょう?参考にしたのはゴシック・ロリータなんでしょうか?なんか変。男役化粧のままの子たちにはより似合わないし。

化粧といえば今回のエトワールは美穂圭子女史なんだけど、美穂さん、芝居はアランの母親だから眉を細く老け顔に作っている。そのままの化粧でエトワールの豪華な衣装だからなんだか顔が浮いていた。母親化粧はそれはそれでとてもお上手だけに、余計に浮いていて気の毒だった。

そんなこんなでとっても楽しめた雪ベルばらだった。私は実はこっそり白状すると、衛兵隊でも群舞でも、気が付くとずっとオヅキを追いかけてしまっていた。せっかくオサ様が出て来るのにオサ様そっちのけで、オヅキばっかり見てた。オサ楽だからご挨拶もあるってのにその間すら、花道にいるオヅキみてました。告白。
なんだ、私はこんなにわたるくんのことを観てたんだ。

わたるくんの退団発表があってから、つらつらとわたるくんの出ていた舞台を思い浮かべてみた。私は月組ファンから星組ファンへと変遷してきた。他の組も一通り観ていたけど、不思議と観てない作品や組があったり。でもわたるくんについては、次々と彼の舞台が思い浮かんできた。

忘れないためにも、一度整理しておこうと思う。

私が宝塚ファンになってすぐ、各組2番手、3番手が専科へ異動になったから、わたるくんを最初に観たのは雪組だったと思う。そう、「パッサージュ」だ(芝居はなんだったっけなー。最近物忘れが激しくて。石田作品だったよなー)。今もはっきり覚えてる。「こんな作品を観られるなんて、なんて幸せなんだろう。宝塚を観るようになってよかった!」と震えるように思ったことを。

そこに出てきた巨大な極楽鳥。誰だろうと思っていたら、わたるくんだった。ファンになって間もない私は出てきた時はわからず「誰だろーなー」と双眼鏡を覗いてやっとわかったのだ。で、でかかった。

でも極楽鳥以外では、ぐんちゃんと邂逅するジーンズの男や、イシちゃんを頂点にぶんちゃんと3人で踊る場面とか、エンビとか、もう、宝塚の魅力をこれでもか、と体現してくれて幸せだった。

          ☆

「月夜歌聲」は、“大劇場以外まで行くのは宝塚にハマリすぎよね”などと考え、行かなかった。6年前の私のバカ。

          ☆

「大海賊/ジャズマニア」は東京まで観にいった。東京でしかやらない演目、ケロちゃんも出てたもの。これぞ悪役、という悪役らしい悪役だった。部下がゆうひくんやタニちゃんだったんだよなぁ。ナオちゃんと同期でショーなどで楽しげにしてたっけ。

          ☆

「カスミラ/ダンスピ」も観た。大きな存在感。

          ☆

「風と共に去りぬ」。思えばこのとき、もう檀ちゃんと組んでたんだよなぁ。檀ちゃん、元トップ娘役だもん、かなりの存在感だったけど、それに負けてなかった。

          ☆

「長春/With」は月組に再び特出。ケロちゃんがかいがいしくクロード先生のお世話をしていたし、なんか妙にからんでたんだよなぁ。ショーで女装していたわたるくん。脚がキレイでした。

          ☆

「Switch」。この舞台を観て私は思った。「この人はトップにふさわしい」。なんだったんだろう、あの空気の把握力は。派手というのとか目立つというのと違うんだ。オーラという言葉に集約させるのは惜しいんだけど、それ以外の言葉が思いつかない。「この人はトップになる」。なんの根拠もなかったけど、そう直感した舞台だった。ナオちゃんとの同期遠慮なしの殴り合いシーンもすごくてねぇ。女性とは思えなかった。最期の場面も迫力の死に様だった。舞台が暗転するまで目を開けたままなのだ。舞台上に倒れているのではなくて、セットの十字架にもたれかかって、客席の方を向いたまま、だよ?ショー部分の女装シーンも迫力でしたが。

          ☆

ずっと専科だったわたるくん。もうトップは無理かという雰囲気が漂い始めた頃、突然星組のトップに就任。星組大劇楽を観終えて(大きなお腹を抱えて)帰ろうとしていた私の携帯に飛び込んできたケロちゃん組替えの第一報。さらに星組トップにいきなりわたるくんと檀ちゃん、というニュース。びっくりしたなぁ。でも嬉しかった。

          ☆

月組がNHKの元旦の番組に出るというので、NHK大阪まで出かけていった。元旦の夜なのに。寒かったわ。幕が降りる前に、袖に引っ込むタイミングをはかって、わたるくんに腕をしっかりからませていたケロちゃん。次の組のトップさん、と決まっていたし仲良くできて嬉しいんだろうなぁと思った。それを受け入れてくれるわたるくんにも益々親近感が沸いた。この人ならケロちゃんを嫁がせても(違)いいと思えた。

          ☆

中日の「長春・With」。ずっとジャンとクロード先生。楽の日にショーの女装でスカートをめくり上げてリカちゃんに迫っていたオトコマエなわたるくん。

          ☆

全ツ「恋蝶/サザクロ3」。私は出産中で全く観られなかったけど、トッププレお披露目として盛り上がり、ケロちゃんも可愛がっていただいていると情報が入り、幸せな気分だった。

          ☆

そして「王家」。初日のスタンディング。大きな大きなトップさん。こんなにいいトップさんになるとは想像以上。当たり役とも思えた。どうしても最前列に座りたくて、大枚はたいて買った最前列。わたるくんが銀橋を渡るたび、のけぞって見てしまった。そういうポーズじゃないと見られないんだもん。そうしても観たかったんだもん。

          ☆

「永遠の祈り」。でずっぱり。実は高貴な生まれ、ってのが似合うなぁ。

          ☆

花組への特出。わたるくんと檀ちゃん。「これがうちの組のトップさんよ」と誇らしかった。

          ☆

「1914/絢爛」。アリスティッドそのもののようなオトコマエのわたるくん。実は良家の子息という設定も納得できる品のよさも持ち合わせていたんだなぁ、と納得(いや、大海賊はひたすら悪そうだったし)。しれっとアドリブする度胸もよかった。

          ☆

「長安/ドルチェ・ヴィータ」。芝居はなんだったか忘れかけていたけど、思い出したよ。だってケロちゃん、「皇帝陛下が大好きでした」って言ってたもん。ショーはもう語りつくしたかも。檀ちゃん=ドルチェ・ヴィータに海の底にひきずりこまれる男。でもきっと彼は永久に幸せだったと思う。今も魔女の膝で幸せにまどろんでいると思う。

          ☆

「長崎/ソウル」。なんと言っても男同士の心中「愛の小船」でしょうなぁ。それでも涙を流しながら熱演するわたるくん。何がなんでも金の取れる作品にしてしまうのがトップさんなんだなぁと実感。ソウルはわたるくんトップになってから初めての普通のショー。こういうの観たかったんだ、と楽しませてもらった。檀ちゃんもしっかり見送ってくれた。

          ☆

全ツ「ベルサイユのばら」。トンデモ作品なのに、またも力技。これで韓国まで行ってしまえる力があった。感服以外に言葉はない。

          ☆

「ベルサイユのばらーフェルゼンとアントワネット編ー」。となみちゃんとの新トップコンビがしっくりきているなぁ、としみじみ。

          ☆

そして退団発表。哀しかった。想像していた以上に寂しかった。私にとっては、トップ就任から退団までをちゃんと見送れるトップさんのように思う。これだけ観てきたんだもの。
退団インタビューの写真はどれも恰好よくて、それでキレイだった。私のわたるくんへの形容詞は「かっこいい」がデフォルトだったが(大学ってのもかっこいい!)、失礼ながら初めて「キレイだなぁ」とほけーっと見惚れてしまった。退団を決めた人ならではの透明感なんだろうな。
まだこれから、梅芸のダンスコンサートあり、ミュージカルあり、DSあり、TCAあり、そしてサヨナラ公演あり。最後まで全て観られたら幸せだと思う。観たいと心から思う。DSは難しいと思うけどね。

でもなー、息子の体調次第なだ。本当なら次の日記は「エリザガラコン」のはずが、チケットとっていたその日に限って息子発熱(泣)。よよよ。
月バウ「想夫恋」を観た日の午前は、星組「ベルサイユのばら」を観た。星担だったはずの私だが、今ではすっかりその気はなく、1回きりの観劇予定。5人のオスカル役替わりも最初から興味のあったゆうひオスカル(略してユヒカル)のみ友会エントリーした。

全国ツアー版のベルばらを観て、嫌になってしまったってのもあるかもしれない。植田歌舞伎というか、TCAというか“どーにもこーにも”つまんなそう、としか思えなかったし。

公演も終盤になってきていたので、友人たちからの評判は耳に入ってきていて、それらは全ツよりは大分マシ、というものだった。まぁ、それならいいかな、と息子の預け先を確保して、機嫌よく出かけた。

大劇場版を見ているうちに、全ツ版はショック療法(?)だったのかなぁ、という気がしてきた。セットや衣装の豪華さも、作品の細かいつくりも、生徒さんたちの出来も、全然違うように思えた。まぁ、そりゃあれは全ツだったもの。もともと変な作品がなかなかよさげに見えるって、歌劇団の策略にはまったのかもしれない。

それはそうとして、となみちゃんはすごくよくなっていた。見事なマリーアントワネット。堂々とした出だしの歌、豪華な衣装に負けない所作、そして華。全ツでは「お芝居ヘタだっけ?」と思えたのが、全く気にならなくなり、セリフまわしもモノにし、子供を失う場面では心動かされた。大劇場お披露目にしてこの完成度なら誰も文句は言えまい。ホントにトップ娘役就任おめでとう、といいたい。

わたるくんもさすが。全ツ版ではギャグにしか思えなかったセリフや場面がなくなっていた(ex,オスカルは死んだときいて可哀想といきなり言ったり、メルシー伯に逆ギレしたり)こともあるが、フェルゼンがあんまりバカに見えなかった。
まぁ、もともと青臭い貴公子的な役柄だから、柄違いは否めない。わたるくんはもっと包容力があって、いい人で、凛々しくて、力強い「はず」で、役柄こえてそれらの魅力がにじみ出てくる不思議なフェルゼンだった。
なもんだから、「ゆけフェルゼン!」シーンはもう、力強くて力強くて。そのまま幽閉先まで乗り込んで家族4人馬車に一瞬で担ぎこんで逃げれてしまえそうだった。それが正義なんじゃないかとすら思えた。
何より素晴らしいと思ったのは、1幕目の最後。冷静に考えるとまーよくもぬけぬけと、ってなこと言ってるんだけど、不覚にも、観ていたときには説得されちゃったよ!フェルゼン、あんたは正しい!って。銀橋を渡り、花道付け根で見栄を切ってゆっくり花道を歩んでいくのだが、あの広い劇場全体の視線を一身に集め、それらを全て率いて消えていく。なんていう存在感、そして把握力。1幕目終わった時に、ここでこの演目は成功したな、と思った。

く、くやしい。「ベルばら」に納得させられちゃうなんて。

元星担(既に元なのか?)なので、舞台上に出てくる主な生徒さんたちは大体わかる。あちらにみらんくん、こちらにあかし、あそこの顎は間違いなくゆかりちゃん、なんて具合に楽しんでいた。いや、哀しんでいた、というべきか。それなりにキャリアも実力も華もある彼らには、役がついてないんだよなー。
男役でこれだから、娘役はもっと悲惨。ケロちゃんの最後の相手役の一人、みなみちゃんなんて「貴婦人」だよ!?1幕最後の宮殿のシーンであのたおやかな微笑みを浮かべて立ってるだけ。しくしく。もちろんとても美しかったです。かといって悶絶失神シーンに出てくれとは思わないけどさー。

その悶絶失神シーン。はい、タキちゃんは余裕の上手さでした。わざわざタキちゃん出す意味あるんかい?とは思ったけどさ。そのタキちゃんに張り合うのは、ケロとうこ同期のえんでぃさん。さすが男役、迫力。表情も思いっきり作っていた。拍手!あの学年であの役、割り切らねばならなかっただろうとは思うんだけど。娘さんたちの中にはモモカさんもいて、実に楽しそうだった。

しぃちゃんなかなか出てこないなーと思っていたら、2幕目からなんですね。私が観ていた限りでは、バイトもなかったようですが。プロローグは別ね。なんだかすっごくベルナールらしかったです。フランスを愛するいい人。だから市民のことも王族のこともその肩書きに惑わされずちゃんととらえることができる。なんだかとても大きく見えた。出てこないけど、本当は「黒い騎士」だよね?その姿も見てみたかった。

しぃちゃんの奥さんのロザリーはうめちゃん。あんまり出番がなくて、いつも腰をかがめて前かがみになって懇願してるばかりで、イマイチ。いえ、本人が、じゃないですよ。しかも緑野こあら師匠の日記を読んでから行ったもんだから「ロザリー=死の天使説」が刷り込まれてしまっていて、笑いをこらえてみてました。すみません。

ジェローデルはすずみん。私はジェローデルは2001年の星のねったんのイメージが強くて(大仰で声がでかくてなんか面白かった)それに比べるとなんだかとってもナチュラルで。ジェローデルの回想シーンで「今宵一夜」があるっちゅーのが笑うに笑えないんだけど、「死にました」「可哀想に」よりずっとマシだからしょうがない。回想シーンの最後、花道のセリからせり上がってくるんですね。びっくり。

アンドレのとうこちゃん。小さいが元々色濃い持ち味の人なので、2001年のフェルゼンよりずっといい。次オスカルだから一人コンプリート?すげー。オスカルよりもアンドレのほうが似合いそうな気がする。組内2番手なのに、どこの組より安定した2番手なのに、特出があるためにプロローグでも絵の中から出てこないし、アンドレとしての出番は少ないし。
なのに、きっちり存在感を出してくるのがとうこちゃん。でもねー、その存在感の出し方がもー「おやぢ」。おっさんでもない、老けてるってのでもない、「おやぢ」。笑顔ひとつとってもなんていうか人生経験伊達に積んでませんっていう笑いなの。はははは。
オスカル毒殺シーンはなかったけど、なくて正解だよなー。とうドレ、そんな若気の至り、暴走みたいなことしそうにないもん。「今宵一夜」もなんていうか想定内というか、「俺のオスカル、いずれはそういうと思っていたよ」みたいな余裕があ!!

そう思えてしまうのも、ゆうひオスカルが少年だったから、ってのもあるかと思います。

(・・・・やっとここから本題。前フリなげーよ。字数制限が10,000字になったから、油断しまくって文章書いてます。すみません)

少女ではありません「少年」です。「青年」に近いかもしれません。「大空祐飛」です、いつもの。女なのに男として育てられ、マリーアントワネットを敬愛し、フェルゼンに想いを寄せる複雑な内面を持ったオスカルではない。まんまゆうひくん、私にはそう思えました。
他のオスカルたちが、それぞれの個性で女を、オスカルを表現していると聞いていたし、ゆひカルはとても女らしいという知人たちの感想もありました。
だから、「いつものゆうひくんに見える私はおかしいのかしら?」と自信がなくなってました。私室でソファに脚を流して座っているとオカマくさくてしょうがなかった。ずっとクールビューティとも無表情とも形容されるいつもの顔で、「本気でフェルゼンのこと好き?アンドレのこと好き?」と問いたくなる、でもそれが魅力のゆうひくん。

どう思い返してみても、あれはゆうひくんだった。見た目は可愛い、丸顔に金髪巻き毛がよく似合う。いつだったかの「プロジェクトX」で日本人体型で8頭身を実現するのがいかに困難かと語られていたけど、ゆうひくんは全く無理なく8頭身。素晴らしいプロポーション。赤い軍服もふりふりレースも何着ても似合う。背が高すぎて肩幅もありすぎるけど。とうこちゃんに配慮してブーツの踵低くしてるかと思ったらそうでもなかった(笑)。完璧に美しいオスカルの扮装をしたゆうひくん。
でも植田歌舞伎の型をなぞるのが精一杯。いつものゆうひくんがそのまんま、オスカルのセリフを口にしてる。それイヤとかヘタとかは思わないんだけど、ついぞ「オスカルがそこにいる」とは思えなかった。私が生で観たことがあるオスカルは、のるさんとさえちゃんだけ。3人を比較したとしても私にはこのユヒカルは無理なく見た目に美しく心地よい。

特にバスティーユの場面。白い軍服姿で舞台に出てきた時から、その輝きに目が離せなくなっていた。全身真っ白の衣装なのに膨らんで見えない。普通あの服を女性が着たら、下半身ばかり強調されないか?(のるさんもさえちゃんもそうだった)ゆうひくんはきちんと逆二等辺三角形を保ったまま、白い衣装を着こなしていた。

そして叫ぶ「シトワイヤン!」と。たった一人舞台の真ん中に立ち、叫ぶスター・大空祐飛。紛れもなく路線のスタージェンヌだった。ひとりで3,000人近い観客の視線をコントロールできる一握りのスター。その一人だった。

そこには私の知ってる「大空祐飛」はいなかった。

少し前辺りから緑野こあら師匠が、ゆうひくんのスター度が上がっていてキラキラしている、と書かれていた。ジャジーも観なかったし、エリザも初日観ただけで、ゆうひくんをしばらく観ていなかった私は「そんなものかしらね」と首をかしげていた。
その通りだった。白い軍服のゆうひくん、階段降りで長い長い歌を歌いながら一人で降りてくるゆうひくん、パレードで確かな位置に立ち微笑むゆうひくん。全てキラキラと輝いていた。

前にも書いたかもしれないけど、私がゆうひくんを好きな大きな理由は、ゆうひくんがケロちゃんのことを好きでいてくれたから。ケロちゃんの弟分だったから。
だからケロちゃんが退団した後、どんどん扱いが上がっていくゆうひくんに複雑な感情がわいてくるのを押さえられなかった。情けないことだが嫉妬していたのかもしれない。

ケロちゃんが退団して1年がたち、退団後の初観劇も済んで、それなりにケロちゃんが自分の道を歩んでいるんだなぁと1年かけて納得できて、そして今回「ベルばら」でゆうひくんの何か弾けたようなスターぶりをちゃんと見ることができて、私はやっと今を認識できた気がする。ゆうひくんはスターだ。

思えばゆうひくんにも失礼だよ。勝手に弟分的イメージを押し付けていたのはこちらだったのだから。別にケロちゃんだけに懐いてたわけではなく、きっといろんな人にあのオフのふにゃっとした笑顔で接していた気のいいゆうひくんだったはずだもの。

ゆうひくん、さようなら。私の知っていたゆうひくんはケロちゃんの退団とともに消えたのだ、ということにやっと気がつきました。もう後を追うこともないでしょう。「血と砂」でお兄ちゃんを慕ってくれたゆうひくん、お茶会で和んだ笑顔でケロちゃんに甘えてくれていたゆうひくん、さようなら。

これからは、ちゃんと「大空祐飛」を宝塚路線スターのひとりとして、楽しく見ていけそうです。好きなジェンヌさんであることに変わりはなく、月組を観るときの楽しみのひとつとしていけそうです。これからもどんどんキラキラ度がアップしてスターとして成長していかれることを素直に期待しています。長い間ありがとね。

(でもやっぱり、アンドレがケロちゃんだったら、もちっと愛の見える演技をしてくれたんじゃないかなー?なんて思ってしまうんですけどね・笑)
懲りた。

星「ベルばら」のチケット、たまたま手配できた日程が、上演期間の最後の週末だった。手配し直すのもめんどくさー、「ベルばら」だし1回観られれば充分、これでいいやーと、その時は思っていたのだ。

しかし。

時は2月。真冬真っ最中。風邪の菌はもちろん、インフルエンザウイルスも飛び交う時期。いくら気を配っていても、息子がその日に元気でいる確率は低くなるんだった。そして実際、元気でいたはずの息子が、前の週末には熱を出し、鼻水をたらし、風呂上りに全身発疹を出し・・・と一気に観劇可能確率が下がっていってしまった。

たかが「ベルばら」、観られなくても損したことにはならないわ、と自分をなだめようと思っても、根っからの貧乏性が災いして、チケットがもったいなくてしょうがない。なんとか持ち直してくれーと、でもできることといったら、早寝させる以外はなくて。金曜日にはとうとう保育園で発熱までしてしまった。もーどーなるのー!?こっちまで体調おかしくなりそう。

それでも成長にするにしたがって少しずつ体力がついてきた我が息子、なんとか観劇日には元気になり、預け先へ放り込むことができた。

もー、今度からはちゃんと上演期間の最初の方でチケット、確保しておこう。結局懲りてません。

で、「ベルばら」は観劇できたわけだが、その話はまた。この日のチケットを入手した時、「そうだー、せっかくムラ行くんだから、その時バウで何かやってないかなー?」といそいそ調べてみた。・・・よりによってこだまっちだよ・・・。私の貴重な観劇機会なのにこだまっち。エンカレだってYoungBloodsだって観たいのに、なんでこだまっちーなの!?(八つ当たりです)。

なら映画観よう。「有頂天ホテル」がいいな。お、ヒットしてるから伊丹でも上映期間延長してるじゃない。と、ムラへ向かう電車の中では99%「有頂天ホテル」を観るつもりだった。映画なんて久しぶりー。「ハウル」も観られなかったし。でも、と思った。映画はまたDVDやテレビで見る機会もあるだろう。だが舞台は生もの。スカステやDVDで観たとしても、生ほどの感動はありえない。わからないことも多い。もしも後で後悔しても遅いのだ。本当に観なくてもいい舞台なんだろうか。
我が師匠・緑野こあら様のことが思い浮かんだ。私は師匠の宝塚作品への見識を100%信頼している。恐れ多いが志向に近いものがあるのかもしれない。前の太田タニバウは楽しかご覧になられてなかったが、こだまっちバウはもしかしてもう観ておられるかも?と電車の中からメールを打った。

有り難いことにすぐお返事がいただけて「見て損はないと思います」とのことだった。

よし!師匠が勧めてくださるなら観よう!1%しかなかった観劇意欲が一気に99%へ逆転した。チケットはないが、なに、こだまっちだ。チケット掲示板には譲るがいくつも出ていたし、サバキもあるだろう。

案の定、「ベルばら」と同等かそれより多い位、バウのチケットがサバキに出ていた。11時公演がほとんどだったが、14時半公演もあり、なかなかのお席をゲットできた。

「ベルばら」を見終えて、すぐ昼食をかきこみ、バウに向かう。前知識はなし。主演がほっくんで、ヒロインがあいあいで、ポスターがひどい出来で、そこにもりえちゃんも載っていたな、この程度。チラシの裏面すら読まずに開演を待った。演出がこだまっちとはいえ、実力派のほっくんならなんとかするかな。

幕開きからほっくんが舞台の真ん中に。なんだろう、なんかとってもキレイ。顔色は白っぽいけど目尻にちょっと赤い色を入れた和物のお化粧がほどよく似合っている。笛の音、桜の舞台。舞台そのものも美しい。これはなかなかいいかもしれない。
ほっくんは歌は上手い人なので、歌声が心地よい。お衣装も着こなしている。プロローグにあいちゃんも出てきて、二人の出会いのシーンがあるので彼女がヒロインだとすぐわかる。観客を引き込むいい出だしだと思った。

この作品の2番手はもりえちゃん、のはずと思って見ていた。だが、ほっくんと義兄弟で舞台の上で重要と思われる存在感を出しているのは、もりえちゃん?いやあれはみりおくんじゃないか?そのうち帝が一瞬出てくる。そうだ、帝がもりえちゃんだったんだ。でもどう考えても、主人公のほっくんの葛藤を引き起こしているのはみりおくんだ。これはどういうことだろう。

それはそれとして知家。煮え切らない主人公。もどかしい、はがゆい、じれったい。自分を抑え、望みを口にせず、好きになった女が弟と結婚してしまおうかというのに黙っている。苦悩しているのは、わかる。大人しい寂しげな眉がゆがんでいる。表情だけでも伝わってくる。ほっくんの確かな演技力。額に汗が光っていた。

知家の気持ちはわからないでもない。わからないでもないけど、じれったい。切ないともいえるけど、じれったい、はがゆいに近い感情がわきあがる。

みりおくんは無邪気で明るく、ゆがんだところのない好青年だった。父がどこぞでひきとってきた知家なのに、真っすぐな心で接するホントにいい子だ。ここまでいい子だと、知家も悪意の持ちようがないだろう。

あいちゃんは安定したお姫さま。出てくるだけでヒロイン感が出せるのもいい。

立さんは演技はいつもの立さんなんだけど、こういうくっきりした悪役だといつもの演技との相乗効果でわかりやすく存在感も程よくてよかった。ソルーナさんも、和物もいけるんですね。

印象に残ったのが徳子と祐子。特に祐子。メイクがヘタなんだか独特なんだかで妙な狂気めいた雰囲気があって、怖くて目が離せなかった。

ところで、この作品にのぞみちゃんが出てるはずなんですが、一体どこに?としばらくわかりませんでしたよ。髭つけて声も低くて。すっかりアクが抜けちゃってちょっと残念だった。

群舞で出てくる桜の精(?)たちのダンスもよかった。衣装はなんつーかヲタクコスプレみたいだったけど(笑)適当な衣装の使いまわしされるくらいならこういうチャレンジは大歓迎。

舞台装置は奥行きと高さがよく生かされていて、単純な造りなのにとてもよかった。「龍星」の時にも舞台の真ん中に階段がしつらえられていたが、こだまっち、ああいう舞台が好きなのかもしれない。舞台転換も無理がない。古い演出家や若手だと幕前を多用したりするのに。いい意味で固定概念がない人なのかもしれない。桜吹雪が散ったり、紗幕一面にしだれ桜が描かれていたり。装置のスタッフのセンスもかなりよかったんだろう。

単なる三角関係のお話のはずが、帝をめぐる陰謀に話が広がり始める。スケールの大きな話になりそうな予兆はあるのに、こぢんまりした人間関係や思惑に収斂させるのは、「流星」の時と同じだ。ま、いいけど。

陰謀は炎を呼んで、舞台の上に燃え上がる。ちゃんと1幕目にもクライマックスがある。そこで語られるのは、義兄弟の間の想いだ。なんで話がそっちへ行くのかちょっと混乱する。ヒロインは一体誰なんだー?

1幕目の最後の歌はすごかった。ドラマチックにほっくんが歌い上げ、決意を語る。まるで「流星」のとうこちゃんのように。こだまっち、1幕の幕引きから2幕目へのつなぎのテクニックとして確信を得たんだな。歌の上手い人じゃないと使えない手ではあるけれど。
しかしいいのか?知家にこんな決意をさせて、これから物語はどこへ行くのだろう?

2幕目始まっても、知家の優柔不断さは変わらない。好きな女が自分を好きだといっているのに、応えない。挙句に帝がその女を欲していると知り、自分から探しに行き、帰ってくるよう告げるなんて残酷なことまでやる。

なんでなんだ、知家。最後までそれで行くのか。そうなのか。周りの人物たちは自分の意志で人生を動かしてるじゃないか。帝だって小督の心を動かしたじゃないか。小督だって徳子の業を知り、私で最後に、と帝に添い遂げる決意をするじゃないか。狭霧も命永らえさせられた恨みで生きていくじゃないか。

だから最後の最後で自分自身に復讐されてしまうんだな。あのまま旅の空で過去を思いながら生きていくことも許されなかった。

そういう人間なんだなぁ。義弟との約束や誓いに縛られていただけではなく、そう生きるのが知家だったんだなぁ。あれだけはがゆさを感じながら観ていた知家だったのに、最後には納得してしまった。もう一歩前へ出れば、言葉にすれば変わったかもしれないのに。こだまっちの描きたかったことはこれ、なのか?こだまっちから見たほっくんはこう見えるのか。

ほっくんは新人公演でも柄違いのリカちゃんの役をやることが多かったし、本公演はもとよりバウでも印象に残る役というのがない。私が知らないだけかもしれないけど、ほっくんの魅力って何だろう?彼に当てて書いたらどんな人物が出来上がるのだろう。そしてそれは魅力的だろうか?

この作品、正直に言ってもう一度観てみたいと思える作品だった。私は決してほっくんが苦手ではないな、ということにも気が付いた。このじれったさ、はがゆさも、ほっくんの魅力のひとつと思えてきた。それが切なさまで昇華できればもっともっと人を惹き付けられただろうに。

作品全体に流れるはがゆさもまた、ほっくんそのものではないかと思うのだ。実力もあり、そつなくこなすのに、今ひとつアピール力が足りない。そんな印象のほっくん。なんだかその不器用さがいとしくなってきた。

だがこだまっち、そこまで当て書きしなくても(苦笑)。なんてのは私の勝手な想像なんだけど。商業演劇として問題アリアリ認定されているこだまっちだが、「龍星」のとうこちゃんといい、主演者の姿をヲタク的にとらえて描き出してみせる思考と技術はなかなかのものだと思う。ファンにとっての主演者の見たい姿を一応は見せてくれるんだもの。甚だ的外れな役柄を当てられて頭を抱えたり、お尻がむずむずしたりすることはなさそうだもの。
この2作で、「ご贔屓が当たったら嫌な演出家」から一歩抜け出したように思う。当て書きの能力。これは宝塚の演出家には非常に大きな武器になると思う。
(まぁ、きっと同じ生徒を何度もは無理なんだろうけど)

だからねー、景子先生もねー、「落陽のパレルモ」ではもう一息頑張って、当て書きして欲しかったよ。今からでも遅くない、オサ・ヴィットリオに「母を死に追いやった貴族社会への復讐だ!」と高笑いさせてやってよ(笑)。いや、遅いんですけどね。

月組から宙組へ行くことが決まっているほっくん。ほっくんが行く頃にはかしげちゃんがトップになっているから、今の漂白組(=所属した組子がすべからく薄くなる)じゃないかもしれないけど、油断すると動く背景になってしまうんじゃないか。知家は最後まで前に一歩出られなかったけど、ほっくんには新天地で一皮むけて欲しいと思うのだ。

師匠のおっしゃる通り、観て損はない、美しい舞台であったことは間違いない。

初観劇の日

2006年1月16日 宝塚
今日、だったんだなぁ。

当然私はお仕事。汐美さんが大劇場に現れたということはネットで知った。いずれ行くとは思っていたけど。

思い出すのは、まみさんの退団後の初観劇の日のこと。ガイズの時だったと思う。
さすがにまみさんの場合、数時間前には「今日らしい」ということがわかって、私は家でじりじりしていた。友人が「もし来たらすぐ連絡してあげる。それから来たらいいよ、私は途中で抜けなければならないので、チケット渡す。そうしたら2幕目から見られるでしょ?」と。

そして、まみさんの入りを確認した、というメールをもらって私は家を飛び出した。車で大劇に向かった。

帰宅のために途中で抜けなければならないという友人が、大劇前で待っていてくれた。まみさんの大体の座っている位置を確認しておいてくれた。ありがたいことに1階席だった。

2幕目始まる直前、まみさんがやってきた。退団後初めて見るまみさんは全然変わってなかった。退団の日、袴姿で私たちの前から消えた人。その姿しか残ってなかったから、普通の恰好のまみさんというものが目の前にくるまで想像つかなかった。
当然、会場の視線を一身に浴びていた。固い表情。照れてるらしい。

2幕目上演中もまみさんの座っている辺りばかりが気になった。フィナーレやパレードでも、舞台上の生徒さんたちの視線の方向は全てまみさんに行っていたように思う。

終演後、やはり拍手や視線を浴びながら退出していくまみさんを最後まで見送った。

その後もまみさんは何度か観劇に来ていると思う。今はもう当たり前の風景だろう。あの初観劇の日の雰囲気は独特だったと思う。それに立ち会えてよかった。

今日のケロちゃんはどうだったんだろう?宝塚に未練たっぷりといいながら退団していったケロちゃん。目の前の宝塚の世界をどう見ただろうか。そう思うと切なくなる。

退団後の初観劇の日は一回きりだ。これから何度か観劇していると単なるOGの観劇に過ぎなくなる。今日の1日がケロちゃんにとって幸せだったなら、それで何も言うことはない。

私はそれに立ち会うことはできなかったけど、またどこかで会えると信じている。今日もなんとはなしに梅田の雑踏できょろきょろして歩いてしまった。こんなところにいるわけはない、とわかっていても。

立ち会えなくてよかった、とも思っている。まみさんのとき、初観劇の日に立ち会って、なんだか気が抜けたというか納得してしまったのだ。OGであるまみさんに。OGであるケロちゃんにまだ納得したくない自分がいるような気がする。
太田作品だったんだ。

宙組バウホール公演「不滅の恋人たち」を観始めて、3分後に思い出した。

忘れてたんだよー!だってだって、緑野こあら師匠やジュンタさんと一緒に「タニ童貞説」で盛り上がっていたときにあのポスターやあらすじが発表になって、「童貞が伊達男!?」ときゃあきゃあと騒いでしまい、これはぜひ観なければ!と勢いいさんでチケットを譲っていただき・・・。その後師走になり、忙しくて情報収集をすることもなく、気がつけば観劇日だった。

おかしいとは思っていたんだよ。いつもはバウ作品、早めに1度は観劇される師匠が、千秋楽しかチケット押さえてらっしゃらないし。初日の幕が開いたはずなのに、掲示板に書き込まれる感想にはとんと「こんな話だった」という類の書き込みがないし。

幕開きからステージの真ん中にいるタニちゃん。きんきん金髪で顔は陶器のように真っ白。唇と頬は赤く、生けるお人形のよう。ヒロインのるいちゃんより肌は白い。美しい。人間とは思えない生き物。これが伊達男?

周囲の登場人物(動く背景ともいう)たちがしゃべり始める。しゃべるしゃべる、そしてタニもしゃべる。わ、私、皆さんが何を言ってるかよくわからないんですが?

ここで「しまった、これは太田芝居だった!」と思い出したのだ。えーん、太田作品だったら前日によく睡眠とっておかないと!んでもってあらすじもちゃんと事前に把握しておかないと、どんなストーリーか把握する前に寝ちまうよ〜!

タニちゃん含めて宙組には太田芝居は無理だったようで、セリフがそれはなめらかにすべっていく。まるでシェークスピアのよう。唯一!セリフをモノにしていたのはチャルさんだけだった。チャルさんは相変わらずエロくて。髪型からもエロオーラが漂っているし、何よりあの唇!銀色に光ってるよ。それでタニちゃんを後ろから食っちゃったり(語弊あり)するからもうキャーだった。

でもね、根本的に間違ってるの。チャルさんはタニちゃんの中に住む人?もう一人のタニちゃん?とかいう設定だった。間違ってるってば。

まぁでも、チャルさんが舞台に出てくると、私ははっと我に帰ることができたので、助かったのだけど。我に帰るってのは、眠気から、っていうのもちょっとあったけど、なんていうか、タニの陶酔ぶりにこちらまで酔いそうになっていたのだ。

タニちゃん、芝居ヘタ。相変わらずだねぇ。とにかく2パターンしかない。陶酔してるかキレてるか。るいちゃんといちゃいちゃしてるのも陶酔の一種。でも自分ではイケてるっていうか気に入ってやってるのがわかる。髪形もかなり気に入ってるみたい。いや、いいんだけどさ、でもこの2パターンを繰り返しやられていると、段々すうっと眠気に吸い込まれそうになったりした。お隣のジュンタさんがそれは楽しそうにタニちゃんにオペラを合わせておられるので、その気配もうかがいつつ、他の登場人物にもピントを合わせる。

いるわいるわ、あひくん、ともちん、いりす、七帆の巨人軍団に加え、あれ?あそこにいるのはすっしぃ?はっちゃんもいる?タケも?アリスちゃんにかカチャ、和もいるじゃない。五峰姉さんも気合の入った髪型してるし。宙組の主だった生徒さんたちが背景をやっている。

もったいないよ〜!もったいないといえば、タニだってもったいない!タニをブレイクさせるつもりなら(何回目のトライか知らないけど)陶酔伊達男じゃなくてアイドルでしょう!「シンデレラロック」の再演してる方が絶対いいって!

結局、話としては、「駆け落ちした男女が失敗して帰ってきました」。マジこれだけ。2幕2時間使ってこれだけ!ある意味すごい。衣装はやたら豪華。タニちゃんもるいちゃんもとっかえひっかえ。背景の群舞たちもいろいろお衣装着せてもらっている。でも背景にライト当たらないと誰だかわかんないんですけど。

極めつけはラブシーンでしょう!タニちゃんとるいちゃん、セリフをしゃべりながら寝転びながらごろごろ。タニちゃんの陶酔ぶりはここで頂点。目がイッちゃってるよ〜!あやうく笑いそうになって周囲を見回してしまった。

太田のやりたかったことはわからないし、タニちゃんは陶酔は入りすぎだし。それらが乖離したまま幕が降りたんだけど、楽が近いせいかスタンディングも始まっていた。あの陶酔に一緒に入っていけるなら、立つこともできるかもしれないな、と思った。だってなぁ、いくらバイロンの詩をぺらぺら言われても、それを言ってるのはタニやミュッセではなくて、太田だもんよ。太田先生も陶酔して脚本書いてるんだよなぁ。しかしストーリーでは感情が動かない作品なので、タニちゃんと同化するかあるいはるいちゃんと同化するかして、陶酔を共有できれば幸せだと思うのだ。

舞台が終わり、師匠やkineさんと合流。「すごいもんを観た」気分は盛り上がっていたので、まだ師匠がご覧になっていないのに、しゃべり倒してしまった。すみません。

タニちゃんは変わらない。私がタニちゃんを見始めたのは、私が宝塚を見始めたのと同じだから、かれこれ5年か6年か。ある意味すごいことではないかと思う。歌も演技も同じレベルを保ち続けている。同時に美しさも若さもその目もくらむ輝きも。
洞察力のある師匠は、「○○の辺りではあがいていたようですが」と教えてくださったが、私クラスの人間には「常に同じタニちゃん」に見える。美しさ、若さ、輝きはくすむことも多いのに、タニちゃんはどんな魔法を使っているのか、全くそれらが衰えないのだ。

もうそのまま行ってしまって欲しい。タニちゃんには。どうあってもタニはタニなんだ。

後日、千秋楽をご覧になるという師匠に、ころあいを見計らってメールする。「タニちゃんどうでした?」「ともちが格好いい!」いえあの、タニやできればチャルさんのことを聞きたいんですがー。しつこくメールすると、返ってきたお返事はこれだった。

「(●▽●)」

爆笑。さすが緑野こあら師匠!

確かに「不滅の恋人たち」のタニちゃんはこうだった。「ボク、がんばってまつよ!」のタニちゃん。バイロンの詩をがんばって暗誦しているタニちゃん。自分はイケてると思ってるタニちゃん。
(※ご存知ない方へ。(●▽●)は某掲示板でタニちゃんを表すAAとして定着しています。独自のキャラクターも付加され、非常に愛されているAAです)

いやあ、楽しかった。太田作品を楽しませてくれたタニちゃんに乾杯、である。

告白

2005年12月26日 宝塚
1年前のあの日から1年が過ぎたなぁ。

あの頃、ホントよくやっていたと我ながら思う。まだ真っ暗い冬の山道を、新幹線に乗るために車で走ったんだよなぁ。息子を強引に実家に預けて。いい思い出。というか「子供がいるから」と諦めてしまう前にやってみればなんとかなるもんだ、ということがわかった気がする。それだけの無茶をする動機がいるけれど。ご贔屓の退団というのはそれだけのエネルギーが出るものなんだ。

未だに「汐美さん、なんで辞めたの!?」とじめついている私だが、でも実は、わかっていた。汐美さんがなんで辞めたのか。

スターじゃなくなってきたから。

あくまで私の推測の話として読んで欲しいが、TCAや歌劇の座談会から外されてショックを受けていたのはファンだけではなくて、何よりご本人だったと思う。
汐美さんは新公の主役をやってはいなかったけど、スターとして扱われていた。でも、星組に移ってしばらくしてから、外され始めてきた。
ファンから見てもそれはわかる、ということは劇団内部にいる本人は肌でそれをひしひしと感じていただろう。

渋い脇の重鎮や組長として残るという道もあったとは思う。でも汐美さんはそれよりもスターでいたかったのだと思う。自分のイメージと扱われ方にズレが出てきた。それを埋めることを選ばなかったのではないか。

私はスターの汐美さんが好きだった。だから東京でスターのオーラをまとっている汐美さんを見るのが好きだった。

渋い脇の重鎮である汐美さんを見たかったか?と言われると、私は「NO」だ。私はスターの汐美さんが好き。だから辞めた汐美さんの意志と、私の希望は一致しているかもしれない。

1年たってそれを告白しようと思う。

でもね、やっぱり淋しいのだ。スターの汐美さんが好きといいつつ、どんな形でもいいから汐美さんを見続けたかった、また見たいという気持ちも抑えられないのだ。
私は前の月組大劇場公演を観なかった。なんだか腰が重かった。大劇場公演、チケットなんて確保してなくても、観られないことなんてまず、ない。宝塚に関しては、恵まれた場所にいる私。なのにぐずぐずしているうちに終わってしまった。

そして、反省した。

緑野こあら師匠の日記が・・・・何を言っているかわからない。いや、師匠の文章、わからないなんてことはありえない。ふつーの人間が日常生活を乏しい文章力で書き散らした日記とは訳が違う。読まれることを意識して書かれた文章。

私がわからないのは、中味、なのだ。

わからないのではない、味わえないのだ!月組公演についてあーんなことやこーんなことを書かれているのに、それがわからない。「うんうん」とうなずけない。「そうそう、そうだったのよ!」と握りこぶしもできない。

つまんない。

関西在住で、ほぼ全ての宝塚の舞台をご覧になって、日記できめ細かく素晴らしい感性と文章で、感想書いてくださっている方がいらっしゃるというのに、その日記を楽しめないなんて!きいーっ。悔しいっ!

だからちゃんと観劇しようと思った。

観劇してこそ初めて、師匠の文章を隅々まで味わえる。と、ご本人に真面目に伝えたら、呆れられた。「それが観劇の理由だなんて」と。でもやはり師匠の日記を読んでいる友人は「その気持ち、わかります」と笑って同意してくれた。

でもそういうもんじゃないかなあ?私は宝塚を観るようになったばかりの頃は一人で観て一人で帰っていた。ヒマだから車で山越えしてみたり。それはそれで楽しかった。でもネットで知り合った友人たちと観劇後におしゃべりするようになってから、もっと楽しくなった。
あそこはああいうことよね?え?そういう解釈もあるんだ。誰々ちゃん、良かったよね、あの演出はちょっとどうかな?etc.関西だとどの組もまんべんなく観ている人が多いから、話は尽きない。いくらでもおしゃべりできた。他の方の感想を聞いて発見することもあり、また次の観劇意欲がわいてきた。

師匠の文章はおしゃべりよりさらに新しい発見や感動をもたらしてくれた。なるほど、そういうことだったのか!なんかぼんやり感じていたことが、あざやかに描き出される文章。そんな見方もあったのか、思いつかなかったことも教えてもらえる。

でもそれらは、実際に舞台を観ていないとダメ。うなずきの角度が違うのだ。観てから師匠の文章を読むと、上下に90度以上、首を振れてしまう。

子供ができてからはゆっくりおしゃべりすることも難しくなってしまったから、師匠の文章は私には何にも代えがたいものなのだ。

ちゃんと観劇しよう。舞台も師匠の文章も味わい尽くすんだ。

で、頑張って花組を観にいった。いや、元々ちゃんと観るつもりではいた。パレルモは以前行ったことがあって、そこを舞台にした作品ということで楽しみだった。シチリアのあの何ともいえない寂寥感のある雰囲気が出てるかな?キリスト教とイスラム教の混じった場所。景子先生だし、きっとこだわりの作品なんだろうな。

いやはや、べったべたのラブロマンス。でも普通の人に「宝塚ってこうなんですよ?」と紹介できる作品だな、と思った。「炎」はちとまずいだろうし、「長崎」はやめとけだし、「マラケシュ」はヅカ的じゃないし。次は「ベルばら」だし。

ふーちゃんの退団作品。ドレスがとっても素敵だった。登場するときのドレスが一番好きかな。回りからひとり浮くほど(笑)きれいだった。他のドレスも上品でセンスがよくてさすが景子先生。どんな子でも娘役になったからには、こんなドレス次々と着てみたいだろうなぁ。

あすかちゃんは現代パートのヒロイン。すらりとした脚が美しく、とってもキレイ。一花ちゃんも可愛いし、彩音ちゃんもお嬢様。きほちゃん、歌も姿も可憐で美しい。もちろん男役も、ゆみこちゃん、まとぶん、らんとむ、そのか、さおたさん・・・ちゃんとみんな使いこなしている。さすが景子先生(まっつは物足りなかった)。悪い役がいないんだよね。それなのに、ちゃんと物語がドラマとして進んでいく。

オサちゃんも軍服がぱりっと似合って格好よかった。

でもね、私は観ながら不思議だなぁ、なんか変だなぁと思っていた。だって、オサちゃんにしてはまっとうなんだもの!正攻法でヒロインの父に、昔の仲間に、人生に対峙している。なんだかお尻がこそばゆい違和感があったのだ。いつヴィットリオは本性を表すんだろう、などと思いながら観ていた。

もちろん、ヴィットリオにそんな本性はあるわけもなく、お話も半ばを過ぎた辺りから「これはこういう物語なんだわ、美しい絵物語なんだわ」と知らずのうちに納得して見ていたような気がする。演じられたヴィットリオとアンリエッタのおとぎ話。正攻法な主人公は、当然のように彼のために用意された器に迎え入れられ、おとぎ話はハッピーエンドだった。

ま、こんなもんか。でも楽しかった美しかったし。もともと景子先生はオサちゃんのために書いた役じゃないんだろうし。でももう一回観たいな。なんて思っていた。

そしてしばらくして、師匠の花組新公の感想がアップされた。それを読んで愕然とした。そうだったんだ・・・そうだったんだ・・・ヴィットリオとアンリエッタは愛し合うことができるはずのお話だったんだ。知らなかったよ。そう思ってみていなかったよ。そうでなくてもいいと知らずのうちに納得していたよ。

オサ・ヴィットリオとふー・アンリエッタは愛し合っていた。でもその前に、頭のよさを生かして人生を上ろうとしている男と、家や自分自身の人生を大切にする女、という立場があってこその愛だったよ。そしてさらにその前に、安定期に入ったトップスターと、退団公演中の娘役トップだったよ。

それが悪いわけじゃない、それで私は納得し、満足して劇場を後にしたんだもの。でも、愛し合うこともできる二人の物語として書かれていたんだ。

師匠の文章は、こうやって自分で気づいてなかったことに気づかせてくれることがたくさん、ある。私は関西人だから同じ料金を払っても、こうやって何度も発見があって楽しませてもらえるとものすごーく得した気になる。ありがたいことだ。
数年前、偶然検索でひっかかって師匠の日記にめぐり合って、以来、毎日ほぼ欠かさずアクセスさせていただいている。時々過去の日記を読み返させていただくこともあったりする。これだけ書き続けることってどれだけ大変なことか。これからも一読者として心より応援させていただけたらと思っております。

ショーは楽しかったです。前の「アジアンサンライズ」も結構楽しんで観ていたので、懐かしかった。前のときはタモさんが真ん中にいたよなぁ。あのあっかるいタモさんのショーがオサバージョンになってどうなるかと思ったが、ちゃんとオサちゃん的シーンも入っていて似合うようになっていた。

衣装の使いまわしで気づいたのは、中詰めのふーちゃんの濃いピンクのワンピースは、「ESP」の中詰めで檀ちゃんが着ていたもの。あすかちゃんとらんとむくん(だっけ?)の結婚式のシーンでまとぶんたちが着ていた海軍士官のお衣装は、「Withナントカ」の南の島の合コンシーンで、ケロちゃんたちが着ていたものだと思う。あの生地の弱り具合からも多分、そう。中日まで着てたからねー。
しつこくこうやってまみ&ケロの時代の影ばかり追い掛け回している、へタレな私です。

え?オヅキ?何のこと?(でもどーして新公アンドレじゃないの!?幕降りるまで一所懸命見ていたら、視線、ちょっとだけくれたような気がします。いい子だ〜)
雪バウ「DAYTIME HUSTLER」を観た。私も「神(=友人Kさん、ありがとー!)」からの恩恵に預かり、緑野こあら師匠のお隣、最前列センターに座らせていただいた。

前知識は、「DAYTIME HUSTLER」という意味深なタイトル、駅で見掛けた耽美色たっぷりのポスター、そして開演1分前に師匠がおっしゃってた「観た人たちはオヅキが印象に残ったと言ってますよ」とのひとこと。これだけだ。

きっとかしげちゃんが満を持して、ファンを倍増させるような作品に登板するんだわ。暗くて、耽美で、陶酔感があって、かしげちゃんの美貌が映えるそんな作品。そしてオヅキがインパクトを与えるの。

しかし。

そんな私の目の前(文字どおり)で展開されたお話は、学園青春真っ盛りドラマでした。

びっくりしたよー。あのポスターは詐欺だ。いや、いいんだけどさー。演出家先生、あれでよかったの?ポスターのイメージ。作品と合ってますか?

お話自体はとても面白く、飽きずに2時間、楽しませてもらった。小池先生、書けるじゃないの。「LUNA」とか「カステルミラージュ」とか「薔薇の封印」とか、そろそろアカンのとちゃう?と思わせられていたけど、これならイケる。面白い。

かしげちゃん、ジーンズ似合うなぁ。細っそい腰!ローライズのかすれたジーンズ生地に白いシャツ。肩周りの補正も完璧で、ちゃんと逆三角形(ただしほとんど二等辺三角形)になってる。いつもよりおでこも目立たないし。溜め息つきながら下から見上げておりました。

ええ、だから気が付かなかった、見えなかったんですよ、ジーンズの足元がハイヒールだなんて。幕間に師匠にうかがって、2幕目、思わず中腰になって確めてしまいましたよ。

ホスト(ハスラーってんですか?)になってから、いつ、もっとこう、裏のイメージが出て来るんだろう?とか思って観ていたが、結局、ローリーはいい先生だった。ずっとずっと。昔、不良だったとか、彼女にひどい言葉を投げ付けて死に至らしめたこととか、普通の人間にあってもおかしくない影の部分は全然出て来ず、ローリーは結局、いい人、だった。

かしげちゃん、いい人なんだね。つくづくそう思った。もうしょうがないな、そう思った。いい人なんだもん。悪い人の役、できないんだよね。無理しなくていいよ。

そしてその悪い人の役は壮くん。アンソニー。いいじゃないか、この役!すごく!高校時代にカップルでいたのに男の友人に情けをかけたばかりに彼女を取られる。「先に帰って」なんて言われたら辛いったらないじゃないか。長じて政治家になり、野心を追い求める。彼女を奪い死に追いやったはずの昔の友人とも握手ができる人。なのにドラッグに手を染め、女に二股をかけ、追いつめられ、とうとう殺人にまで及んでしまう。絶望の中の逃避行、最期の時。人間の弱さ強さがたっぷり盛り込まれた魅力的な人間だ。演じがいのある役だと思う。

私は断然、アンソニーという役の方に惹かれてしまった。

ちょい待ってよ。私はちゃんとごくごく真っ当に、主人公スキーだったはずだ。「ガッチャマン」でもジョーより健の方が好きだった(例えが古過ぎます)。なのになぜローリーがシルヴィアと消えて翌朝のベッドに枕が2つあってもときめかないで、トニーが気になってしまうんだ!?大人になったのか!?私!?

いやいや、宝塚において、2番手格の悪役というのは美味しい、女心をそそる役のはずだ。2番手の時にこういう役でぐっとファンを増やすのは定石だ。

物語は主人公に正しく正しく正しい方向へ進んでいるのに、どうしてワタシはあの黒い役に惹かれるの?2番手格のあのスターさんは誰?勝手に目があっちへ行ってしまう、心が持って行かれる!というものだと思う、宝塚の正しい悪役は。

残念ながら、私は壮くんに持って行かれなかった。壮くんだー、頑張ってるなーと思いながら観ていた。かしげちゃん、ファンを増やしたいならトニーみたいな悪役やった方がてっとり早いんじゃないかなー?なんて思いながら観ていた。

壮くんは熱演していた。でもなんだかこう、こころをえぐられなかった。なんでなんだろうなぁ。

で、私を、というか出て来る度に場をさらっていったのはオヅキだった!!いやあ、すごいインパクト!雪組らしい、わりとまったりとした舞台(全員がそれなりに上手いからね、見どころ一杯なので意識が舞台全体に分散しがち)だったのだが、オヅキが出て来るとぎゅっと彼に向かって意識が集中するのがわかった。私も「次いつ出て来るかしら」とわくわく状態。楽しませてもらいました。次の雪の新公、きっとアンドレやるよね!?すっごく観たい!!

・・・でも胸はもうちょっと押さえた方がいいと思います。あの顔なのに!あの芸風なのに!下から見たら胸がぽんぽん揺れてました・・・。

その他気になったのは、生徒たちのリーダー格の月組のエリちゃんに似たコ。師匠にうかがったら「ラギくんね。前の新公で水くんの役やったコですよ」と教えていただいた。かしげちゃん以上に濃く、オヅキに負けず濃く歌って踊ってました。

紫友みれいちゃんは、ゆうひくん似としぃちゃん似の2説ありましたが、今回しっかり見たら、しぃちゃん似だと私は思いました。けっこう大きな子ですね。

かしげちゃんを見る度に、「どーしてこう、悪役ができないんだ!!」と歯噛みしていたのだが、この作品をみて「いい人なんだね、悪い役できないんだね」と心から納得してしまった舞台だった。

11月8日

2005年11月8日 宝塚
私はたかちゃんは辞めないと思っていた。

「あんなヘナチョコショーが最後のショー作品なんて嫌だー」とわめき、「やっぱりそろそろだよね」などと軽口を叩きつつ、実は51%くらいの気持ちで“たかちゃんは辞めないのではないか”と思っていた。

劇場にも足を運び、実際にチケット取りをしたり、友人から回ってくるチケットのお話など、自分の肌で感じるチケット事情は、やはり宙組の動員力はすごい、だった。

商売などをしていると、扱う品目で売れ行きの差というものがあろう。売りの安定した定番商品で売上を稼ぎ、それ以外の商品にてこ入れして売上アップをめざす。時には投資先行で新規商品を立ち上げたりもするだろう。もちろん定番商品の原価低減努力もするだろう。

宙組で安定した利益を確保しているなら、歌劇団がその柱に据えているたかちゃんを辞めさせるのは、大変な勇気がいるというか、惜しいと思うはずだ。辞めるにしても戦略方針がしっかり固まってからでないと辞めさせられないんじゃないか、だからもしかしてまだ大丈夫じゃないか。そう思っていた。

まぁでも、ガイチさんが辞めるのも、たかちゃんの退団が決まったからなんだろうな、と今は思える。ベルばらで“当面の利益を確保”ってのも、主力商品=宙組の世代交代による一時的な(?)売上低下を見越してのことではないか。などなど、符合してくる事柄がいくつも浮かんでくる。次の宙組トップが誰かは知らないけど、それなりに話題作りをして盛り上げる戦術も決まっているんだろうな、と思う。

でも私はたかちゃんに辞めないで欲しかった。花ちゃんと二人、美しい夢の世界。タカラヅカを見た!と満足して帰途につける組。タカラヅカを初めて観る人にも安心して勧められる組。誰だって自分が好きな趣味を紹介するときは「よかったわ!」と言って欲しいものだもの。宙組なら安心、だったもの。

私がまみさんでどっぷり観劇生活に漬かり始めたときからのトップさんたち。その最後がたかちゃんだった。いよいよ、まみさんと同時期トップさんは全ていなくなってしまうんだな。

           ☆

さらに私は、花ちゃんは残ってくれると思っていた。まだまだ続けてくれると思っていた。たかちゃんが辞めるのはしょうがないとしても、花ちゃんは辞めないと信じていた。

だって12年トップやってるんだよ?しかも休演一回もなし!?宝塚の90年の歴史の1/9以上だよ?こんな娘役はもう後にも先にも出てこないだろう。次のトップがタニちゃんだろうがとうこちゃんだろうが、きちんと合わせてくれただろう。12年やっていても回りの誰よりも少女が、姫ができてしまうんだよ。

私はまみさんからのヅカファンだが、最初の観劇は「白夜伝説」だった。そこで出てきたミーミルちゃんがまだトップをやっている!?ということに驚愕したが、すぐにそれは感謝の気持ちに変わった。いてくれてありがとう。間に合ってよかった。こんな偉大な娘役を生で観ることができてよかった。永く続けてくれたからこそ、私みたいな者でも観ることができたんだ。

トゥーランドットの気品、クリスティーヌの愛らしさ、マリーアントワネットの真の女王ぶり・・・。生で観ることのできた全ての作品で裏切られることはなかった。

ビデオでしか観たことのない作品でも感激度は変わらない。雪組「エリザベート」の鏡の間のあの美しさ。素晴らしかった。「激情」のフラメンコのソロ。なんであんなに踊れるの?なんで普段は少女なのにあんなに女ができるの?

もし辞めるとしても、ミュージックサロンごときでお茶をにごさず、バウくらいはやってくれるよね?大劇場でだっていいじゃん。サヨナラショー1時間やってもまだ足りないよ。だからまだ辞めない。辞めない。そう信じていた。

なのに辞めちゃうんだ。まだできるはずなのに辞めちゃうんだ。

なんだか気が抜けたみたいになってしまって、発表後もあんまりネットをさまよう気分になれなかった。どんな生徒さんでもアンチがいて、辞めると発表になればそれを喜ぶ人がいる。まみさんのときだってケロちゃんのときだってそれはそうだった。別にそれを何とも思わなかった。自分が贔屓を失う哀しみに自己陶酔していてそれらは撥ねつけられたのに。檀ちゃんや樹里ちゃんといった割と好きな生徒さんの場合も、キライな人には分かってもらわなくて結構!と強気でいられたのに。

なのに、花ちゃんを失うことへの喪失感はそれらとは違っていて、ひたすら悲しい、心に穴が開いた感じ。花ちゃんが辞めることを喜ぶ記述を目にするのは耐えられない。

私は花ちゃんが相当好きだったんだなぁ。いや、好きというよりよりどころにしていたんだなぁ。私が宝塚に求めるもの、“美しい癒し”を花ちゃんに依存していたんだなぁ。これからどうすりゃいいんだ。正直、途方に暮れている。

         ☆

そして11月8日。花ちゃんが辞めると発表になった日の1年前は、汐美さんが大劇場で大階段を降りた日だった。入りから芝居、ショー、出、さよならパーティと全てを見届けることができた日。あの日から1年がたってしまったんだ。

ご本人関係で忘れられないシーンはたくさんあるけれど、とうこちゃんの絶唱はすごかった。ディアボロ(=悪魔)が大切なものを失うときはこんな風に嘆くんだ、と力づくで納得させられた。

あの日の映像は残ってないんだろうか。CSでも大劇楽は放映されないんだよね。もったいない。だからこそこちらでの楽は観ておいてよかった。

宙組の楽は観たいなぁ。うん。観たい。

10月20日

2005年10月20日 宝塚
汐美真帆さんのお誕生日。

緑野こあら師匠からお誘いいただいた時、めちゃ嬉しかったです。ありがとうございました。

あの「血と砂」の初日から4年。毎年なにがしかの思い出があるこの10月20日。今年はもしかして何もない、そんな日になるかなと日々慌ただしく過ごしていたのだけど。

師匠と梅田の喫茶店でお茶。誕生日といえばケーキでしょう、と。

カエルのぬいぐるみや、写真集を眺めながらヅカ話。相当に贅沢なこと。

私がいつも思うのは「汐美さんに幸せでいて欲しい」ということだけ。汐美さんを想う人もまた、幸せでいて欲しい。

10月20日という、365分の1のこの日を中心に、気持ちがつながるっていうのは、幸せ、なことだと思う。

ありがとう。いろんな人に、いろんな出来事に。

私も幸せです。

来年の10月20日もまた、お祝いできますように。

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