主に訂正など

2004年11月17日 宝塚
やっぱりいい加減に記憶だけで書いていたので、間違いがいろいろあったようだ。

・ケロちゃんがフルートを吹いていたシーン、実際に吹いていた。口パクだと思っていたのだが、知り合いに「口パクだけだならあんな変な顔しない!」と言われて、15日の昼の回を見てみたら、息づかいもしっかり入っていた。すみません。

・ゆうひちゃん、毎日2公演で大変ななか来てくれた、と思っていたが、15日の月曜日は14時半の1公演の日だった。でも大変な中、来てくれたことに間違いはない。ありがとう。実際、ほとんど一人芝居みたいな舞台だったから、舞踊会出たりしてる場合ではなかったのではないかと思った。

ゆうひちゃんで思い出したけど、エレベーターで乗り合わせたゆうひちゃんは、帽子をかぶっていたせいか、ちっちゃく感じてしまった。背もそんなに高くないような・・・多分、すごい細い、華奢な人なんだろうな。
15日の夜も目の前で見たけど、黒い鞄を肩から斜め掛けにしていて、まるで少年のようだった。あれでもう○○歳なんだよね?びっくり。

ケロちゃんも舞台上では大きく、ごつく(すみません)感じる。DSのルパンで髪を逆立てて客席で隠れていたとき、目の前だった。顎のラインがしっかりしているから、男のような精悍さがあった。

しかしこれが、実際にオフの姿で会うと、華奢なキレイなお姉さんなのだ。細いのなんのって、公演によってはひどく痩せてる時があるのだけど、身体を横からみるとぺらんぺらんだったりする。

あれだけ細くないと、キレイにみえないんだなぁ。私のような者が舞台に立つと、どすこいお相撲さんみたいになるんだろう。

・DSの舞台セット、後ろにDSタイトルの入った幕、と書いたが、会場が暗くなるとそのタイトル文字が光っていたから、電飾だったようだ。

やっぱりいろいろ間違ってるなぁ。私のこの日記は信用しないでください。嘘は書いてないけど、思い込みが激しいかも。

昨日は朝、身体が熱くて熱くて、アイスコーヒーなど買ってしまい、飲み終えて氷をバリバリかじっていたら驚かれてしまった。さすがに今日は身体が妙に冷たくて、なんだか風邪をひいたような感じ。本当に精神的に切れてしまったのかな。

DS当日のこととか、もうちょっと書きたいのだけど、今日はもうやめておきます。

明日はゆうひくんバウ、唯一夜公演がある日。お稽古中のケロちゃんが行けるとしたら、明日位かな?と思っているのだが、どうだろう?行くかな?

私の好きなひと

2004年11月16日 宝塚
ちょっと復活。でもまだよろよろ。すごい余韻で身体まで熱い感じ。

かのちかちゃん、退団なんだ・・・。ショーの最後でケロちゃんと白い衣装で踊る場面がある。あれはそういうことだったのかな?でもファンはたまらないだろうな。だってもう友会エントリーも一般発売も終わってしまってる。今からどうやって東宝のチケットを手に入れるというのだろう。

お互い頑張りましょう。

ムラの集合日で、ケロちゃんたちと一緒に退団発表していたら、ケロちゃんのDSに出ていたかもしれないな、と思う。それはそれで嬉しかっただろうけど、今、完成したDSを観てしまったあとでは、あのショーにかのちかちゃんをどうはめ込むのか、想像もできない。

・・・それくらい、完成された、美しいショーだった。私たちケロファンにとっては。

ご本人も美しくて美しくて。スタイルも痩せ過ぎず太り過ぎず、衣装の着こなしも隙がなく、化粧も完璧、髪型も綺麗で工夫されていて。

私がDSの中で一番好きだった衣装は、最後の白い衣装(「血と砂」の衣装除く)。若過ぎても着こなせないだろうハードな感じがあり、でも、ブラウス部分の刺繍が華やかで、かといってトップさんではあのストイックさは物足りなさがあるだろう。

ケロちゃんの今の雰囲気だからぴったりだったように思う。

・・・その恰好いい姿で、ハンカチ目と鼻に当てながらびーびー泣いている姿は・・・やっぱり可愛かったです。

あれだけ丁寧にケロちゃんの過去を洗い出してくれたのは、やっぱりオギーでしょうか。「凍てついた明日」が無かったのは寂しいと思ってましたが、ハニーが衣装だけで出ていましたね。ビッグジュールがいなかったのはしょうがないか。ウバルドもちょっと無理?

でも、いいや。

「プラチナ」の時のように、周りのメンバーの一員に同化してしまうようなこともなく、堂々と、本当に堂々と、ステージ上のさらに高い台の上の真ん中で、美しくポーズを決め、会場を見回していたあのゆとり。素晴らしかった。見たかったケロちゃんがそこにいた。

MCもなく、アンコールもなく(ちょっと残念だったけど)、ショーに集中し、ひたすら私たちが見たい汐美真帆をみせてもらえた。

15日の夜の部で、私の座っていた場所からは、もう生徒さんがそれはよく見えて、ちょっと顔を上げれば、わたるくんが食事してるし、檀ちゃんの横顔は整っていて美しいし、こんな綺麗な人がいるんだと思える清十郎さまはいるしで。

ゆうひちゃんの顔もはっきり。ほわんほわんの金色の髪の毛が目立つ。隣の月組生たちとにこにこ笑いながら話をしている。ディナーは食べず、コーヒーから来ていた。ゆうひちゃんがあんなににこにこしているのはなんだか久しぶりに見た気がする。

ショーが始まり、胸が痛くなるような「血と砂」の時、ゆうひちゃんがどんな顔してるかな、と気になってちらっとだけ見た・・・んだけど、やっぱり一瞬たりとケロちゃんを見逃したくなくて、視線をステージに戻した。

きっと一所懸命見ていてくれたと思う。

アンコールで、泣きじゃくりのケロちゃんが出てきた時には、笑顔で見守っていた。「あーあー、もう、あんなに泣いちゃって」とでも言ってるかのような笑顔だった。

ゆうひちゃん、大好き。ケロちゃんを愛してくれてるから。わたるくんも大好き、ケロちゃんを包んでくれてるから。檀ちゃん大好き、ケロちゃんにキスしてくれたから。

私、そんなヤツです。ケロちゃんの事を好いてくれている生徒さんは無条件に甘いです。月組時代、ケロちゃんとくっついていたゆうひくんのことは大好きでした。でも組が離れて接点がなくなってしまうと、なんだかどっちでもいいや、になっている事に気が付き、愕然としました。

私は「ケロちゃんを好きなゆうひくん」が好き、なだけだったんです。なんてヤツでしょうね。でも今回、唯一、DSに2回来てくれたのがゆうひくんで、「血と砂」が一番好きな私は、やっぱりとっても嬉しくて。ゆうひくんほどのクールビューティが、ケロちゃんを好きでいてくれてるのが、ちょっぴり自慢であり、誇らしくもあり。

多分、これで時間は止まるから、私はこれからもずっとゆうひくんが好き、でしょう。

出演者も、会場に来てくれた星組生も月組生も、スタッフさんも先生方も、私は好きでいられると思います。

ケロちゃんを愛してくれた人たちだから。

かのちかちゃんもケロちゃんのことが好きだと聞きました。だから一緒に辞めるの?いい機会だと思ったの?

それはそれでちょっと悲しいけど、一緒に美しく、退団していきましょう。

       ☆

私信:緑野師匠、私もあの後ろ姿は、辛くて辛くて。特に15日夜の回のフアンの赤い衣装で階段を降りる後ろ姿には「行かないで!置いて行かないで!フアン!」と呼びかけてしまいました。

愛に包まれ幸せに

2004年11月15日 宝塚
汐美真帆ディナーショー2日目、行ってきました。

結局、昼の部も夜の部も行って、皆勤です。我ながらまさか3回も行くことになろうとは思わなかった。でも行って良かったです。

今、ここを読みに来てくださっている方は、少しでも早くDSのことを知りたいと思っておられると思うので、書きたいとは思うのですが、すみません。もうダメです。

今日、ここまで来るために、精神的に相当参ってます。実は。

理由はやはり息子です。息子の体調が崩れたら、もう私はケロちゃんに会いに行けなくなる、その恐れと戦い続けてきました。

毎朝、目が覚めると息子の額に手を当て、発熱してないかを確かめるのが日課でした。毎朝体温を計るのも保育園登園時の義務。これも毎日ドキドキ。送っていって帰って来るまで、保育園からお呼出がかからないか、仕事中も精神的に休まる時間がありません。

夜、食事をさせて、寝かせ付けて、でも夜中に寝言なのかうなされているのか目を覚まします。発熱していると夜中に激しくぐずって目を覚ますものなので、こちらも飛び起きて、息子の状態を確かめねばなりません。ですから熟睡することもできません。

仕事も大変忙しく、慣れない課題を与えられ、頭を抱え、胃を押さえながら仕事してました。もちろん、家事もあります。真夜中に洗濯、料理です。やらねば汐美さんに会いにいけません。

それが、やっと今夜で終わり。こちらでの汐美さんの活動の終わりとともに、ちょっと一息つけそう・・・そう思ったら、自分の中の糸がぷつんと切れてしまった感じです。

すぐ、糸はより合わせて、また書きたいのです。自分が忘れてしまわないうちに。

でも、今日、書けることはちょっとだけ、です。ごめんなさい。

とにかく3回目の夜の部のお客さまがすごかった。公平理事長の横にわたる&檀夫妻ときんさん。その隣のテーブルにはしぃちゃんやまとぶん辺りの学年の生徒さんたち。逆の隣はとうこちゃんやえんでぃたち。その前のテーブルは月組のちずさんたち。その隣は清十朗さま。

星組生、今日はお仕事だったはずのうめちゃんもいました。他の若手の子たちも。星組生ほとんど全員来てるんじゃないの?って位。ディナーが終わってショーから後ろの椅子席ににすずみんやことことも来ていたし、藤井先生、齋藤先生も。景子先生もいらしていたとか。

端の方のテーブルには月組の若い子たち。前方真ん中のご家族の席には夢くんもいました。

月組生、実は「血と砂」メンバーだったのですね。のぞみちゃんやるかちゃん、たまこちゃんも見ました。麻吹さんとかもいたそうです。るいちゃんもいたし。他にもさららんや退団したプラチナちゃんたちもいました。

驚いたことに、ゆうひくんがディナーの最後からちずさんたちの席にやってきました。昨日も来てたのに!自分のバウ始まったばかりで、毎日2公演やってるのに。ありがとう。来てくれて。昨日、3階で降りたのは、やはり楽屋の方へ行っていたようです。

ケロちゃんの宝塚での最後の公演を、彼女を包んでくれた星組や月組の人たちが見届けてくれたのだ、そう思えて嬉しくなりました。

ケロちゃんも挨拶で「幸せ」という言葉をつかってくれました。

私の願いは、ケロちゃんが幸せでいてくれることだけです。

なんとか泣かずにステージを終えたケロちゃんですが、もう最後、アンコールの拍手に応えて袖から顔を出す度に、涙、涙で顔がぐちゃぐちゃになってました。

可愛かったです。

ここまでよく頑張った、耐えてたんだね、と思いました。お疲れさまでした。いい舞台、みせていただきました。

もう明日は今度こそ最後の集合日。最後のその日まで、汐美さんが幸せでいられますように。
汐美真帆ディナーショー「Good Bye,Good Guy, Good Fellow」1日目。

よいDSだったと思う。しみじみと。オギーの泣かせのひねった演出が入っていたわけではないけど(例えば「Over the Moon」のようにとうこちゃんに歌わせたり)、私(たち)が見たいと思っていたケロちゃんの姿は見せてもらえたと思う。

サヨナラショーとディナーショーのミックスされたもの、そんな感じ。

        ☆

今日は月組ゆうひバウも観てきたけど、その感想はまた後日。

        ☆

それから!緑野師匠の日記のカウンターが回る原因になった、検索のモトは、何となくわかってきた感じ。

しかし〜、私の方も、なぜかある同じ検索ワードで来られてる方が最近多いのです。多分、汐美さん退団に寄せて、私が書きまくってるからだと思うのですが・・・あのー・・・ワタシの日記は決してレポートではないので、思い違いや思い込み、ありまくりですので、決してそのまま信じないでくださいね。音を聞き直したりしてないし、汐美さんがお茶会等で言ったことも、「ワタシはこう受け取った」ってことですのでニュアンスとか、人によって違うと思いますし。くれぐれもよろしくお願いいたします。読んでいただけるのはとっても嬉しいです。

        ☆

DSの会場は「宝寿」。フェアウエルパーティの時のしん、としたゆとりある白い空間は、今回はぎっしり隙間なく並べられたテーブルと椅子、そして熱気に包まれていた。

汐美ファンが一堂に会していたようで、あちこちで「お久しぶり」の声が飛び交う。

月バウの後に、緑野師匠と軽く食べてしまったせいか、緊張しているせいか、ディナーもお腹一杯な感じで、味もあんまりしない。

食事が終わる頃に、会場の一番後ろに椅子が並べられた。食事の時から、宙組若手やかのちかちゃん、れおんくんが来ていたようだったが、椅子席には月組生が。城咲あいちゃんとかいた。ひとり帽子と眼鏡の人がいて、誰だろうと思ったらゆうひくんだった。

ステージはステージの上にさらにもう一段高い台が組まれ、後ろにはDSタイトル入りの幕がかけてあった。

そしていよいよショー。ここからはランダムに。

・汐美さんは余裕があった。最初のDSの時のように、センター慣れしていなくて落ち着きがなかったりすることもなく。舞台の真ん中にいることを堂々と楽しんでいたように思う。早変わりも難なくこなして。歌もしっかり歌って。これだけできるのに、どうして辞めないといけないんだろう・・・。

・一番最初に耳慣れた曲が聞こえたのは「巌流」の「地上の龍」。客席を練り歩きながらだった。意外。けっこう思い入れのある曲と思っていたから、ステージ上で熱唱するかと思っていたのだが。

・「夜更けにお散歩〜♪」の歌詞。よく考えたら「ゼンダ」の曲だった。

・メニュー表を兼ねたカンタンなプログラムに「Something Anything」とあって嬉しかった。まみさんのCDに収録されているシューマッハの曲。まず4人の女の子たちが歌って、コシノ先生の衣装(多分)で髪を逆立てて出てきたケロちゃんも歌う。

・「ルパン三世のテーマ」の次に、「LUNA」の「スペシャルセミナー」。これが持ち歌だっていうのが何となくおかしくて。そして懐かしくて。もちろん振り付き。

・フルートを吹くマネをしながら「THE ROSE」。いい演出だった。

・そして、あの「血と砂」のフィナーレの血の赤の衣装を着て、「血と砂」。もう一度生で聞けるなんて・・・嬉しかった。あの当時、極限まで痩せていたから、この衣装を今また着られるかな?なんて思っていたけど、ちゃんとすっきり。前より綺麗に着られていたかもしれない。欲を言えば白いマタドールも見たかった、な。「我が人生幕が開く(スペイン語)」の掛け声もあった。この辺りで自分の体温が高くなっていくのがよくわかった。

・アナジのお父さんの歌(?)に続いて、「心中」の歌。難しいだろうに、感情込めて歌い上げていた。

・ラテンになって、紫の総スパンの衣装。その後は真っ白の衣装。よく似合っていた。

・「JFK」の歌、それから「夜のボート」。シシィは南海まりちゃん。すっごく良かった。まりちゃんとはプログラム前半でも、ステージの台の上で絡む場面があって、上品な色気があってとても良かった。

・このDSのためのテーマ曲「Good Bye,Good Guy,Good Fellow」があって、前のDSのテーマ曲「Platinum」でおしまい。

挨拶もカンタンにあったけど、「あと2回、もっと頑張ります」みたいなことを言っていた。でも今日しか来れない人、たくさんいるんだよー、可哀相に、なんて思ってしまった。

汐美さん、今日は泣いてなかったと思う。

一曲だけ、歌いたい曲があると言っていたが何だったのか、という話は出なかった。「Platinum」のような気もするし「夜のボート」の気もするし「JFK」のような気もする。

帰る時、エレベーターに乗ったら、ゆうひくんがいた。途中、3階で降りていった。3階に出演者の楽屋でもあるんかな?スタッフの控え室は5階だったんだけど。

とうこちゃんやわたるくん、檀ちゃんは明日かな?宙組も来ようと思えば来れるはずだから、たかちゃんとか来ないかな〜?

とりあえず、こんなところ。

プレミア席

2004年11月13日 宝塚
私は千秋楽のチケットは、プレミアで買った。

あっさりと。

迷わなかった。まみさんの時、精一杯頑張って2階7列だったのだけど、それでも大階段の上に立つまみさんが見えなくて、なんとなく悲しかった。

だから、汐美さんの最後は、1階で観たかった。大階段を見上げる位置に座りたかった。

ラッキーなことに、手に入れた籍は通路横で、目の前を遮るものもなかった。どれだけ前でも、前の席に背の高い人が座ったり、観劇慣れしていなくて背中を浮かせたりする人が座ってしまうと、観たい場所が見えないのは同じ。

今回は、観たい場所がいくらでもストレスなく見える。そういう意味で心残りない席だった。

だが、気になっていたことがあった。前過ぎるのではないか、ということ。

私などのような、初心者のファンよりも、入り出もほとんど行かないようなファンよりも、前に座るべき人がいるんじゃないか。いくらプレミアだからといって、許されるんだろうか・・・。気にしていた。小心者だから。

だが、実際に席についてみると、見知った顔の方が、私の周囲の席のあちらにも、こちらにも。皆、プレミアを手に入れたり、根性で並んで手に入れたりされていたようだった。よかった。私だけじゃなかった。

いいよね、最後だもん。自分で自分の席を選んでも。

いよいよ、最後の汐美さんの大劇場の舞台の幕が開く・・・。

       ☆

最初の登場の位置は、オペラですぐ捉えられる。赤い衣装、着たきり雀なんだけど、美しくてキレイ。

マイクの感度がいいのか、玄宗を讃える歌で、汐美さんの声がよく聞こえてくる。

相変わらず、立っているだけの間も、他の人のセリフに細かく表情を変えている。とうこちゃんの安禄山が踊ると、油断ならないといった感じの目つきで、とうこちゃんを追いかける。

幕前のしぃちゃんとの芝居。どこかの記事で言っていたように、2枚舌の腹黒さのようなものを出そうとしていた。

この芝居、後ろで見ると、いや、どこで観ても、どーしよーもない駄作なんだけど、5列目以内で観ると、マシな芝居に思えてしまうのだ。ケロちゃんだけではなくて、いろいろな人が細かい芝居をしているのがよくわかるから。例えば、銀橋で玉環が玄宗に連れ去られた後の会話、「そんな立派な方が・・・」檀ちゃんの指先が細かく震えていたりする。そういうことに気がついてしまうと、まだ「あれ?以外と駄作じゃない?」なんて思えるのだ。

楽のお楽しみ(?)アドリブは、不老長寿の薬の場面。もともとここはなんでもないシーンだったのに、ケロちゃんの力技で笑いを取れる場面になっていた。

まず、とうこちゃんがオウムの腹話術。「ばんざいばんざい、千秋楽ばんざい」「お前の声に似ているな。もう一回」「ばん・・・」「もういい」。

劇場中が笑ってしまって、その後、とうこちゃんが悠然と退場しても、高力士が「お心を許されませんように」といって、全てウケてしまって笑いが巻き起こる。

不老長寿の薬はケロちゃんが「皆が試してみたいと」。打ち合わせてあったのだろう、従者達まで皆手を上げる。「ダメだ、私の分が無くなる」「では、高力士に試してもらってみては」。いつもは一人で笑いを取っているケロちゃんだが、今回は皆で。

みっこちゃんまでが、アラビアの国使への親書は「思うは宰相のことばかり・・・」ときたもんだから、もう大笑い。

よくその後、真面目に芝居に戻ったなぁ、と場をひっぱるわたるくん、エライ!

その後は淡々といつも通り芝居が進む。この辺りから眠くなってくる。いつもきっちり睡眠時間に当てていたせいで、楽だというのに反射的に眠くなってしまうのだ。

なんとか髪飾りのシーンも見届け(・・・たと思う)、陳貴妃(オウムのこと)も殺され、戦闘シーンへ。

大セリ上で戦っているところ、とうこちゃん、ケロちゃん、みっこちゃん、えんでぃの77期そろい踏みだった(+すずみん)。

銀橋に出たわたるくんを迎えに行くケロちゃん。「陛下!」と言う。わたるくんをかばい、とうこちゃんには「安禄山め!」と言い捨てる。勝手にセリフ増やしてます。

幕があき、最後のシーン。

玄宗を説得するセリフ。いつも以上に心の底からの辛い気持ちと説得しなければならないというせめぎ合いが感じ取れた。

玄宗と楊貴妃を引き離す辺りで、目がうるんでいたように思う。いや、もしかすると、一番最初に登場したところから、目がうるんでいたかもしれない。

楊貴妃が殺されるところで、手を合わせ、呟く。いつもなら「・・・どうか」だけなのだけど、今回は「皇帝陛下!」だった。これが、ケロちゃんの大劇場最後のセリフだった。

ゆっくりと左袖に消えて行く人の姿を見ていた。

そこまで見終えて私の集中力は切れてしまった。目の前で美しいシーンが繰り広げられているのぼんやりながめていた。

幕が降りた。

       ☆

千秋楽の入りは見たいと思っていた。もちろん。でも、あまり早すぎると行けない。息子を保育園に送ってからでないと行けないから。

前日の出が済んでからでないと、時間はわからないので、じりじりしながら日付けが変わる位まで待っていた。出に行っている友人にメールをし、教えてもらう。9時15分スタンバイ。なんとか間に合う!良かった!手紙も手渡しできるということで、慌てて夜中に書き上げる。

翌朝、息子を保育園に連れて出る。途中、盛大に鼻水が出て慌てる。発熱しないでね!お呼出がかかりませんように!

9時10分頃に花の道のところに着くと、白いウエアを着た人がずらりと並んでいた。すごい数。

一番最後に並ぶ。まだまだ人が来ていた。とうこちゃん他、他の星組生が入り、ようやく汐美さん登場。真っ白な上下に頭に白い冠、背中に羽根のようなものを背負っていた。

ひとりひとり、お手紙を渡す。一番端だったので、時々巻き起こる笑い声の理由はわからなかった。が、最後にどうも、とうこちゃんたち生徒が紛れて、お手紙を渡したらしい。 

全員で楽屋口前に移動。普段なら全員ゆっくり一番前に一列で並べるのに、やはり3重になっても入りきらない。汐美さんも次から次へときて、楽屋口前に並びきらないファンの姿を見て、驚きつつ、嬉しそうだった。 

全員で掛け声。前もって紙がくばられていた。

そんな姿をビデオ撮りしていたのは、既に退団されたちー坊さんだった。

楽屋入り口で振り返る。手を振る。

まぎれも無い、スターさんの退団の入り、だった。 

11日の続き

2004年11月12日 宝塚
そして黒燕尾。みっこちゃんとお揃いの白いコサージュをつけて出てきた。劇場中から拍手。ああ、いよいよ、ここ辺りから普通のショーでなくなる。退団するんだと思い知らされる。

いつも通り、いやいつも以上に優しい顔でみなみちゃんを見つめている。みなみちゃんも優しい笑顔で見返してくれる。

ダンスが終わると舞台上の人たちからも拍手が沸きあがった。

銀橋に出る。客席のあちこちをしっかり見ながら。わたるくんとにっこり、顔を見合わせてからポーズ決め。雷。今回は、わたるくんと檀ちゃんの間で両手をつないでハケて行った。

あの後、泣いていたのか・・・。

青の洞窟のシーンがあって、いよいよフィナーレ。

リアルト橋の向こう、水色の子たちの隙間から白い衣装が見える。前へ出てソロ。花はなし。拍手。通り過ぎる壇ちゃんに一瞬心奪われる。千佳ちゃんという恋人がいるのに。そのケロちゃんに狙いをつけるディアボロ。千佳ちゃんを篭絡し、引き離し、近づいていく。でもケロちゃんはにこにこと、愛しそうにとうこちゃんを見ていた。まだショーの最中だというのに。役になってないといけないのに。このショーの間中、やたらとニコニコしていたけど、もうここでホントにニコニコ。とうこちゃん、困惑と哀しさで顔がゆがんでいた。ゆがめながらもしっかりと手を握り合う。

銀橋に出てからもニコニコ。ここにきてからは、とうこちゃんもすっかりディアボロであることを忘れていたようだった。ポーズを決めてから、とうこちゃんと軽く挨拶を交わしあいながらはけていく。

大階段にわたるくん。大階段が小さく見える。すごいなぁ。

下手からスパニッシュの衣装のケロちゃん。相変わらずとてもキレイ。踊りが終わると、わたるくんが「お疲れ様」というように肩を叩いていた。でもここでも花無しなのだなぁ。

わたるくんのソロ(よく聞くとすごい歌詞)が終わり、大階段の上に黒エンビの人の姿が見える。降りてくる。スポットが当たる。歌う。降りる。一礼。「ありがとうございました」とつぶやく。あれ?また花なし?

その後降りてきたみっこちゃんは赤い花のコサージュをつけていた。

一度袖にひっこみ、また出てきて並ぶときにはつけているかな?と思ったがやっぱりつけていなかった。忘れたのか〜!?

銀橋に出てからも、ケロちゃんは終始笑顔。大劇場内をゆっくり、しっかり見回す。もうこの場所から客席を見ることはない、この光景を焼き付けようとするかのようだった。銀橋から帰るとき、並んでいる下級生の顔をひとりひとり見て、目を合わせていた。ありがとう、とでも言うように。

幕が降りる瞬間まで、私はケロちゃんだけを見つめていた。

組長が幕前に出てきて、挨拶と本人からの手紙を読む。・・・・全然普通じゃなかった。自分が入団してからの道のりを紹介したり、退団の理由やきっかけ、好きだった役、今後の予定などを言ったりするのだが・・・・なんつーか、今自分が感じていることを書きました、というもので、具体的な内容も今は思い出せない。ある意味、とてもケロちゃんらしい手紙だったけど。みっこちゃんのは普通に普通のお手紙だった。「ダンスが苦手なのにダンスの花組に配属されて辞令を破ってなかったことにしようと思った」とかあって笑ってしまった。

幕が上がる。

最初に降りてくる。組長が「ケロー!」と呼ぶと「はーーーーーい」となんだか高い声で返事していた。

最後の階段降り、踏みしめるようにゆっくり、降りてきた。

組からのお花は檀ちゃん、同期からのお花はえんでぃ。しかしこれがまた、本人のイメージとはちと(かなり)違う、花かごとブーケを組み合わせたもので。あれって本人のリクエストらしいんだが。やはり最後まで自分のことはよくわかってなかったのかもしれないなぁ。

挨拶の最初、沈黙してしまった。言ったら泣いてしまうのをこらえているように思えた。「感謝したい人がいる」といったとき、家族か、まさか婚約者でも出てくるかと思ったが、組長・・・と始まって、同期のひとりひとりの名前を呼び、舞台の上の人に挨拶していった。なんとか泣かずに最後まで挨拶できていた。というか、最後に気を取り直すようにDSの宣伝で締めくくられてしまったので、こちらも笑ってしまった。

だがとうこちゃんはどうもこの頃から泣いていたらしい。頬に涙が伝って光っていた。

歌が始まると、とうこちゃんはもうボロボロ。ケロちゃんが右手でとうこちゃんの左手をしっかり握り、励ましていた。そのケロちゃん、泣かずに終われるのか?と思っていたが、やっぱりよく見ると、涙が頬を伝っていて、泣いていた。とうこちゃんの手を握ったまま、下のほうで手を振っていた。

幕が降りる。

また上がる。まだ手をつないでいた。

わたるくんの挨拶は、笑いを誘い、そして暖かさに満ちていた。ありがとう、わたるくん。

再度幕が上がる。今度は手を離して、わたるくんが退団者二人を前へ押し出そうとした。だが、二人はマイクもつけてないし、どうしようといってる風だった。わたるくんが挨拶して、最後の幕が降りた。

あたたかい楽だった。ケロちゃんが幸せそうだった。よかった。

檀ちゃん

2004年11月11日 宝塚
フェアウエルパーティで撮っていただいた2ショット写真(ポラロイド)は、会員証と一緒に仕舞い、その後一度も見ていない。見るのがイヤ。

だって、隣に美しくないものが映ってるんだもん!ケロちゃんの顔を見ているのはいいんだけどねぇ。一歩下がっていればよかったよお。顔はでかいは、ぼやんとしてるは。確かに2ショット撮って欲しいって、申込書に書いたし、撮ってもらえると聞いたときはめちゃくちゃ嬉しかったけど。ううう。

いつ撮られても美しいジェンヌさんて大変な仕事だなぁ。ケロちゃん、辞めてもシャープなままでいてね。太らないでね。

フェアウエルパーティの本当の名称は「ファイナル ティー パーティ」だったようだ。ま、私がここで書いていることは、その程度の正確性しかないってことで。私というフィルターを通して見た光景の記録というか記憶の再現。

緑野師匠!今はまだ書けなくてもいいですから、千秋楽のこと、書いてくださいませ。緑野師匠のフィルターを通してどう見えたか、教えてください・・・。

               ☆

芝居が終わり、いよいよショー。

サヨナラムードで一杯になるんだろうな、と予想していた。どの場面でも退団者はお花をつけるとか聞いたこともあるけど、と思いながら幕開けを待つ。が、最初の緑のアルレッキーノでは特に何もつけていなかった。

わたるくんがリアルト橋を降りるとき、いつもケロちゃんが差し出した手を触っていくので、楽はどうかな、と思っていたが、いつもどおり、さらりと触れていった。

ごく普通にシーンは進む。ただ、相手役のももちゃんがにっこり、極上の笑顔だったことが印象に残っている。

このシーンの最後、ディアボロのとうこちゃん以外の人たちが、ストップモーションがかかって止まる。とうこちゃんは真後ろで止まって右手を上げているケロちゃんのその右手に触れながら、周囲を回り、また人々が動き出す。いつもは腕を撫でていく程度のことが多かったのだけど、楽ではしっかり、手を合わせて握ってから離れていった。

ひとり舞台に残ったとうこちゃんが歌う。いつもより強く強く、聞こえる。見送らねばならない、同期、ケロちゃんへの想いをこめているように聞こえた。

花市場。上手から現れるケロちゃん。私の思い違いかもしれないけど、ひとり、一番強いライトが当たっていたように思う。最後だから?
その後もトップ用のピンライトをかなり当ててもらっていたような気がする。スタッフさんも惜しんでもらえているのだと、嬉しかった。

ソロが始まると当然大拍手。

いろいろな人と親しげに視線を交し合う。ゆかりちゃんと絡むシーンでは、しっかりと抱き合っていた。大セリの上に上がり、花売り娘からペンダントをもらっていた。でも街の女にくっついていってしまうのね。

場面の雰囲気がいつの間にか変わっていく。

セットの中、アーチ状の門の下でドルチェ・ヴィータの檀ちゃんが、街の男のみっこちゃんに近づき、赤いバラの一輪を頬に、そして熱い口付け。サヨナラの楽ならではの一場面だ。

盆がまわり、コーザノストラ登場。こんなにキレイなのに辞めちゃうんだ。この場面でも花はなし。コーザノストラでつけてたらおかしいけどさ。

一度引っ込み、帽子を取って幕前からしぃちゃんと登場(しぃちゃん、確かにもみあげ頑張りすぎ。ひどいわ!浸ろうと思っていたのに、つい見ちゃったじゃないか!)。ここで女ボスのシビさんににやりと挨拶したり、しぃちゃんと話したりと小芝居やっているのだけど、今回も。毎回一体何を話していたのだろう。

サテュロスに翻弄される場面。よく身体が動いている。ここの振り付け、集団で踊っていても一人違う振りが混ざっていたりして、なかなか難しいんじゃないだろうか。

左袖にはけて、再び登場。ドルチェ・ヴィータの檀ちゃんに魅入られたのは、わたるくんだけじゃない。コーザノストラたちも。切なそうな表情で檀ちゃんに絡む。いつもはここでケロちゃんは突き放される。次にしぃちゃんが檀ちゃんと絡むのだけど、後ろから抱きしめて首筋に顔を埋めるような振り付けがあって「それ、ケロちゃんにやらせてくれー!」と思っていた。

だが、今回は、最後、檀ちゃんが突き放すところで、両手で檀ちゃんがケロちゃんの顔を包み込み、キスしていた。

もう心臓に来るような色気、フェロモンシーンだった。こんなの、観たかったのだ。

私がケロちゃんを見るようになってから、トップさんはまみさん→りかちゃん→わたるくん、と変わっていったけど、トップ娘役は間にえみくらちゃんがいただけで、ずっと檀ちゃんだった。とても幸せなことだった。

私は檀ちゃん大好き。美しいから。確かな存在感と色気があるから。歌やダンスが下手といわれるとそうかもしれないけど、全く気にならない。ダンスと歌が上手な娘役なら他にもいくらでもいる。でもあの檀ちゃんの存在感は唯一無二のものだ。誰も彼女とは替われない。歌劇団が檀ちゃんを星組娘役トップとして返り咲かせたのは英断だったと評価できる。

檀ちゃんがすごいのは、その存在感があっても、相手役を殺さないことだ。相手役の男ぶり、株を上げてしまうことだ。殺されてしまうくらいの男役なら、相手にもならないんだけど。

私の個人的意見だけど、えみくらちゃんは誰とでも合いそうなのに、りかちゃんとは合わなかったと思う。残念ながら、りかちゃんの魅力をアップすることができなかった。えみくらちゃんと組むと、りかちゃんのアダルトな部分はぼやけてしまった。えみくらちゃん自身、ショーで路線男役を率いて踊る場面などは難しいタイプだったろう。

りかちゃんと合わないということは、ケロちゃんとも合わないということだ。お兄さん、としてしか存在できないのだ。えみくらちゃんが中心の場面では、そういう色しか出せないのだ。

それでは、ショーでケロちゃんの色気あるシーンは見られない。事実、りかちゃん時代の月組のショーは記憶にすら残ってない。

前に、辞めるときのトップがわたるくんでよかったと書いたけど、トップ娘役は檀ちゃんでよかった、と心から思う。檀ちゃんがいなければ、こんな場面はなかったし、このショーそのものがなかったろうから。

ありがとう、檀ちゃん。
そして場面は進み、檀ちゃんに堕ちたわたるくんがセリ下がる。一歩遅れてセリ下がるとうこちゃんのすさまじい表情。渾身の顔つきだった。

場面一転、船上のシーン。

セレブのわたるくん、楽では何をしてくれるかな?とわくわく。ケロちゃんの待つ銀橋付け根までくると、胸に差していた赤いバラ一輪(檀ちゃんがみっこちゃんに渡したのと同じみたい)を取り、軽くキスしてケロちゃんに。喜びのあまり、その場に倒れる航海士。

船上で、いつもはまとぶんがモテモテ。最後くらいケロちゃんモテモテにならないかな?と思っていたのだけど、それは無理だった。がっくり。振り付け変わるからしょうがないか。でもいつもはイヤイヤ相手役をやっている(振り付けだけど)仙堂さんがニコニコして組んでくれていたのでまあよし。

         ☆

あああ、まだ続くのに字数が足りない!

月と星と東と西と

2004年11月10日 宝塚
昨日の続きをちょこっと。

・みっこちゃんが最初に話をした同期はケロちゃんだった。そして最後も一緒になるとは、と。
ケロちゃんは「私の方が先に(楽屋を)出なきゃ行けないのに、先にお風呂に入ったはずの私より、後に入ったみっこちゃんが先に上がってしまって焦った」と言っていた。
・とうこちゃんとは「ケロとはずっと一緒で、音楽学校のお掃除場所から、雪組行って一度別の組になって、また同じ組になって、と不思議な縁があった。音楽学校の前のバレエ教室も一緒だった」とずっと縁があったことを語り合っていた。とうこちゃんが「皆さん、その前の14歳のケロは知らないでしょ」と、自分がその姿を知ってることを得意そうに私たちに向かって言っていたのが可愛かった。「最初に会ったとき、こういう人が宝塚入るんだな、と思った」と。「顔が男役向きだから」という理由だったと思う。

えんでぃが何を言ったかどうにも思い出せない。MDを聞けばいいんだけど、なんだか聞きたくない気分。だから書いてる内容は正確じゃない。私が聞いて感じとったことだ。

ありあちゃんがケロちゃんに「早くこっちの世界(退団者)にいらっしゃ〜い」とふざけて言う。「もうすぐだから」というようなことをケロちゃんが言ったと思う。

決して寂しい雰囲気ではなかったのだが、ずきっ、ときた。寂しかった、私は。

行ってしまうんだ、あっちの世界に。あと1ヶ月と半分で。

         ☆

公演が終わって、のんびり立ち上がった私は、回りにいたはずのケロファンの姿がほとんどない事に気が付いた。

そうだ、出に行かないといけないんだ。ガードだ。

でも何時に出て来るかわからないから、トイレでも行っておかないと、とのろのろしていた。

途中、号泣してしまってよろよろしていた友人(緑野師匠ではありません)をピックアップ。私は相変わらず一滴の涙も出ていなかったけど。他の友人とも合流し、会の列の一番最後につく。

白い服の集団が並んでいて、一体どこがスタートかわからない。とりあえず、今の位置だと、楽屋出はまず見えない。そういうものだけど。

おしゃべりしながら、待つ。暑くもなく、寒くもない、とても気持ちのいい夕暮れだった。誕生日、お茶会と雨にたたられた汐美さんだったが、最後は神様がしぶしぶ許してくれたのかも。

緑野師匠から、カウンターでもらってきてくださったDSのチラシを受け取る。ありがとうございます。

会から掛け声のセリフの紙が配られる。

楽屋口の方を見ると、劇団の人や赤い警告棒を持ったガードマンが花の道からみている人や、劇場側にいるいろいろな会の人たちを整理していた。千秋楽の出を見るなんて、贔屓退団以外はしないから、普段はどうなっているのか知らないけど、スターさんが辞めるんだな、ケロちゃんはスターさんだったんだな、と思えて哀しくも嬉しかった。

事実、花の道にはずらりと人垣ができていて、電話ボックスよりもまだまだこちらまで人がいた。みんな、ケロちゃんの大劇場の最後の出を見にきてくれたのだ、と思ってもいいよね?

そのうちに、楽屋口のいつもはトップさん会がいる位置に全員で移動する。しゃがんで待つ。楽屋口の正面の一番いい位置には、一般のカメラを持った人たちが立っていて、私たちは全く見えなかった。

向かいの花の道にいる人たちが一斉にカメラや携帯を上げるので、誰かが出てきたのかな?と気配を察することができた。

そしてしばらくして・・・楽屋口に強いライトが当てられた。スカイステージの照明らしい。必死に身体をそらせて楽屋口を見ると、楽屋口横のドアが開いて、生徒さんらしき人たちが出てきていた。歓声が上がり「出てきたよ」と伝わって来る。

緑の袴の汐美さんが見えた。

舞台化粧を落とし、すっきりと髪も整え、美しく薄化粧したケロちゃんは、緑の袴がそれはよく似合っていた。あの可愛いアレンジの花を持っていた。

花の道と楽屋口の間、会の前を少し歩き、挨拶。ファンからの掛け声。投げキス。白い花で飾られた車がやってくる。乗り込むケロちゃん。いつもの出の時のように、長い腕を窓から出して振りながら、行ってしまった。

みっこちゃんの会に場所をあけ、スタッフさんからフェアウエルの受付時間を聞き、解散した。

後から知ったのだが、楽屋口に出てきたのは、月組バウメンバーだったそうだ。月組バウメンバー、つまりゆうひちゃんたちだ。

それを知った時、とても、嬉しかった。

今回、一緒にいたケロファンの友人たちは、かなり長いことファンをやってる人たちで、雪組時代のケロちゃんを知っている。主に関西の人たち。だから挨拶の後も「星組での歴史の短さを感じるね。東宝はまだあるけど大劇場の千秋楽で一区切りついたって感じ」と言っていた。

へぇ、そうなんだ。

私は・・・宝塚を見始めたのは「LUNA」からで、「ゼンダ」で汐美さんって人がいるって知って、東宝の「ソナタ」でまみさんの出
を待っていて偶然見た汐美さんの姿を見て舞台とのギャップに驚き、強く惹かれるようになった。頑張ってたくさん観るつもりだった「Practical Joke」にケロちゃんも出て欲しいなと思ったし、バウ初主演決定に喜び、「ESP」でまみさんを見送った。その後、汐美さんを追っかけてきた。

だから、私の中の汐美さんの歴史は、月組と星組でちょうど半分ずつ位。どちらの印象が強いかといわれたら、もちろん月組なんだけど、星組で幸せそうにしていた汐美さんの姿も印象深いのだ。

また、まみさんは舞台でファンになったので、入り出は全く興味がなかった。東宝は友人たちがまみさんの出を見るというので、一緒に凍えながら待っていた。その時、たまたま汐美さんの会の後ろにいたから、目の前で手紙を受け取り出した汐美さんを間近で見ることができ、ファンになったのだ。

東宝に行っていなければ、私は汐美さんのファンにはなってなかった。

だから東宝で出会った汐美さんの本当の最後は、東宝だという気がしている。

楽屋出を、仲の良かったゆうひちゃんたちが見送ってくれたというのも、嬉しかった。月と星に見守られて、大劇場を後にできたのだ。

汐美さんは幸せそうだった。私にはそう見えた。

白い会服を脱ぎ、私は友人たちと、パーティに向かって歩き始めた。

白い空間

2004年11月9日 宝塚
前の日記を読み返してみて、千秋楽とそれ以前の日記を書いていた時の気持ちが、全く違うことに気付く。千秋楽も公演のひとつに違いないのに、やはり全然違うものだったのだな。

哀しくないなんて嘘。自分が気がついていないだけ。千秋楽を乗り越えたのだという気分が勝っているだけ。これからじわじわ喪失感が襲って来る。最大の喪失感は、次の星組公演を観た時にやってくる。ああ、中日は観ない。そこまで私はマゾじゃない。観るとしたら大劇場公演。その1回目が最大限に辛いはず。2回目からはマシになる。かといって、その1回目は先延ばしにしたところで、やはり辛い。だからいつか覚悟して観なければならないだろうなと思う。

まみさんの時もそうだった。「大海賊」1回目が辛くて辛くて。でもあの時はケロちゃんがいたから、救われた。

今の私には誰もいない。

       ☆

思い出すのに時間がかからない、フェアウエルパーティから。

通常はフェアウエルパーティというのだけど、会場に行ってみると「Last Tea Party」とあった。会場内はテーブルがセッティングされ、まるでお茶会そのもの。「最後のお茶会だったのだな」と思う。

私の数少ない経験、つまり前のまみさんの時は、同じ会場に1200人が詰め込まれていて、テーブルはおろか椅子もなし!床に体育座りか正座していた。夏だったから段々空気が霞みだし、熱気と暑さでぼーっとしていた。

今回は、まみさんの時と同じ会場なのに、テーブルがゆとりをもって置かれていて、しん・・・と静まり返っていた。皆、まだ千秋楽の余韻にひたっているような雰囲気。FC会員限定(会員証の提示が必要で、焦って家捜しした!今まで会員証なんて使ったことなかったから)で、皆、白い服で統一していたから、会場全体が白く透明だった。

ご本人が来るまで、ビデオを観る。77期生が音楽学校に合格した時のニュース映像など。ケロちゃんが映るとみんなから歓声が上がる。

いやあ、若い。今の、本当にお美しい大人な汐美さんが、16年前はこうだったのか、と。可愛い可愛い。

花ちゃんやとうこちゃん、なるちゃん、コムちゃん、オサちゃんの顔も見える。つくづく、77期を採用した審査員たちの眼力はすごい。あの子たちが今ああなっているわけだから。

そうこうしているうちに本人が来られる。緑の袴にあのかご付きのお花を手に、テーブルの間を練り歩きながら、登場。舞台の上には椅子はなく、立ったまま乾杯。

ああ、かなり疲れてる。座らせてあげたい。

挨拶があって、その後、耳を疑うようなことが。なんと会場に来ている全員とそれぞれ2ショット写真を撮ってくださるというのだ。あのお花も重いだろう、身体をやや会員の方に傾けているのも辛いだろう、にっこり笑顔を続けるのもしんどくないだろうか・・・。ずっと見ていられる側としては幸せだけど。

途中中断し、お話があったりしているうちに、お客様が。お茶会がゲスト禁止になってから、こうやって会場でゲストを迎えることなど久々で、嬉しい。

とうこちゃん、えんでぃ、袴姿のみっこちゃん、星組の下級生二人(ちび武蔵、ちび小次郎かな?)、退団したありあちゃんとあと退団済みの同期生2人。

楽しい会話のあと、みっこちゃんのパーティに顔を出されるということで一旦退場。

またビデオ上映。

帰って来られて再び写真撮影。

終わった頃にはもう時間も残りわずか。質問コーナーも予定されていたようだったが、時間切れで、汐美さんからのお話があって、最後に出の時の掛け声ももう一度かけて、そしてまたテーブルの間を練り歩きながら、テーブルにできるだけ近付き、優しい視線を投げながら退場された。

お話の内容を覚えている限りで。順序も滅茶苦茶だけど。

・入りの時に被っていた冠(?カチューシャ?)はきんさんが作ってくださったもの。みっこちゃんのは宰相の髭のイメージ、私のはケロ(カエル)のイメージ。背中にしょってたのは、とうこちゃんとえんでぃが作ってくれたもの。時間がない中、指に針を刺しながら作ってくれた。
・入りに来た時、白い服の人がずらーっといてびっくり。こんなにも集まってくれているのかと驚いた。
・ディナーショーはかなりいい。荻田くんが泣かせてくれる。私のために曲を作ってくれたのだけど、音を取りながら歌詞を覚えないといけないのだけど、その度に泣いてしまって覚えられない。まだ振りも全部ついていなくて、出来上がるのだろうか、と心配。明日からはしっかりお稽古します。
・舞踊会の時、緑の袴を着て踊ったのだけど、次これを着るのは千秋楽なのだなぁと感慨深かった。フィナーレでながさんとちょっとからんだが、その時既にながさんも目に一杯涙をためてらして、あとで「反則ですよ」と言った。ゆうひはゆうひで感動した顔していたし(あれってゆうひちゃん、感動していた顔なんだ・・・)。
・今日は自分が自分でないようで、最後の階段降りの時も、名前を呼ばれて返事をするまでは自分だったのに、降り始めると自分じゃないような、でも降りてるのは自分なんだと。
・挨拶が考えられなくて、今日もちょっとでも時間があれば暗いところへ行って「挨拶考えてくるわ」と考えていた。でもお芝居のアドリブの方が気になって、なかなか考えられなかった。最初に「ありがとうございました」と言いたかった。

・今日、やろうと決めていたことがあって、白い衣装で最後に歌う場面で、とうこをしっかり見ようと思って見た。どうだった?(ととこうちゃんに聞いたのだが「私は舞台上ではまだディアボロなの!悪魔なの!銀橋に出てとうこになるから、舞台上では悪魔は反応できない」みたいなことを言われて苦笑していた。また外したのね、汐美さん)
・船上の場面、最後踊り終わった後、皆が拍手してくれてびっくりして感動して、あの後、袖で号泣していた。このまま次のシーンで歌わなきゃいけないのに、舞台に出られるのだろうかと思った。

とうこちゃんからは「今日は私はボロボロでしたね。私は退団を電話で聞いたのは宙組で東京公演に出ていた時で、みっこの退団は前から聞いていて、私が星帰るまで待っててね、と言っていたのに、突然ケロも退団で。電話で聞かされて1時間位“なんでよー、辞めるのやめてよ”とボロボロだった。私が見送ってもらうつもりだったのに」と。そうか、引き止めてくれたのか、とうこちゃん。でも止まらなかったんだね。
「(家が)近いんだから(大劇場に)また来るように」と言ったとうこちゃん、一応すみれコード(?)なので、口をふさいでました。そんなん、皆知ってるって(笑)。

ありあちゃんはご結婚されたそうで、今は幸せに暮らしておられる様子。「同期なのにあまり舞台上でからまなくて、絡んだのがやっと長春で、でもかなり無視されました」。ジャンに絡む看護婦さんね。

えんでぃやみっこちゃんが何言ってたか、はっきりとは思い出せない。記憶に頼るのはこの辺が限界か・・・。あ、みっこちゃんは「4人の中で、中卒は私とケロで、でも私たちの方が年上に見られることが多くて。退団の報告とか行くと、私たちが年下と訂正すると、退団することを叱られたりしました」だったかな。

ああ、もう記憶も限界だけど、字数も限界。

へとへと

2004年11月8日 宝塚
何から書けばいいかよくわからん。

あ、そうだ。まず、息子よありがとう。この数日、いや退団発表があってから、大劇場を初めとして、外出したい日、場所をピックアップしていった。わずか1歳6ヶ月の子を持ちながらのお見送りになるのだから、優先順位をつけていかねばならないと心に決めていた。行けなくても、諦めなければならない日が出て来るはずだ。だが一番行きたいと思っていたのが、この11月8日だった。

お願い、熱だけは出さないで、と祈るような気持ちだった。朝、熱を計って大丈夫だったがくしゃみとともに盛大に鼻水が出て焦った。もしかして昼間熱が出るんじゃないか、保育園からお呼出がかかるんじゃないか。

入りをしていても、千秋楽の開演を待っていても、終演後、出のガードに入っていても、パーティに向かって歩いていても。

それが私の気持ちを追い立てていた。

だが、一日、無事に過ごせた。ありがとう。帰るとぐっすり眠っていた。

そして、私は何を書けばいいんだろう。

入りにも行った、千秋楽は5列目から見ていた。出にも行った。フェアウエルパーティにも行った。

気持ちもいっぱいであふれんばかりだ。身体も疲れてなんだかよろよろする。

哀しい、ということは不思議とない。千秋楽の日に無事に行けたという満足感があり、そして汐美さんが幸せそうにしていたのが、嬉しかったから。

なんだか、ショーではいつも以上に晴れやかな笑顔で劇場中を見回していた。そこではまだ役に入ってなければならないだろう!?という場面でもうにこにこ笑っていた。

緑の袴で階段を降りてきたが・・・、挨拶も思ったことをそのままいっていて、好きな役だのは全く触れておらず、オトコ顔の舞台化粧に緑の袴がさっぱり似合っておらず、お花はこれまたレースと花かご付きの可愛いアレンジで(正直、研10までの娘役が持つようなデザイン)、せっかくみんな泣いてるのに、挨拶の締めはディナーショーの宣伝で。

まったくもう、どうも外してばかりの汐美さんが、逆に愛しくて。

パーティでは、ずっと立ったまま。本人も相当疲れていることがわかるのに、参加者全員とツーショット写真を撮ってくれて、ゲストに来てくれた星組同期、退団同期、下級生たちとも立ったままお話し、みっこちゃんのパーティにも顔を出し、私たちに語りかけてくれて。

私の望みは「汐美さんが幸せでいること」だけ。

私自身がどうしたいっていうのは、実はない。

だから、汐美さんが全ての瞬間、幸せであったろうな、と思える今日一日だったから、私は哀しくはない。

よかった。

ただそれだけ。

明日以降、少しずつ、今日のできごとを書ければいいなと思っている。
汐美さんのディナーショーのポスターは、現在、宝塚ホテルに行けば手に入ります。「ソラレス」でランチかディナーを、「ビアケラー」でディナーをすれば、もらえます。「花舞う長安」ポスターがよい人はそちらを選ぶこともできます。

・・・まだまだ大丈夫、在庫あります。楽にムラ入りされる方、もらいに行けば間に合うでしょう。

DSのポスターを最初に目にしたのは、チケットカウンター。宝塚ホテルのHPで見たチラシのデザインとは全然違うものだった。最初はHPで見たので「これが最後のポスター?オギー、タイトルだけで私たちを泣かせたのに、デザインはこれ?」とちょっとがっかりしていた。緑野師匠は「オギーは平面デザインはダメな人です」と教えてくださった。

ぜひ欲しい!ポスターの方が恰好いい!

でもDSのポスターってキャトルでは売ってないよね?どうすれば手に入るのだろうか。友人と真面目にチケットカウンターに貼ってあるポスターをかっぱらって逃げる相談までしていた。

数日後、宝塚ホテルにDSのチケットを引き取りに行き、そこで皆で携帯やデジカメでポスターの写真を撮った。さすがに宝塚ホテルは、チケットカウンターのように四隅を押しピンで止めるというようなことはしてなくて、ポスター掲示用のケースに入れていた。これではかっぱらいようがない。

さらに数日後、ダメでもともとと、宝塚ホテルに電話してみた。電話は企画に回された。「汐美さんのDSのポスターが欲しいんですけど」「はい、何枚ですか?」え?何枚でももらえるの!?「何枚いただけるんですか?」「・・・一般の方ですか?」どうも関係者と思われたらしい。つーことは一般人で電話したの、私が初めて?
「ポスター配布の予定はありません」「館内に貼られている分、DS終了後廃棄されますよね?それでもいいんですけど」「こちらの部署では貼ったり剥がしたりしません」「じゃあ、誰に聞けばいいですか?」そこは客商売、うざい問い合わせでもむげにはできないらしい。しばらく背後の人と相談している雰囲気。「DS終演後、会場でクッキーと一緒に販売します」え?売るものなの?「何枚位あるんですか?」「100枚程度です」とりあえず、販売されるということが聞けたので、受話器を置いてしまった。

友人たちに話をすると「終演後奪い合いじゃないか」と悲嘆の声が上がった。私も終演後、ダッシュしなければ!と決意を固めていた。

友人たちの何人かは、「私も電話してみる」と言ってくれた。なんせ、一回目の電話で粘りに粘った私は、ほとぼりがさめるまで電話できないわーと思っていたし。

そして数日後、友人の一人が教えてくれた。レストランで食事をするともらえる方式に変わったらしい、と聞き出してくれた。電話してくれた友人たちにその情報も流す。やはり情報は行動してくれた人と共有したかったし。

その一人が緑野師匠。師匠もDSチケットを取りに行った時、根掘り葉掘り、ポスターはいつからどこで売るのか、と直接聞こうとしてくださった。でもその時は未定と言われていたそうだ。

ところが!同じ日の夜になって緑野師匠から緊急連絡が!なんと、宿泊されていたお友達が、エレベーターの中で「ナントカレストランで食事をした人に汐美DSポスタープレゼント」と貼ってあったと連絡をくださったというのだ!

詳細はわからないが、翌日、すぐ行こうか?という話になった。いやまて、いつからか確認してからの方がいい、と私は息子に風呂上がりのミルクを片手で飲ませつつ、宝ホに電話をかけた。まずは代表番号で問い合わせた。そういう企画はレストラン「ソラレス」で11月1日からあるものの、詳細はレストランしかわからないということで内線で回してもらう。しかし、レストランが出ない。「また明日お電話ください」と。

会社勤めをしたことがある人はおわかりだろうが、電話は社内よりも社外優先。宝ホのHPでソラレスの電話番号を調べ、直接電話。すぐ出てもらえた。だが、出てくれた人(おにーちゃん)では詳細不明ということで、翌日、詳しいことが分かる人に電話をもらうことにする。

狙いは、11月1日ではなく、すぐ翌日行くから先に譲ってもらえないか、ということだった。その前に汐美茶もあるし、月曜日まで待っていたらなくなるのではないか、できれば土日なら行きやすいし入手したい、と思っていた。

物事は交渉だ!友人の一人は東京から来る。月曜日までいられそうだったが、私が月曜日に行くのは難しいし。その次の週も楽で会社休むんだから、と宙バウ諦めたのに。

翌日、ちゃんと約束の9時過ぎには、お電話いただけた。だが、やはり11月1日からしかダメということで、それならばとランチを予約した。何度も「ポスターごと予約お願いします」と念押しした。11月1日、タニのためには休めなくても、ポスターのためには遅刻できるのか、私。

舞踊会観劇の後、実際どんな風に告知されているのかを確認しに、緑野師匠とkineさんと宝ホへ。「ソラレス」には入り口に汐美DSポスターが貼ってあって、その下に白い紙でワープロ打ちされたプレゼント告知がついていた。

予約を受け付けてくれた担当の人(こういう場合は名前を聞いておくことが大切)に挨拶をしつつ念押しし、感謝の意味も込めてお食事。

翌日も汐美茶で宝ホへ。汐美ファンが大勢押し掛けているのに、あまりDSポスターの話題になっていなかったのは、あの告知の紙がしょぼすぎたせい?

そしていよいよ、月曜日、入りをし、宙バウをさばき、緑野師匠と鼻息荒く宝ホへ。途中、福岡から来ていた友人を見かけたので「ポスターもらえるよ」と教える。とても喜んでもらえた。友人も合流。彼女は入りの後、ポスターを東京まで持って帰るための筒を入手してきていた。ポスターは2100円のランチにつくということでそれをいただく。

私はランチ終了後、先に失礼したがその時、支払いを済ませ、3人で念願の・・・念願のポスターを手にすることができた。感動、だった。素直に嬉しかった。

罪な人だよ、汐美さん。

その後も、緑野師匠は2度目のランチにいらしたし(本当はもうひとつのビアケラーでランチしたかったのだが、こっちはランチはダメということで予約をソラレスに振り変えられてしまった)、東京の友人のために、こちらの別な友人にランチに行ってもらったり、情報を流した友人が余分に手に入れてきてくれたり・・・といろいろあった。

いつポスターが品切れになるかと思っていたが、案外沢山あったようで、まだ今日もソラレスでも手に入ったようだった。

あんなに焦ってキリキリしていた私たちは何者?と緑野師匠や友人と笑い合っている。でも後悔はしていないね、と、また笑っている。

だってとっても素敵なんだもの。

これだけ頑張った甲斐、あったもの。会社遅刻して行ったけど、その後仕事が滅茶苦茶に忙しくなって、とても行けなくなったから、行ってよかったと思ったもの。ちび連れではレストラン、行けないもの。あの日のランチでのおしゃべり、楽しかったもの。

それに・・・汐美さんのためにここまでハラハラドキドキしながら動けるって、もしかしてもうないかもしれない。

いい思い出になった。楽しかった。熱くなって一緒に動いてくださった緑野師匠と友人にも深く感謝している。

カウンター

2004年11月4日 宝塚
緑野師匠のところの100000を狙っていたのに、気付いたら過ぎていた。残念。

祝!10万ヒット!1日に1000位で、10日で1万、100日で10万、1000日で100万だから、3年以内にはカウンターをもう一桁増やしてもらいましょうね!

でもって・・・緑野師匠のところから来ていただいていると思うのですが、私の日記のカウンターも仰天する位回っているようで、びっくりしております。

緑野師匠と自分位しか読んでいないと思って、のん気に息子の話やら猫の話やら、のんびり書いていたんです。

検索ワードはほとんどが「汐美真帆」ですね。私がこの4字を書いてからは。たまに他の生徒さんの名前もあるけど、そういう方はがっかりでしょう。ホントに私、汐美さんしか眼に入ってないから。今は特に。すみません。

今、カウンターが回るのは、多分、汐美さんの情報を求めて来ておられるのではないかと思っています。せっかく毎日来ていただいているし、汐美さんのことは今しか書けないし・・・書けるだけ書こうと思います。

でももうすぐ楽、そしてDSでこちらでの活動は終わり、です。ご実家がこちらなので、汐美さんはまたこちらに戻ってこられるでしょうが、その後どうされるのか。

お茶会で「今後のことは決まっていません。決まったら皆さんには必ずお知らせしますから」と言ってました。

家事手伝いになりました、なんて報告するわけなし、決まるような何か、があるのか?と一瞬期待したのですが、「思いつきで言う人だからねぇ」とディープなケロファン友達からの忠告もあり、あまり期待しないようにしようと思っています。

今日は「週刊女性」を買ってきました。ジェンヌさんが隔週でカラーページに出て来るんですが、これも退団が決まってやっと出してもらえたって感じで涙。

内容は退団に当たって、今の公演でどう演じているか。陳玄礼は玄宗のことを愛していて、人柄に惹かれて、すべてを受け入れていた、などとありました。
・・・そんなこと考えて酒井先生が脚本書いていたとはとても思えず。ケロちゃんの中では、玄宗には「わたるさん」とルビが打ってあるに違いありません。
それだけ愛するトップさんの下で卒業できるってことは幸せだと思います。

今は感慨にふけっている余裕はなく、心にためておいて退団してからゆっくり思い出す・・・というようなことも書かれています。そうでしょうなぁ。公演始まってから一日たりとお休みないってお茶会で言ってたし。ま、退団するスターはそんなもんかな。

私も全く余裕がなく、今日になって急に「汐美さんを大劇場で観られるのはあと1回なんだ」という実感が湧いてきて、めそめそしてしまいました。とにかく、観劇ごとに「息子が発熱して行けなくなるのではないか」という恐れと戦って観てきて、大劇場に行くことで精一杯で(プラス、チケット取り、ポスター入手)、感じる余裕がなかったような気がします。

もし、東京でこの公演を御覧になられる方が読んでおられたら、できるだけたくさん御覧くださいね。お芝居は緑野師匠方式で、時間を確かめて睡眠を確保する時間に当てましょう。なに、私も寝てましたよ。数回観れば「ここからここまでは眠れる」と身体が覚えてくれますから。

ショーはその分、眼を休める暇もありませんから。

週刊女性にはケロちゃんが元気の源と常々言ってる「朝食」の写真が載っています。「梅干しご飯/みそ汁/ゴーヤ/とうふ/なっとう/おろしちりめん/おみず/ぶどう」とあります。朝から豪華。きっと自分で作ってるんでしょうね。お母さまが作られたらこのようにはならないような気が。

週刊女性は目次がみつけにくいので、どこに掲載されているかわかりにくいと思います。立ち読みされる方、裏表紙をめくってもう一枚カラーページをめくるとそこです。

写真は大きな黒エンビと陳玄礼さまです。

釣られた魚

2004年11月3日 宝塚
あれほど舞台では愛があふれまくっている汐美さんだが、それは舞台の端と客席との間には、明確な線引きがある(んだそうですよ、緑野師匠)。

「全然こっち見てくれない」「総見の時ですら、見当違いの方向見ていた」「前方席に座っていても無視された」エトセトラ。友人たちから何度も聞いた。
さらに「ぼーっとしていて反応がない」「スターオーラ脱ぎ捨てて、普通人になってる(ムラ限定)」「夜遅くまで待っていても冷たい」エトセトラ。主に入り出の時の話。

しかしなー、これらのこと、主語を私の前のご贔屓に置き換えてもほぼ同じようなことを友人から聞かされていた。

さらに私の狭い交友範囲から聞く話でも、他のジェンヌさんも似たり寄ったり(水くんはとっても愛想がいいと聞いたが)。ネットでいい人だとか愛想がいいとか評判のあの人もこの人も、熱烈なファンの間では「釣った魚にエサをやらない」人だといわれている。

だから、これって、ジェンヌさんの間でノウハウとして共有化されてるんじゃないかと思う。視線を上げて釣り上げるエネルギーは、新しいファン開拓に使うべし。釣堀の中のエサは最小限に。
たまーにエサやりするからこそ、釣堀の中のお魚たちは、ますます喜んで次のエサを期待して深みにはまっていく、と。ま、あまりにエサが少なくて、次の釣堀に飛んでいく人もいるけど。

今日、11時公演を観てきた。大劇場での観劇はこのあと楽のみ。そりゃもっと観たいけど、息子に次の週末無理させて、楽に熱でも出された泣くに泣けないからじっと我慢。前楽のラスト総見は盛り上がるだろうなぁ。ああ、行きたい。

11時公演で私が手に入れたお席の中では一番前、スペシャルなお席だった。下手前方席。わたるくんのお衣装の布の豪華さまではっきりわかる席だった。

普段、こんないいお席を手に入れたら、汐美さんちょっとごめんなさい、せっかくですから目の前に来た人を見せていただきます、になるんだけど(といっても滅多に手に入れられないけど)、今回はそうは言っていられない。

とうこちゃんがオケボックスから登場しポーズを決めようとも、わたるくんが目の前走っても、「邪魔なのー!汐美さんが見えないのー!」と思ってしまった。ごめん。

汐美さんが花道に走りこむ最後まで首をぐるっと回しておっかけた。他の人はみんな目の前の人見てるのに。一人だけ妙な方向向いていたような。

で、そんな前で、ひたすら、ひたすら汐美さんを見ていたのに、やっぱり一切、こちらは見てくれませんでした。

所詮私も、釣られた魚よ。

舞台上から客席に座っている人の顔は案外見えるそうだ。2階席も見えると聞いたことがある。実際、今日よりもう少し後ろになるけどある生徒席を頂いたときは、その方にしっかり見ていただいた。ありがとうございます。

今回はもちろん生徒席じゃないけど、○列目よ、私が汐美さんご自身しか見てないの、わかるはず。私の顔だってなんとなく見覚えがあるはず(だってー、ガードに入っていたとき、一番端、隣の会との境目にいた私までお手紙ちょうだい、とちゃんと手を伸ばしてきたし、宙組観劇で客席遭遇したとき、通路の一番遠いところ通って避けたじゃないー)。

ま、いいわよ。ちょっとしか期待してなかったから。でも私はひたすら汐美さんだけを見ているわ。

・・・・なのに、私はひたすら汐美さんだけを見ていたのに、私の方を見ていた人がいる!パレードのとき、汐美さんの左にいたすずみん!何勘違いしてるんですか!?

今回、下手だったので、普段は全く見る余裕のないサテリコンの時のしぃちゃんの姿が目に入ってきた。サテュロスJrのみらんちゃんに操られるところ。みらんちゃんがしぃちゃんの頬に手を当て、誘惑しているではないか!?

・・・・良かったよ!あんなことすずみんにされなくて!退団公演で、すずみんに誘惑されたりしたら、それで堕ちたりしていたら、悔しくて寝られなかったわ!

すずみん、なぁ。スターだと思ってるよね、自分のこと。

お芝居では一応スタークラスとして出てくるけど、赤いお衣装も汐美さんやしぃちゃん、まとぶんとはランク分けされていて違うものを着ている。
なのに、プロローグが済んでからは、一人長いマントをつけてるのよ?しかも常にそのマントをつかんでひるがえして歩いている。
「王家」フィナーレの時もそうだった。黄色い5人衆の中で、一人だけ衣装の裾をひるがえしていた。
サテュロス’sで踊るときも、一人衣装をひるがえしている。

いつぞやのワークショップのときも、同じ演目の他の組はプロローグがないのに、星組にはプロローグやエンディングのショーみたいなのが付いていて、お揃いの衣装を着ていた。主演のお衣装も一人豪華だったりした。ワークショップなのにー、若手お勉強の場なのにー。スター仕様に作り変えてもらってたよ。

財力があるっていいなぁ。

いや、すずみん、評価はしているよ。「プラハ」の新公よかったもん。タータンが青年外交官という無理のある設定の役をしていたせいかもしれないけど。

でもなー、だからといって、私はあんたを見ているわけじゃない!汐美さんです、見ているのは汐美さんだけです!こっちをちっとも見てくれないけど、私が好きなのは汐美さんです!

なのにこっちを見てにこにこしないでよー!違うんだったらー!私はあんたに釣られた覚えはないわーい!!!!!(絶叫)。

「真」

2004年11月2日 宝塚
まずは私信。

緑野師匠、私のリクエストに答えてくださってありがとうございました。

緑野師匠、最初から最後まで泣いておられました。「握手も行きたくない」とおっしゃるのをひきずって行ったのは私です。
お茶も飲まず、ケーキも食べず、ただ、背もたれに乗せた手に顔を埋めて、泣いておられました。なんて感受性の強い方なんだろう、と感動してました。あれだけの日記を毎日書かれる方なんですもの、ね。

緑野師匠が泣いておられる横で、友人と「あの退団理由、嘘だよねー」なんてくっちゃべりながら、ケーキを平らげていたのは・・・私です。だってだって!あれが私の晩ご飯だったんだもの!何かお腹に入れておかないと保たないと思ったんです。

デリカシーのない、涙腺カチカチ女で申し訳ないっす。

          ☆

スカイステージで、汐美さんのディナーショーへのインタビューがあったそうだ。

そこで、タイトルの「Good fellow」がグッドケロ、グッドフェロとかけてある、という話が出たそうだ。

フェロ、はフェロモンの略。

宝塚を代表するフェロモン男役の汐美真帆に、真琴つばさがつけたあだ名だ。月組時代に出た「月組本」内で、シューマッハ4人を真琴つばさがメイクから撮影までするというコンセプトの企画があって(実はあれはヤラセです、と後日きっぱり言い切った真琴氏だったが)その撮影写真につけられていた会話コメントの中で初めて出てきたのだと思う。

どうも本人も気に入っていたみたいで、「歌劇」の座談会で「フェロと呼んでください」などと言っていたこともあった。

そりゃそうだろう。仮にも宝塚の男役、フェロモン出してナンボじゃないか。その称号を目指している男役はたくさんいるはず。

それに、大好きだった真琴つばささんからつけられた名前だもの。

私が好きなジェンヌさんは「真琴つばさ」と「汐美真帆」この二人しかいない。他にもちょっといいな、と思えるジェンヌさんは幾人もいたのだけど、なぜだか、ここまでハマる人は他には出て来ない。

この二人の共通点はなんだろう、と考えたことがある。

尖った顎?メイク上手なところ?いや、そんなささいなことではない。

なんとなく、だけど、虚無感というか空しさというか、何かを求めているのに、手に入らない諦めみたいなものを抱えているように見えるからじゃないか、と自分なりに思っている。

汐美さんはまだしも、トップを極めた真琴さんにそれはないだろう、と思うこともあるが、なぜか、まみさんも、彼女が本当に求めていたものは、結局手に入らないままでいる人のような気がするのだ。

でも二人とも、前へ向かって少しずつ進んでいる。哀しさを抱えながら進んでいる。その強さが好きで、可哀相で、愛しいんじゃないかな、と思う。

もうひとつの共通点、舞台に対して、ひいては観客やファンに対しての真摯な想いをもっている人だと思う。

「真」。

二人の名前に共通する文字だ。

人に対して、真のある二人だと思うのだ。

今回のショーでとうこちゃんが青い上下のスーツを着て出て来るシーンがある。あの白いスーツでケロちゃんと手を握り合う時にも着ているあのちょっと変わったラインのスーツ。

あれ、まみさんのサヨナラ公演のショー「ESP」のお衣装だ。スパンコールはつけかえてあるし、色はまみさんは黄色を着ていたからそのものではない。ケロちゃんは水色だった。あのブルーは幸ちゃんが着ていたように思う。

でも、あのラインの服はとても印象深い。中詰めでスタークラスはあのデザインのスーツを着ていた。まみさんは中詰め後、ひとり銀橋に残ってしみじみと歌っていた。

だから、初日、あの衣装を見た時、どきっとする位嬉しかった。

まみさんが見送ってくれている、そう思えたから。

DSでもタイトルで、まみさんが見送っていてくれる。

汐美さんはまみさんが大好きなはずだから、本人も喜んでいると思いたい。

オギーのせいだ

2004年11月1日 宝塚
汐美さんがお茶会で言っていた。

荻田先生の作品だから辞めてもいいかと思った、と。

やっぱり!退団発表があったとき「オギーだからだよ!」と何人の人と言い合ったか。

荻田先生とは廊下とかで会う度に、一緒に仕事しましょうよ、と言い合っておしゃべりしていた、と。

だから今回、巡り合わせを感じたから辞めてもいいと思った、と。

そういう因縁は知らないけど、オギーのショーなら辞めてもいいと生徒に思わせられる何かがあるんじゃないかと思う。自分を生かしてくれると思えるのではないだろうか。前回の「バビロン」の時にも星組から退団者が大量に出ていた。退団する彼女たちを見送る、素敵な場面とサヨナラショーをオギーは演出してくれた。

その最たるものが、かよこさんの白い鳩とさよならショーでとうこちゃんが歌うブルースレクイエムだったと思う。

汐美さんの狙い通り(かどうか知らないけど)、オギーは大劇場のショーを汐美真帆ミニサヨナラショーのごとく作り替えてくれた。そしてディナーショーもオギーの演出になった。

そして思う。

今回のショーがオギー演出でなければ、と。

汐美さんはもしかして、退団を思いとどまってくれたのではないか、と。

でも思う。

きっと誰のショーでも退団していたな、と。オギーのことを挙げたのはひとつの言い訳。彼女の作ったシナリオの一つ。そして別の誰かのショーでも「○○先生だから」と言ってにっこり、するだろう。

嘘つきだから。

どうせだまされるなら、オギーで良かった。オギーなら私たちも許せる。オギーで幸せだったと言える。心から。

だから荻田先生。ディナーショー、よろしくお願いします。私たちをうんと泣かせてください。心残りなく、涙を流させて下さい。あなたのせいで汐美真帆は宝塚を退団するのですから。

そして本人も泣かせちゃってください。私たちに「泣かないと心の中にたまります」なんてお茶会で言っていたくせに、自分は「今日は泣かないぞとマスカラ塗ってきたのに」なんていうにくたらしいことを言う汐美さんも泣かせてください。

泣き虫だからすぐ泣きます。

お互い、涙、涙で、タカラジェンヌ・汐美真帆とお別れしましょう。それがふさわしい気がします。

・・・・・・・・・

といっても、私、多分泣きません。泣けません。ゆうひちゃん並みに涙腺ひからびてますから。宝塚見て泣いたことも無いし、前のご贔屓さんの退団の時も一切泣きませんでした。平気で数年涙を流さない人です。

そんな私もオギーなら泣かせてくれるような気が、ちょっとだけします。

許せなかった

2004年10月30日 宝塚
ムラケロ茶。ラスト。

ここ最近のお茶会はさすがに行けてなかったのだが、今回ばかりは参加。

いいお茶会だった。

私は実はお茶会は汐美さんのしか行ったことがない。他のお茶会を知らないので、比較というものができない。
また、私は汐美さんのファンになったきっかけがオフの姿だった。出の時お手紙を受け取る姿と、舞台とのギャップに仰天してファンになった(ちなみに真琴さんは舞台が先)。

だから、汐美さんのお茶会での姿というのは、私にとっては当たり前の姿だった。

その汐美さんが退団理由などを自分の口から語る。

今までインタビューなどで言ってきたのと同じだけど。多分同じことしか言わないと思っていたけど。

でもね。

許せるようになった。退団することを。今日で。

今まで私が退団することに納得できない、文句言いたいとぎゃあぎゃあ言っていたのは、それは、私たちがどれだけこの人の退団を惜しく思っているのか、それがわかっているのか!?という伝わらないことへの不満だったのだ。

わかっていたんだな、と思った。

口に出したわけではないけど「ファンの人たちが惜しんでくださっているのはよくわかる」と私は思わせてもらうことができた。

歌を歌いながら会場を回り、質問に答え、ゲームをし、プレゼントを渡し、握手に応える。その合間合間にファンに語りかける。そのひとつひとつがそう言っているように私には思えた。

だから、許せるようになった。

それがわかっていて、退団するんだ、ということなら。私たちの気持ちがわかっているなら。

私は不真面目半幽霊会員なので、お席は端っこの方だったけど、最後にすごいプレゼントがあった。会場の隅に置かれたピアノの生演奏で、汐美さんが歌ってくれた。その目の前にいられたのだ。
歌う姿ももちろんだけど、目を閉じてピアノに聞き入る汐美さんの表情をずっと見ていた。

美しく、感情が浮かび上がる顔だった。素敵だった。

お茶会は押しに押し、終わったのは10時近く。こりゃあ、フェアウエルやディナーショーの時、どうするか対策を練らないと。
ディナーショーは3回とも内容が少し違う部分があるようなことを言っていた。えーっ・・・そりゃ、3回とも行きたいけどさ。

あ、許せるようになったとはいえ、納得はしてませんから。汐美さんの退団。まったく・・・もったいないおばけが出るわよ。

宝塚舞踊会

2004年10月29日 宝塚
ねむー。

でも今日、とりあえず書いておかないと、明日は明日でネタがあると思うから、そうなるともう書かないかもしれないので、覚え書き程度で。

初めて行った宝塚舞踊会。

汐美さんが出なければ、退団でなければ、行かなかったかもしれない。

演目程度しかわからず、何に出るのか、誰と出るのかも事前にはわからなかった。ゆうひくんと一緒に踊るってことは知っていたけど。

大劇場の改札で、プログラム(ぺらぺらの)をもらえるとおもったら、プログラムは有料!800円もする(泣)。しかも分厚くて中身が薄い。つまり協賛広告ばっかりなのだ!

慌ててめくって何に出るか確認すると、1部(全体は3部構成)の2番目の演目にゆうひくんと二人で出るとある。それ以外はもしかして3部最後のフィナーレのみ?

紹介文が「近頃進境著しい大空祐飛と先日退団を発表した汐美真帆」とあって哀しくなる。

最初の演目と次、つまり二人の演目の時は客席灯が消えなかった。こういうものなの?

二人は真っ白、白塗りのお化粧で、若衆(?)の恰好。帯の色が違うだけでお衣装はお揃いだった。汐美さんは帯は緑色だった。ゆうひくんは忘れた。

・・・顔が疲れていた。えーん。もっと白塗りのお化粧、上手だったはずなのにー。

踊りはよくわからなかった。日舞、知らないから。でも二人でい息を合わせて踊っているのはよくわかった。いつもこうやって二人で踊っていたよな、と思うと切なくなった。もうこれが最後だなんて。

その後1部は専科さんの演目が続き、気が遠くなっていきそうだった。

15分の休憩の後、2部。こちらは若手生徒達の演目が続く。和モノショーのようでなかなか楽しい。皆、緊張しながら一所懸命やっているのがわかる。少ない時は2人程度しか舞台にいないのだ。普段の大劇場の舞台ではこの年代の生徒ではありえないもの。これはやりがいがあるだろうな。

若手以外にも、組長クラスや専科さんも出て来る。鈴鹿照さんの鬼着ぐるみもびっくりしたが、ゆずちょうさんが男役でしかもちょびひげ付きだったのはびっくりした。

25分の休憩があって3部。一番最初はわたるくん。もうオトコマエ!さすがトップさん、専科さんたちの貫禄とはまた違う、さすがにトップ張ってるだけある見栄の切り方、存在感だった。踊りも上手かったと思う。

しかし、何にびっくりしたかってーと、着物の裾をからげた時に見える赤い○○○○だ。私は1階のA席で観ていたのだけど、もっと前で緑野師匠が御覧になっていて、きっとしっかり日記に書いてくださると思うから、私はパス!
脚は筋肉質で細く、腕も細い。腕には入れ墨の模様まで入っていた。とても女性には見えなかった。

さらに専科さんの演目があって、フィナーレ。3部に出ていた人以外は、緑の袴に着替えて、「清く正しく美しく」の音楽に合わせて歌う。あのカゲソロは誰だったんだろう?

汐美さんはやっぱりゆうひくんと一緒に登場。もうにっこにこ。ゆうひくんは相変わらずかすかに微笑むだけでクール。べそべそ。最後に一緒に舞台に立てて良かった。

全員が舞台に出て、正座し、一礼。客席の左、右、正面と視線をきちっきちっと投げていたのが印象的。そして、心からほっとした様子の汐美さんの表情を観ながら、幕が降りた。

うん、なかなか面白かった。いい舞台だったと思う。

帰りは緑野師匠とkineさんとご一緒させていただく。やはり話題はわたるくんの○○○○。汐美大空ラスト共演舞台の話はどこへ?

2階席では、音楽学校の本科生、予科生がずらっと並んで観ていたようだ。帰り道、予科生の一人がギブスをし、松葉づえをついて歩いているのを見た。
きっと、あれだ。運動会の時、お手伝いをしていた背の高い予科生が一人、転んだのだ。ものすごく痛そうで、立ち上がれず周りに支えてもらいながらトラックから下がって行った。きっとあの子だと思う。やはりかなりひどい怪我だったのだな。でも制服を着て、松葉づえをつきながら歩いていたから、少しずつ回復しているのだと思いたい。

舞踊会の前に少しだけ時間があったので、プチミュージアムへ行った。

汐美関連は、前の絢爛の時にフィナーレで来ていたぴらぴら付きの白い衣装が展示してあった。お稽古風景のビデオにもちょこちょこ写っていた。
そして9月2日の集合日に撮った、星組集合写真が2パターン。この日、退団発表があった。確かに服はあの時着ていた服だった。
汐美さんは同期4人と手を握ったり顔を寄せ合ったりして写っていた。普通は左右に分かれるであろう同期が、みんな集まっていた。

もうこうやって、集合日に学年順に並んで写真を撮ることもないんだな。

今回の公演の展示があるのは、次の星組公演の時。私は次の星組公演、観に来れるだろうか。辛くて観られないような気がしてならない。

いろいろと

2004年10月28日 宝塚
汐美さん関連、雑感。

緑野師匠が日記にかいておられた梅田のBIG MANの映像を見に行った。私は阿呆で、向かって右のスクリーンをずっと見ていた。だってBIG MANというと私にとっては向かって右のことだったんだもの。

全然、宝塚の映像にならないので(ファンタジーガーデンを広告するノルさんは何回も見た)諦めて帰ろうと向かって左のスクリーンの前を通ると、まさしく上映中。見入ってしまった。

たしかにケロさんが大写しになり、歌っていた。嬉しかった。多分これはCSと同じ映像なんだと思う。

映像では汐美さん以外もたくさん写っていて、初めて「そうかー、ショーのオープニング、わたるくん、こんな恰好してたのか」とか気が付いた。だって、私、ショーは汐美さんにオペラ固定で他の人見て無いから。いずれビデオを買ったら見られるだろうし。

           ☆

宝塚のキャトルレーヴ、入り口入ってすぐ左のところに汐美コーナーができていた。退団コーナーらしい。汐美関連グッズが集められていた。
ここに「販売は12月14日まで」とあったので、次の雪組公演が12月14日までと知った。そうか、銀橋の工事があるから年末までは公演がないんだな。

そして、汐美さんが新しい銀橋を渡ることはないんだな・・・、と。

           ☆

スカイステージで12月に「汐美真帆さよなら特集」をしてもらえるそうだ。「血と砂」とかDSとか「巌流」の東京楽とかインタビューとか。

やってもらえるとは思っていたけど。「血と砂」がいつまでたってもCSで放映されないのは、さよならの時にするからだろうと思っていたけど、こんなに早くとは思ってなかった。

「血と砂」はファンがチケットをこそげとってしまったので、あまり一般の方は観ていないらしい。ぜひ、今回、見ていただきたいと思う。

           ☆

デイリースポーツ紙で「退団は誰にも相談せずに決めました。相談するということは引き止めて欲しいということだから」というようなことを書いていた。

ってウソじゃない?

ゆうひくんには相談したんじゃないの?じゃないと、ゆうひくんがわざわざ舞踊会に出ないと思うのだ。ゆうひくん、バウのお稽古の真っ最中の大変な時期で、今年出なければならない理由がない。一緒の舞台に立とう、ということを、退団を理由に説得したんじゃないかなぁ?

相談ではなくて、報告かもしれないけど。

案外汐美さんはうそつきさん。都合の悪いことは言わない。とっさの判断でうそついて、あとでつじつまあわなくなってることが時々ある。些細なことで、だけどね。

だから発言を全ては鵜呑みにはしていない。でも汐美さんが言うことはそうなんだね、と信じることにしている。だってそう、信じて欲しいと思って言ってるわけだから。

美しいうそつきさんだから。だまされたいと思って追いかけてるんだから、私は。

            ☆

来月7日の「ビバ・タカラジェンヌ」はとうこちゃん。その後の日程ではゆうひくんも出るようだ。

ゆうひくんは自分のバウのことで忙しいだろうけど、せめてとうこちゃんはケロちゃんのこと、ちょっと何か言って欲しいな。

普段はほとんど聞かない番組だけど、とうこちゃんとゆうひちゃんの回は聞こうかな。

             ☆

今回の公演、もちろんオペラは汐美固定なんだけど、それ以外にもつい観てしまうポイントがある。

寿王の横に座る玉環の指先、わたるくんを誘惑するドルチェ・ヴィータの白い指先。本当に美しい。最後の銀橋でのわたるくんとのご挨拶での腰のかがめかたも大好き。

ショーでドルチェ・ヴィータを手に入れ、競り下がる時のわたるくんの表情。恍惚というのはこういうことかという顔だ。2階席から観ているとこっぱずかしい位。手に入れたのはわたるくんなのか、ドルチェ・ヴィータなのか。

サテリコン、サテュロスJrのすずみんのまがまがしさ。まさに魔、だ。博多座の時はタニちゃんも魔そのものだったけどまとぶんはそれほどでもないから、すずみんのまがまがしさが際立つ。すずみんは「バビロン」でも女装していたなぁ。オギーはすずみんの本性をこう捉えているんだろう。そのサテュロスJrに操られるコーザノストラがケロちゃんてのはなんか納得いかないけど。

サテリコン(あそこは本当は花市場の続きらしいが)で、大セリを利用したセットの中で、ドルチェ・ヴィータとキスしている男役がいる。誰だろうとずっと思っていたら、みっこちゃんだった。やはりああいった色気は若くては出ないものなのだな。

前にも書いたけど、清十郎さま、もといゆかりちゃんが檀ちゃんの後ろで踊っている時の美しさにはため息が出る。髪型がなかなか恰好いいのだ。

ダンサーあかしくん。顔で踊るあかしと呼ばれているそうだが、今回納得。青の洞窟のとことかね、ホント、顔で踊ってる。

デュエットダンスでケロちゃんと組んでくれてるみなみちゃん。ショーで出ずっぱりと聞いて、気を付けてみるようにしてみたら確かにあちこちに使われていた。特に花市場の上手銀橋付け根でコーラスしている緑色のストライプのドレスの3人娘の真ん中にいるみなみちゃんは上品で可愛くてお人形さんみたいだった。

そして、フィナーレの黒エンビで階段中央に立つ汐美真帆が出てくると・・・私はその前まで飛んでいって、襟元つかんでがくがくゆさぶりたくてたまらなくなるのだ!!

なんで辞める必要があるんだ!こんなに綺麗なのに!こんなに美しいのに!こんなに黒エンビば似合うのに!こんなに元気なのに!

なんで辞めるんだ、ばかー!!

寒い

2004年10月27日 宝塚
急に冷えてきた。

ついこの前まで夏だったような気がするのに。

今日、仕事でイメージ画像を探していて、クリスマスイルミネーションの風景に行き当たった。

そうか、最終日の頃はもう真冬、クリスマスの後になるんだな。街がきらきらして寒くて美しい季節なのだけど、その頃、汐美さんは、私は何を思っているだろう。

いかん、考えるだけで号泣。

今までに星組公演を観たのは6回。正確には5.5回。ショーだけ観た回があるから。本当はもっともっと観たいんだけど、こぶ付きではこれが限界。

今週はそれでもさらに舞踊会、友人たちとの観劇、お茶会と続く。ふえーい・・・。

でも汐美さんはもっと大変そうだ。この前の観劇、ショーの最中にふっと気を抜いた汐美さんの顔を見てしまった。かなり疲れた顔をしていた。

そりゃそうだろう。新人公演も終わって、終演後はそのまま出て来ることはほとんどない様子。11時頃までお稽古しているみたい。1回公演の時は一度出てからまたお稽古に入っているようだ。舞踊会とディナーショーがあるからなぁ。休演日ももちろんお稽古。

疲れないわけがない。ここが踏んばりどころかも。

kineさんの日記を読ませていただいて、ほーと思った。なるほどなー。歌い手のセレクションそれぞれに狙いがあり、そして実現する生徒さんたちの個性との相乗効果で、結果が生まれているということだと思う。

・・・ケロちゃんのヘタな(?)歌もオギーの狙いのひとつ、にしてくださってありがとうございます。
(私がケロちゃんを、kineさんがわたるくんを、歌がヘタと思っていないのと同様に、タニちゃんファンはタニの歌をヘタとは思ってないんだろうな。となると、歌の許容範囲って単にファンかそうでないかだけで決まるものなのかも)

私はもう思考停止状態。ただただ、あるがままの世界を受け入れてショーを観、聞いている。他の演出家のショーの時はいろいろ考えながら観ることもあるんだけど、オギーのショーは、「パッサージュ」にしろ「バビロン」にしろ、ただひたすらオギーの作り上げた世界を受け入れるだけになってしまう。麻痺させられてしまうのだ。

いつぞや緑野師匠が書いてらしたが、オギーの世界は実はとっても危険なのかもしれない。

「ドマーニ」という雑誌で、宝塚&四季を取り上げていた。演出家代表はオギー。彼なりの宝塚の世界観がちょっと語られていて興味深かった。しかしあのルックスはびっくりするよなー。

同じ記事でトップ代表はわたるくん。大劇場の座席に男前に座る姿が恰好いい。インタビュー内容もどうやって女性の望む男らしさを作り上げるか、でこちらも面白かった。
しかし、本人プロフィールの欄、最後にひとこと「素の声はとても高くて女らしい」みたいなことが書かれていて笑ってしまった。そうなんだよなー、わたるくんて素はとっても女の子、なんだな。

私の前のご贔屓、真琴つばささんは素でも男役だったから(今でも男役のまんま。「ヘキサゴン」でも一人だけオトコだった・泣)、わたるくんがNOW ONで素でしゃべってるのを観た時は驚いた覚えがある。トップ男役が女の子でいいのー?って。もう慣れたけど。

ケロちゃんは素ではとっても女性、だと思う。大人の。女の子、ではないような印象を私は持っている。

なのになんで黒エンビ着て、ピアノに寄りかかっただけでフェロモンが出ちゃうのよ〜?不思議だ。

一体どんなDSになるんだろう。楽しみなような不安なような。普通のDSは歌をじっくり聞かせるものだったりするけど、前回の汐美DSは芝居仕立てで、歌は少なめだった。今回も歌は少なめ、かな?やっぱり。

フアン

2004年10月26日 宝塚
「TOKK」というフリーペーパーがある。

阪急が出しているもので、阪急系列の駅でもらえる。全ページカラーで紙もよく、デザインもきれいで特集の切り口もなかなかいい。

その中で1P分位が宝塚のページ。現在公演中の公演を紹介したり、宝塚ミニ知識のコラムがあったりする。ちょっと前までは、発売直前の「歌劇」や「グラフ」の表紙が見られたりもした。

生徒のインタビュー記事もある。その時公演中の注目の生徒が取り上げられたりする。新人公演の主演生徒やバウ主演の生徒だったりすることもある。だから「血と砂」の時、インタビュー記事が載らないか、楽しみにしていたのだけど、取り上げてもらえなかった。

それが今回、退団ということで掲載されていた。

取り上げては欲しかったけど、こんなきっかけというのは寂しすぎる。

今回の記事の中で、印象深かった役というのがあった。「巌流」の武蔵と「心中・恋の大和路」の八衛門だそうだ。見事にバウ作品ばかり。汐美真帆がバウ役者といわれていたことがあるそうだが、本人も一番好きな劇場がバウと言っていたこともあるし、そうなんだろうな、と思う。

ラジオ番組「ビバ・タカラジェンヌ」では「血と砂」も挙げていたけれど、今回はなかった。

以前に友人たちと、千秋楽でのご挨拶、組長の退団にあたってのプロフィールご紹介の時、好きだった役をなんと言うだろうと話をしていたことがある。ファン仲間では、武蔵派とフアン派に分かれるようだ。

私はフアン派だ。「血と砂」のフアン=ガルラード。

ケロちゃん唯一の主演作の役。ゆうひくんとW主演とはいえ、センターで白い衣装を身にまとい、歌い踊っていたあの役。

発表になった日どれだけ嬉しかったか、チケット確保にどれだけエネルギーを費やしたか、ポスターを電車の吊り広告から引っこ抜いたこともあった。原作を求めて書店や図書館をめぐり、映画のビデオを探し(エロビデオ扱いだったのもあって、借りるのにどれだけ恥ずかしかったか!)、役柄を想像して悶々としたりした。初日をどれだけの緊張と期待で待ち望んだか。

それらの苦労と期待が全てむくわれる舞台だった。

本人はどうだったんだろうな。

ものすごいプレッシャーだったことは想像がつく。あの頃、本人、ガリガリに痩せていたもの。食べても食べても太れなかったと、後に言っていた。

ちずさんやえりさんといった上級生も出ていたけど、W主演の相方のゆうひくんは下級生ということもあって、必死に舞台を引っ張っていたようだ。お稽古前に皆でラジオ体操をしたりして、ムードを盛り上げたりしていたようだし。

その他にも、来てくれたお客さまに汐美真帆・大空祐飛連名のお礼の品を用意したり(持って歩いている人を見た)、お茶会ではゆうひくんとお互いに訪問しあったり。雑事はもちろん、新公主演すらしたことがないのだから、主演のプレッシャーだって初めての経験だったはずだ。

だから、もしかするとあの作品は楽しいと思う余裕はなかったかもしれない。

その後の「巌流」は楽しそうだった。主演じゃないし、相方は頼りになるとうこちゃんだし。

でも私は、あの「血と砂」の、追いつめられた状況の中で必死になっていたケロちゃんの、その必死さが愛しかった。私たちも初主演で必死だった。最初で最後だろうという覚悟があった。

鮮烈に思い出せる、切なさときらめきだ。

余裕をもって望める舞台もいいけれど、ギリギリまで追いつめられた中で生み出す舞台が私は好きだった。

私は千秋楽、フアンの名前を挙げて欲しいけど、本人は別の想いでフアンの名前を心に留めているかもしれない。だから言わないのかもしれない、「好きな役」には。それはそれでしょうがないことだし。

でも、私が一番好きな、汐美真帆の役は「フアン=ガルラード」だ。哀しい眼をしていたの闘牛士の名前だ。

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